東京工業大学 2010年 理系 第2問 解説

方針・初手
方程式の右辺がガウス記号で表されているため、右辺の値は必ず整数となる。したがって、方程式の解 $x$ は整数になるという事実に気づくことが第一歩である。これを利用して、ガウス記号の定義である $k \le u < k+1$ ($k=[u]$)を用い、解 $x$ が満たすべき不等式を導出する。
解法1
(1)
方程式 $(*)$ は以下の通りである。
$$ x = \left[ \frac{1}{2} \left( x + \frac{a}{x} \right) \right] $$
ガウス記号の性質より、右辺は整数である。したがって、等式が成り立つためには $x$ は整数でなければならない。問題の条件より $x$ は正の実数であるから、$x$ は正の整数となる。
ガウス記号の定義 $[u]=k \iff k \le u < k+1$ ($k$ は整数)より、$(*)$ が成り立つための必要十分条件は
$$ x \le \frac{1}{2} \left( x + \frac{a}{x} \right) < x + 1 $$
各辺を $2$ 倍して
$$ 2x \le x + \frac{a}{x} < 2x + 2 $$
各辺から $x$ を引いて
$$ x \le \frac{a}{x} < x + 2 $$
$x$ は正の整数であるから、各辺に $x$ を掛けて
$$ x^2 \le a < x^2 + 2x $$
これを条件 (A) とする。$(*)$ が解を持つことは、条件 (A) を満たす正の整数 $x$ が存在することと同値である。
$a=7$ のとき、条件 (A) は $x^2 \le 7 < x^2 + 2x$ となる。 $x=1$ のとき、$1 \le 7 < 3$ (不適) $x=2$ のとき、$4 \le 7 < 8$ (成立) よって、解が存在し、解は $x=2$ である。
$a=8$ のとき、条件 (A) は $x^2 \le 8 < x^2 + 2x$ となる。 $x=2$ のとき、$4 \le 8 < 8$ (不適) $x=3$ のとき、$9 \le 8 < 15$ (不適) $x \ge 3$ では常に $x^2 \ge 9 > 8$ となるため、条件を満たす正の整数 $x$ は存在しない。 よって、解はない。
$a=9$ のとき、条件 (A) は $x^2 \le 9 < x^2 + 2x$ となる。 $x=3$ のとき、$9 \le 9 < 15$ (成立) よって、解が存在し、解は $x=3$ である。
(2)
任意の正の整数 $a$ に対して、$n^2 \le a < (n+1)^2$ を満たす正の整数 $n$ がただ一つ存在する。 このとき、条件 (A) を満たす正の整数 $x$ が存在するとすれば、$x=n$ でなければならない。 なぜなら、$x \le n-1$ のときは
$$ x^2 + 2x \le (n-1)^2 + 2(n-1) = n^2 - 1 < n^2 \le a $$
となり不適であり、$x \ge n+1$ のときは
$$ x^2 \ge (n+1)^2 > a $$
となり不適だからである。
したがって、$a$ に対して $(*)$ が解を持つための条件は、$x=n$ のときに (A) が成り立つこと、すなわち
$$ n^2 \le a < n^2 + 2n $$
が成り立つことである。 一方、$n^2 \le a < (n+1)^2$ (すなわち $n^2 \le a \le n^2 + 2n$)を満たす整数のうち、上の条件を満たさないものは
$$ a = n^2 + 2n = (n+1)^2 - 1 $$
のみである。これが $(*)$ が解を持たないような正の整数 $a$ である。 これを小さい順に並べたものが $a_n$ であるから、$a_n = n^2 + 2n = n(n+2)$ と表される。
$n=1$ のとき
$$ a_1 = 1^2 + 2 \cdot 1 = 3 $$
$n=2$ のとき
$$ a_2 = 2^2 + 2 \cdot 2 = 8 $$
(3)
(2) より、$a_n = n(n+2)$ である。したがって、求める無限級数は部分分数分解を用いて次のように計算できる。
$$ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{a_n} = \lim_{N \to \infty} \sum_{n=1}^N \frac{1}{n(n+2)} $$
$$ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{a_n} = \lim_{N \to \infty} \sum_{n=1}^N \frac{1}{2} \left( \frac{1}{n} - \frac{1}{n+2} \right) $$
$$ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{a_n} = \frac{1}{2} \lim_{N \to \infty} \left\{ \left( \frac{1}{1} - \frac{1}{3} \right) + \left( \frac{1}{2} - \frac{1}{4} \right) + \left( \frac{1}{3} - \frac{1}{5} \right) + \cdots + \left( \frac{1}{N-1} - \frac{1}{N+1} \right) + \left( \frac{1}{N} - \frac{1}{N+2} \right) \right\} $$
途中の項が相殺され、最初と最後の項が残る。
$$ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{a_n} = \frac{1}{2} \lim_{N \to \infty} \left( 1 + \frac{1}{2} - \frac{1}{N+1} - \frac{1}{N+2} \right) $$
$N \to \infty$ のとき $\frac{1}{N+1} \to 0$、$\frac{1}{N+2} \to 0$ であるから
$$ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{a_n} = \frac{1}{2} \left( 1 + \frac{1}{2} \right) = \frac{3}{4} $$
解説
ガウス記号を含む方程式の定石である、「ガウス記号の値は整数であること」と「不等式による評価 $[u] \le u < [u]+1$」を用いる良問である。(1) で具体例を計算させることで、(2) での一般化への道筋を示す丁寧な誘導になっている。(1) の結果($a=8$ のみ解を持たず、これは $n^2+2n$ の形で $n=2$ の場合であること)が (2) の規則性を予想する助けとなる。 (3) は $a_n = n(n+2)$ と表されることを利用した、典型的な部分分数分解による無限級数の和の計算である。途中の項が2つ飛びで消えるため、最初と最後に残る項に注意して極限をとる。
答え
(1)
$a=7$ のとき、解がある(解は $x=2$)。$a=8$ のとき、解はない。$a=9$ のとき、解がある(解は $x=3$)。
(2)
$a_1 = 3$、$a_2 = 8$
(3)
$\frac{3}{4}$
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