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東京工業大学 1975年 理系 第1問 解説

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東京工業大学 1975年 理系 第1問 解説

方針・初手

与えられた連立方程式が整数解をもつための条件を求める問題である。 $b$ のとりうる範囲が $0 \leqq b \leqq 5$ と絞られていることに着目する。この程度の範囲であれば、$b$ の値を一つずつ代入して $a$ が存在するかを直接調べる「しらみつぶし」の手法が確実である(解法1)。 また、連立方程式を一般的に解き、$x, y$ が整数になるという条件から $a, b$ が満たすべき関係式(必要条件)を導出して候補を絞り込む方法もある(解法2)。

解法1

$b$ は $0 \leqq b \leqq 5$ を満たす整数であるから、$b = 0, 1, 2, 3, 4, 5$ のいずれかである。 それぞれの場合について、連立方程式が整数解 $(x, y)$ をもつような整数 $a \geqq 0$ が存在するか調べる。

(i) $b=0$ のとき

与えられた連立方程式は、 $$ \begin{cases} ax = 1 \\ ay = 0 \end{cases} $$ $x$ は整数なので、第1式より $a$ は $1$ の約数である。 $a \geqq 0$ より $a=1$。このとき第2式より $y=0$ となり、整数解 $(x, y) = (1, 0)$ をもつ。 よって、$(a, b) = (1, 0)$ は条件を満たす。

(ii) $b=1$ のとき

連立方程式は、 $$ \begin{cases} ax + 3y = 1 \\ x + ay = 0 \end{cases} $$ 第2式より $x = -ay$。これを第1式に代入して整理すると、 $$ -a^2y + 3y = 1 \iff (3 - a^2)y = 1 $$ $y$ と $3 - a^2$ はともに整数であるから、$3 - a^2$ は $1$ の約数であり、$3 - a^2 = \pm 1$ である。 $3 - a^2 = 1$ のとき、$a^2 = 2$ となり整数 $a$ は存在しない。 $3 - a^2 = -1$ のとき、$a^2 = 4$ となる。$a \geqq 0$ より $a=2$。 このとき $y=-1, x=2$ となり整数解をもつ。 よって、$(a, b) = (2, 1)$ は条件を満たす。

(iii) $b=2$ のとき

連立方程式は、 $$ \begin{cases} ax + 6y = 1 \\ 2x + ay = 0 \end{cases} $$ 第1式の両辺を2倍した $2ax + 12y = 2$ に、第2式から得られる $2x = -ay$ を代入して整理すると、 $$ -a^2y + 12y = 2 \iff (12 - a^2)y = 2 $$ $y$ は整数なので、$12 - a^2$ は $2$ の約数($\pm 1, \pm 2$)である。

いずれの場合もこれを満たす整数 $a$ は存在しない。

(iv) $b=3$ のとき

連立方程式は、 $$ \begin{cases} ax + 9y = 1 \\ 3x + ay = 0 \end{cases} $$ 第1式を3倍し、$3x = -ay$ を代入して整理すると、 $$ -a^2y + 27y = 3 \iff (27 - a^2)y = 3 $$ $27 - a^2$ は $3$ の約数($\pm 1, \pm 3$)である。

いずれの場合もこれを満たす整数 $a$ は存在しない。

(v) $b=4$ のとき

連立方程式は、 $$ \begin{cases} ax + 12y = 1 \\ 4x + ay = 0 \end{cases} $$ 第1式を4倍し、$4x = -ay$ を代入して整理すると、 $$ -a^2y + 48y = 4 \iff (48 - a^2)y = 4 $$ $48 - a^2$ は $4$ の約数($\pm 1, \pm 2, \pm 4$)である。 $a^2$ の候補を計算すると $a^2 = 47, 49, 46, 50, 44, 52$ となる。 $a$ は $0$ 以上の整数であるから、$a^2 = 49$ すなわち $a = 7$ のみが適する。 このとき $48 - 7^2 = -1$ なので $y = -4$。$4x + 7(-4) = 0$ より $x = 7$ となり整数解をもつ。 よって、$(a, b) = (7, 4)$ は条件を満たす。

