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東京工業大学 2015年 理系 第1問 解説

数学B/数列数学3/極限テーマ/漸化式テーマ/不等式の証明
東京工業大学 2015年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) 与えられた漸化式はいわゆる分数型の漸化式である。特性方程式を用いて漸化式を変形し、等差数列または等比数列に帰着させることで一般項を求める。 (2) (1)で求めた $a_n$ を $b_n$ の定義式に代入し、和の計算を可能な限り実行する。残ったシグマの部分について、各項を上から評価することで目的の不等式を導く。 (3) (2)で示した不等式を利用して上からの評価を得る。さらに、同様に下からの評価を行い、はさみうちの原理を用いて極限値を求める。

解法1

(1)

与えられた漸化式は以下の通りである。

$$ a_{n+1} = \frac{4a_n - 9}{a_n - 2} $$

特性方程式 $x = \frac{4x - 9}{x - 2}$ を解く。

$$ x(x - 2) = 4x - 9 $$

$$ x^2 - 6x + 9 = 0 $$

$$ (x - 3)^2 = 0 $$

よって、$x = 3$(重解)を得る。 漸化式の両辺から $3$ を引くと、次のように変形できる。

$$ a_{n+1} - 3 = \frac{4a_n - 9}{a_n - 2} - 3 $$

$$ a_{n+1} - 3 = \frac{4a_n - 9 - 3(a_n - 2)}{a_n - 2} $$

$$ a_{n+1} - 3 = \frac{a_n - 3}{a_n - 2} $$

ここで、$a_1 = 5$ より $a_1 \neq 3$ である。もしある自然数 $n$ について $a_{n+1} = 3$ となると仮定すると、$\frac{a_n - 3}{a_n - 2} = 0$ より $a_n = 3$ とならなければならない。これを繰り返すと $a_1 = 3$ となり矛盾する。したがって、すべての自然数 $n$ において $a_n \neq 3$ である。 また、もし $a_n = 2$ となると仮定すると、一つ前の項について $a_{n-1} - 3 = 0$ すなわち $a_{n-1} = 3$ となり、先ほど示したことに矛盾する。よって常に分母は $0$ にならない。 両辺の逆数をとると、次のようになる。

$$ \frac{1}{a_{n+1} - 3} = \frac{a_n - 2}{a_n - 3} $$

$$ \frac{1}{a_{n+1} - 3} = \frac{(a_n - 3) + 1}{a_n - 3} $$

$$ \frac{1}{a_{n+1} - 3} = 1 + \frac{1}{a_n - 3} $$

したがって、数列 $\left\{ \frac{1}{a_n - 3} \right\}$ は、初項が $\frac{1}{a_1 - 3} = \frac{1}{5 - 3} = \frac{1}{2}$、公差が $1$ の等差数列である。

$$ \frac{1}{a_n - 3} = \frac{1}{2} + (n - 1) \cdot 1 = \frac{2n - 1}{2} $$

逆数をとって整理すると、一般項が得られる。

$$ a_n - 3 = \frac{2}{2n - 1} $$

$$ a_n = 3 + \frac{2}{2n - 1} $$

(2)

数列 $\{b_n\}$ の定義式に (1) で求めた $a_n$ を代入する。 分母の和は等差数列の和であり、$\sum_{k=1}^n k = \frac{1}{2}n(n+1)$ である。 分子の和を計算する。

$$ \sum_{k=1}^n k a_k = \sum_{k=1}^n k \left( 3 + \frac{2}{2k - 1} \right) $$

$$ = 3 \sum_{k=1}^n k + \sum_{k=1}^n \frac{2k}{2k - 1} $$

$$ = \frac{3}{2}n(n+1) + \sum_{k=1}^n \frac{(2k - 1) + 1}{2k - 1} $$

$$ = \frac{3}{2}n(n+1) + \sum_{k=1}^n \left( 1 + \frac{1}{2k - 1} \right) $$

$$ = \frac{3}{2}n(n+1) + n + \sum_{k=1}^n \frac{1}{2k - 1} $$

これらを $b_n$ の式に代入する。

$$ b_n = \frac{\frac{3}{2}n(n+1) + n + \sum_{k=1}^n \frac{1}{2k - 1}}{\frac{1}{2}n(n+1)} $$

