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東京工業大学 1991年 理系 第1問 解説

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東京工業大学 1991年 理系 第1問 解説

方針・初手

$f(n)$ が $n!$ の末尾に連続して並ぶ $0$ の個数を表していることを読み取る。これは $n!$ が $10$ で最大何回割り切れるか、すなわち $n!$ に含まれる素因数 $2$ と $5$ のうち、少ない方である $5$ の個数に一致することに帰着させる。階乗の素因数の個数に関するルジャンドルの定理と、ガウス記号の不等式評価を用いて極限を求める。

解法1

$f(n)$ は $n!$ を $10$ 進法で表したときに末尾に連続して並ぶ $0$ の個数である。 これは、$n!$ を素因数分解したときの $10$ の指数に等しい。

$10 = 2 \times 5$ であり、自然数 $n$ において $n!$ に含まれる素因数 $2$ の個数は素因数 $5$ の個数以上であるため、$f(n)$ は $n!$ に含まれる素因数 $5$ の個数に等しい。

任意の実数 $x$ に対して $x$ を超えない最大の整数を表すガウス記号を $\lfloor x \rfloor$ とすると、$n!$ に含まれる素因数 $5$ の個数は次のように表される。

$$ f(n) = \sum_{k=1}^{\infty} \left\lfloor \frac{n}{5^k} \right\rfloor $$

(1)

上の式を用いて $f(10)$ と $f(100)$ を計算する。

$$ f(10) = \left\lfloor \frac{10}{5} \right\rfloor = 2 $$

$$ \begin{aligned} f(100) &= \left\lfloor \frac{100}{5} \right\rfloor + \left\lfloor \frac{100}{5^2} \right\rfloor \\ &= 20 + 4 \\ &= 24 \end{aligned} $$

(2)

$f(10^n)$ を評価する。$10^n$ 以下である最大の $5$ のべき乗の指数を $M$ とおく。すなわち、$M$ は $5^M \le 10^n < 5^{M+1}$ を満たす最大の整数であり、$M = \lfloor n \log_5 10 \rfloor$ である。 このとき、$k > M$ では $\left\lfloor \frac{10^n}{5^k} \right\rfloor = 0$ となるため、和は $k=1$ から $M$ までの有限和として表せる。

$$ f(10^n) = \sum_{k=1}^{M} \left\lfloor \frac{10^n}{5^k} \right\rfloor $$

ここで、すべての実数 $x$ に対して $x - 1 < \lfloor x \rfloor \le x$ が成り立つから、各項について以下の不等式が成り立つ。

$$ \frac{10^n}{5^k} - 1 < \left\lfloor \frac{10^n}{5^k} \right\rfloor \le \frac{10^n}{5^k} $$

$k=1$ から $M$ までの和をとると、

$$ \sum_{k=1}^{M} \left( \frac{10^n}{5^k} - 1 \right) < \sum_{k=1}^{M} \left\lfloor \frac{10^n}{5^k} \right\rfloor \le \sum_{k=1}^{M} \frac{10^n}{5^k} $$

最右辺の等比数列の和を計算すると、

$$ \sum_{k=1}^{M} \frac{10^n}{5^k} = \frac{10^n}{5} \cdot \frac{1 - \left(\frac{1}{5}\right)^M}{1 - \frac{1}{5}} = \frac{10^n}{4} \left\{ 1 - \left(\frac{1}{5}\right)^M \right\} < \frac{10^n}{4} $$

最左辺の和を計算すると、

$$ \sum_{k=1}^{M} \left( \frac{10^n}{5^k} - 1 \right) = \frac{10^n}{4} \left\{ 1 - \left(\frac{1}{5}\right)^M \right\} - M $$

したがって、$f(10^n)$ について次のはさみうちの不等式を得る。

$$ \frac{10^n}{4} \left\{ 1 - \left(\frac{1}{5}\right)^M \right\} - M < f(10^n) < \frac{10^n}{4} $$

すべての辺を $10^n$ で割ると、

$$ \frac{1}{4} \left\{ 1 - \left(\frac{1}{5}\right)^M \right\} - \frac{M}{10^n} < \frac{f(10^n)}{10^n} < \frac{1}{4} $$

ここで、$n \to \infty$ のときの極限を考える。 $M = \lfloor n \log_5 10 \rfloor$ であり、$n \log_5 10 - 1 < M \le n \log_5 10$ であるから、$n \to \infty$ のとき $M \to \infty$ となり、

$$ \lim_{n \to \infty} \left(\frac{1}{5}\right)^M = 0 $$

また、$\frac{M}{10^n} \le \frac{n \log_5 10}{10^n}$ であり、$n \to \infty$ のとき $\frac{n}{10^n} \to 0$ となるから、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{M}{10^n} = 0 $$

以上より、左辺の極限は

$$ \lim_{n \to \infty} \left[ \frac{1}{4} \left\{ 1 - \left(\frac{1}{5}\right)^M \right\} - \frac{M}{10^n} \right] = \frac{1}{4} (1 - 0) - 0 = \frac{1}{4} $$

となる。右辺の極限も $\frac{1}{4}$ であるから、はさみうちの原理より、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{f(10^n)}{10^n} = \frac{1}{4} $$

解説

$n!$ の末尾の $0$ の個数を求める問題は、大学入試における整数問題の典型的なテーマである。これを $n!$ に含まれる $5$ の素因数の個数に帰着させる発想は必須である。

(2) の極限計算では、ガウス記号を含む和の極限を求めるが、ここではガウス記号の性質 $x - 1 < \lfloor x \rfloor \le x$ を用いた不等式評価が有効である。無限級数として大雑把に評価しても直感的には $\frac{1}{4}$ になることが予測できるが、記述式答案としては有限和として扱い、項数 $M$ を明確にして厳密にはさみうちの原理を適用することが求められる。多項式と指数関数の極限の比較 $\lim_{n \to \infty} \frac{n}{10^n} = 0$ は自明として用いて構わない。

答え

(1)

$f(10) = 2$, $f(100) = 24$

(2)

$\frac{1}{4}$

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