(vi) $b=5$ のとき

連立方程式は、 $$ \begin{cases} ax + 15y = 1 \\ 5x + ay = 0 \end{cases} $$ 第1式を5倍し、$5x = -ay$ を代入して整理すると、 $$ -a^2y + 75y = 5 \iff (75 - a^2)y = 5 $$ $75 - a^2$ は $5$ の約数($\pm 1, \pm 5$)である。 $a^2$ の候補を計算すると $a^2 = 74, 76, 70, 80$ となる。 いずれの場合もこれを満たす整数 $a$ は存在しない。

以上より、条件を満たす組は $(a, b) = (1, 0), (2, 1), (7, 4)$ である。

解法2

与えられた連立方程式から $x, y$ を求める。 $$ \begin{cases} ax + 3by = 1 \quad \dots \text{①} \\ bx + ay = 0 \quad \dots \text{②} \end{cases} $$ $\text{①} \times a - \text{②} \times 3b$ より、 $$ (a^2 - 3b^2)x = a \quad \dots \text{③} $$ $\text{①} \times b - \text{②} \times a$ より、 $$ -(a^2 - 3b^2)y = b \iff (a^2 - 3b^2)y = -b \quad \dots \text{④} $$

ここで、$a^2 - 3b^2 = 0$ と仮定する。このとき③より $a=0$、④より $b=0$ となる。 しかし、$a=0, b=0$ を①に代入すると $0 = 1$ となり矛盾するため、$a^2 - 3b^2 \neq 0$ である。 したがって、 $$ x = \frac{a}{a^2 - 3b^2}, \quad y = \frac{-b}{a^2 - 3b^2} $$ これらが整数となるための条件を考える。 $a, b$ を $x, y$ を用いて表すと、 $$ a = x(a^2 - 3b^2), \quad b = -y(a^2 - 3b^2) $$ これらを恒等式 $a^2 - 3b^2 = a^2 - 3b^2$ の左辺の $a, b$ に代入すると、 $$ \{x(a^2 - 3b^2)\}^2 - 3\{-y(a^2 - 3b^2)\}^2 = a^2 - 3b^2 $$ $$ (x^2 - 3y^2)(a^2 - 3b^2)^2 = a^2 - 3b^2 $$ $a^2 - 3b^2 \neq 0$ であるから、両辺を $a^2 - 3b^2$ で割って、 $$ (x^2 - 3y^2)(a^2 - 3b^2) = 1 $$ $a, b, x, y$ はすべて整数であるから、$x^2 - 3y^2$ と $a^2 - 3b^2$ はともに整数である。 かけて $1$ になる整数の組は $(1, 1)$ または $(-1, -1)$ に限られるため、 $$ a^2 - 3b^2 = \pm 1 $$ が必要である。

$0 \leqq b \leqq 5$ の範囲で、これを満たす整数 $a \geqq 0$ を探す。

以上より、$(a, b) = (1, 0), (2, 1), (7, 4)$ が候補となる。 逆にこれらの組に対しては $a^2 - 3b^2 = 1$ または $-1$ を満たすため、$x = \pm a, y = \mp b$ となりともに整数となるから十分性も満たす。 よって、求める組は $(1, 0), (2, 1), (7, 4)$ である。

解説

本問のように変数のとりうる範囲が非常に狭く限定されている場合(本問では $b$ が $0$ から $5$ の $6$ 通り)、文字を消去して一般論を展開するよりも、解法1のように最初から値を代入してしまった方が、見通しが良く計算ミスも防げる。試験場での実戦的な手法として有効だ。

一方で解法2は、連立方程式を解いた際に出てくる分母(行列式 $a^2 - 3b^2$)に着目し、「分数式が整数になる条件」から $a^2 - 3b^2 = \pm 1$ という鮮やかな必要条件を導き出すアプローチである。これはペル方程式などの整数問題にも通じる重要な発想であり、$b$ の範囲が広く設定されていた場合には、この手法を取らないと解き切るのが困難になる。

答え

$(a, b) = (1, 0), (2, 1), (7, 4)$

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