$$ b_n = 3 + \frac{2n}{n(n+1)} + \frac{2}{n(n+1)} \sum_{k=1}^n \frac{1}{2k - 1} $$

$$ b_n = 3 + \frac{2}{n+1} + \frac{2}{n(n+1)} \sum_{k=1}^n \frac{1}{2k - 1} $$

ここで、$k \ge 1$ のとき $2k - 1 \ge 1$ であるから、逆数をとると以下の不等式が成り立つ。

$$ \frac{1}{2k - 1} \leqq 1 $$

この両辺の $k=1$ から $n$ までの和をとる。

$$ \sum_{k=1}^n \frac{1}{2k - 1} \leqq \sum_{k=1}^n 1 = n $$

両辺に正の数 $\frac{2}{n(n+1)}$ を掛ける。

$$ \frac{2}{n(n+1)} \sum_{k=1}^n \frac{1}{2k - 1} \leqq \frac{2}{n(n+1)} \cdot n = \frac{2}{n+1} $$

これを先ほどの $b_n$ の式に適用すると、求める不等式が得られる。

$$ b_n \leqq 3 + \frac{2}{n+1} + \frac{2}{n+1} = 3 + \frac{4}{n+1} $$

よって、すべての $n$ に対して不等式が成り立つことが示された。

(3)

(2) の結果より、$b_n$ の上からの評価は得られている。 一方で、$k \ge 1$ のとき $2k - 1 > 0$ であるから、$\frac{1}{2k - 1} > 0$ である。 したがって、その和も正となる。

$$ \sum_{k=1}^n \frac{1}{2k - 1} > 0 $$

これを (2) で導いた $b_n$ の式に適用して下からの評価を行う。

$$ b_n = 3 + \frac{2}{n+1} + \frac{2}{n(n+1)} \sum_{k=1}^n \frac{1}{2k - 1} > 3 + \frac{2}{n+1} $$

以上より、すべての自然数 $n$ について次の不等式が成り立つ。

$$ 3 + \frac{2}{n+1} < b_n \leqq 3 + \frac{4}{n+1} $$

ここで、両辺の極限をとると以下のようになる。

$$ \lim_{n \to \infty} \left( 3 + \frac{2}{n+1} \right) = 3 $$

$$ \lim_{n \to \infty} \left( 3 + \frac{4}{n+1} \right) = 3 $$

したがって、はさみうちの原理により、

$$ \lim_{n \to \infty} b_n = 3 $$

解説

分数型の漸化式から一般項を求め、その結果を用いて和と極限を計算する典型的な誘導問題である。 (1) では、特性方程式が重解を持つパターンであるため、両辺からその解を引き、逆数をとることで等差数列に帰着できる。このとき、分母が $0$ にならないことの確認を一言添えておくのが論理的に丁寧である。 (2) では、分子のシグマ計算において $\frac{2k}{2k-1}$ という形が現れるが、これを $1 + \frac{1}{2k-1}$ と帯分数化することで、計算可能な部分と評価すべき部分に分離できるかがポイントとなる。和を評価する際には、各項の不等式を作り、その総和をとる手法が有効である。 (3) では、極限を求めるためのはさみうちの原理を利用する。(2)で上からの評価が完了しているため、同様に下からの評価を作ればよい。

答え

(1)

$$ a_n = 3 + \frac{2}{2n - 1} $$

(2)

$$ b_n \leqq 3 + \frac{4}{n+1} $$

(3)

$$ \lim_{n \to \infty} b_n = 3 $$

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