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東京大学 1973年 文系 第2問 解説

数学1/立体図形数学2/微分法テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
東京大学 1973年 文系 第2問 解説

方針・初手

求める立体は、底面の半径が $PQ$、高さが $AQ$ の円錐である。 線分 $AQ$ の長さを変数 $x$、または $\angle PAB$ などの角度を変数 $\theta$ とおき、円錐の体積を1変数の関数として表すのが第一歩である。 体積を立式した後は、微分して増減を調べることで最大値を求める。

解法1

$AB=2a$ より、半円の半径は $a$ である。

$\triangle APQ$ を $AB$ のまわりに回転させてできる立体は、底面の半径が $PQ$、高さが $AQ$ の円錐である。

$AQ = x$ とおく。点 $P$ が点 $A, B$ と一致するとき体積は $0$ となるため、最大値を考える上では $P$ は $A, B$ と異なる点としてよく、$0 < x < 2a$ とする。

$AB$ は半円の直径であるから、$\angle APB = 90^\circ$ である。 $\triangle APQ$ と $\triangle PBQ$ はともに直角三角形であり、$\angle PAQ = 90^\circ - \angle APQ = \angle BPQ$ となることから、$\triangle APQ \sim \triangle PBQ$ が成り立つ。

これより辺の比は等しく、以下の関係が得られる。

$$ AQ : PQ = PQ : BQ $$

$$ PQ^2 = AQ \cdot BQ $$

$BQ = AB - AQ = 2a - x$ であるから、次のように表せる。

$$ PQ^2 = x(2a - x) $$

求める円錐の体積を $V$ とすると、次のように立式できる。

$$ V = \frac{1}{3} \pi \cdot PQ^2 \cdot AQ = \frac{1}{3} \pi x^2 (2a - x) = \frac{\pi}{3} (2ax^2 - x^3) $$

関数 $f(x) = 2ax^2 - x^3$ ($0 < x < 2a$) とおき、この最大値を求める。 $x$ で微分すると以下のようになる。

$$ f'(x) = 4ax - 3x^2 = x(4a - 3x) $$

$f'(x) = 0$ となるのは $x = 0, \frac{4}{3}a$ のときであり、$0 < x < 2a$ においては $x = \frac{4}{3}a$ のみである。

$0 < x < \frac{4}{3}a$ のとき $f'(x) > 0$、$\frac{4}{3}a < x < 2a$ のとき $f'(x) < 0$ となるため、$f(x)$ は $x = \frac{4}{3}a$ で極大かつ最大となる。

このときの $f(x)$ の最大値は以下の通りである。

$$ f\left(\frac{4}{3}a\right) = 2a \left(\frac{4}{3}a\right)^2 - \left(\frac{4}{3}a\right)^3 = \frac{32}{9}a^3 - \frac{64}{27}a^3 = \frac{32}{27}a^3 $$

したがって、体積 $V$ の最大値は以下のようになる。

$$ V = \frac{\pi}{3} \cdot \frac{32}{27}a^3 = \frac{32}{81}\pi a^3 $$

解法2

$\angle PAB = \theta$ とおく。 点 $P$ が点 $A, B$ と一致するとき体積は $0$ となるため、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ としてよい。

$\triangle APB$ は $\angle APB = 90^\circ$ の直角三角形であるため、$AP = 2a \cos \theta$ である。 さらに、直角三角形 $\triangle APQ$ において以下の辺の長さが得られる。

$$ AQ = AP \cos \theta = 2a \cos^2 \theta $$

$$ PQ = AP \sin \theta = 2a \cos \theta \sin \theta $$

求める円錐の体積を $V$ とすると、次のように立式できる。

$$ V = \frac{1}{3} \pi \cdot PQ^2 \cdot AQ = \frac{1}{3} \pi (4a^2 \cos^2 \theta \sin^2 \theta)(2a \cos^2 \theta) = \frac{8}{3} \pi a^3 \sin^2 \theta \cos^4 \theta $$

ここで、$t = \cos^2 \theta$ とおく。 $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $0 < t < 1$ であり、$\sin^2 \theta = 1 - \cos^2 \theta = 1 - t$ となる。 これを $V$ の式に代入すると以下のようになる。

$$ V = \frac{8}{3} \pi a^3 (1 - t) t^2 = \frac{8}{3} \pi a^3 (t^2 - t^3) $$

関数 $g(t) = t^2 - t^3$ ($0 < t < 1$) の最大値を求める。

$$ g'(t) = 2t - 3t^2 = t(2 - 3t) $$

$0 < t < 1$ において $g'(t) = 0$ となるのは $t = \frac{2}{3}$ のときである。 $0 < t < \frac{2}{3}$ のとき $g'(t) > 0$、$\frac{2}{3} < t < 1$ のとき $g'(t) < 0$ となるため、$g(t)$ は $t = \frac{2}{3}$ で極大かつ最大となる。

その最大値は以下の通りである。

$$ g\left(\frac{2}{3}\right) = \left(\frac{2}{3}\right)^2 - \left(\frac{2}{3}\right)^3 = \frac{4}{9} - \frac{8}{27} = \frac{4}{27} $$

したがって、体積 $V$ の最大値は以下のようになる。

$$ V = \frac{8}{3} \pi a^3 \cdot \frac{4}{27} = \frac{32}{81}\pi a^3 $$

解法3

解法1で得られた体積の式 $V = \frac{\pi}{3} x^2 (2a - x)$ について、相加平均と相乗平均の大小関係を用いて最大値を求めることもできる。

$x > 0$ かつ $2a - x > 0$ であるため、$\frac{x}{2} > 0$ であり、相加平均と相乗平均の大小関係より以下の不等式が成り立つ。

$$ \frac{\frac{x}{2} + \frac{x}{2} + (2a - x)}{3} \geqq \sqrt[3]{\frac{x}{2} \cdot \frac{x}{2} \cdot (2a - x)} $$

左辺を整理すると、分子の $x$ が打ち消し合う。

$$ \frac{2a}{3} \geqq \sqrt[3]{\frac{x^2(2a - x)}{4}} $$

両辺を $3$ 乗して整理する。

$$ \frac{8a^3}{27} \geqq \frac{x^2(2a - x)}{4} $$

$$ x^2(2a - x) \leqq \frac{32}{27}a^3 $$

等号が成立するのは、$\frac{x}{2} = 2a - x$ のとき、すなわち $x = \frac{4}{3}a$ のときである。 これは $0 < x < 2a$ を満たす。

したがって、$x^2(2a - x)$ の最大値は $\frac{32}{27}a^3$ であり、体積 $V$ の最大値は以下のようになる。

$$ V = \frac{\pi}{3} \cdot \frac{32}{27}a^3 = \frac{32}{81}\pi a^3 $$

解説

回転体の体積を立式し、微分を用いて最大値を求める標準的な微積分(または関数)の問題である。 立式において、線分の長さ($x$)を主変数とするか、角度($\theta$)を主変数とするかで式変形の流れが異なるが、最終的にはどちらも3次関数の最大値問題に帰着する。

直角三角形の相似や三角比を正しく用いて $PQ$ や $AQ$ を表現できるかが最初の関門となる。 また、解法3で示したように、和が一定となるように式を分割し、相加・相乗平均の大小関係を利用すると、微分の手間を省いて鮮やかに最大値を求めることができる。 このテクニックは、ある変数の累乗の積からなる関数の最大値を求める際によく用いられるので、引き出しの一つとして持っておきたい。

答え

$$ \frac{32}{81}\pi a^3 $$

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