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名古屋大学 1994年 理系 第3問 解説

数学1/立体図形数学C/空間ベクトル数学2/積分法テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
名古屋大学 1994年 理系 第3問 解説

方針・初手

空間内の平面図形をある軸のまわりに回転させた立体の体積を求める問題である。定石通り、回転軸に垂直な平面(本問では $z=t$)で図形を切断し、その断面の図形を $z$ 軸のまわりに回転させてできる領域(円環)の面積を求め、それを $t$ で積分する方針をとる。

解法1

頂点 $A, B, C$ の座標から、ベクトル $\vec{AB}$ と $\vec{AC}$ は

$$ \vec{AB} = (1-a, 0, 0) $$

$$ \vec{AC} = (0, 1, a) $$

である。三角形 $ABC$ の周および内部を含む領域内の点 $P(x, y, z)$ は、実数 $u, v$ を用いて

$$ \vec{AP} = u\vec{AB} + v\vec{AC} \quad (u \ge 0, v \ge 0, u+v \le 1) $$

と表される。成分で比較すると、

$$ \begin{cases} x = u(1-a) \\ y = v \\ z = va \end{cases} $$

となる。第2式、第3式から $v$ を消去すると $z = ay$ が得られる。また、$u \ge 0, v \ge 0, u+v \le 1$ の条件は、$x, y, z$ を用いて次のように書き換えられる。 $y = v$ より $0 \le y \le 1$ である。 $u = \frac{x}{1-a}$ であり、$0 \le u \le 1-v$ であることから

$$ 0 \le \frac{x}{1-a} \le 1-y \iff 0 \le x \le (1-a)(1-y) $$

これより、三角形 $ABC$ の領域 $D$ は $xyz$ 空間内で

$$ \begin{cases} z = ay \\ 0 \le y \le 1 \\ 0 \le x \le (1-a)(1-y) \end{cases} $$

と表される。

$y$ の範囲 $0 \le y \le 1$ と $z = ay$ から、$z$ の取り得る範囲は $0 \le z \le a$ である。 立体を $z$ 軸に垂直な平面 $z = t$ ($0 \le t \le a$) で切断した断面を考える。 $z = ay$ に $z=t$ を代入すると、$y = \frac{t}{a}$ となる。 これを $x$ の不等式に代入すると、断面における $x$ の範囲は

$$ 0 \le x \le (1-a)\left(1-\frac{t}{a}\right) \iff 0 \le x \le \frac{(1-a)(a-t)}{a} $$

となる。したがって、平面 $z=t$ における領域 $D$ の断面は、$y = \frac{t}{a}$ 上の線分となる。

この線分上の点 $(x, \frac{t}{a}, t)$ と $z$ 軸(すなわち点 $(0, 0, t)$)との距離を $r$ とすると、

$$ r^2 = x^2 + \left(\frac{t}{a}\right)^2 $$

である。$x$ が上記の範囲を動くとき、$r^2$ の取り得る値の範囲は

$$ \left(\frac{t}{a}\right)^2 \le r^2 \le \left\{\frac{(1-a)(a-t)}{a}\right\}^2 + \left(\frac{t}{a}\right)^2 $$

となる。 この線分を $z$ 軸のまわりに1回転させてできる図形は、平面 $z=t$ 上の円環(境界を含む)となる。その断面積を $S(t)$ とすると、

$$ \begin{aligned} S(t) &= \pi \left[ \left\{\frac{(1-a)(a-t)}{a}\right\}^2 + \left(\frac{t}{a}\right)^2 \right] - \pi \left(\frac{t}{a}\right)^2 \\ &= \pi \frac{(1-a)^2(a-t)^2}{a^2} \end{aligned} $$

となる。求める立体の体積 $V$ は、この断面積 $S(t)$ を $t$ について $0$ から $a$ まで積分して得られる。

$$ \begin{aligned} V &= \int_0^a S(t) dt \\ &= \int_0^a \pi \frac{(1-a)^2(a-t)^2}{a^2} dt \end{aligned} $$

ここで、$a-t = u$ とおくと、$dt = -du$ であり、積分区間は $a \to 0$ となる。

$$ \begin{aligned} V &= \frac{\pi (1-a)^2}{a^2} \int_a^0 u^2 (-du) \\ &= \frac{\pi (1-a)^2}{a^2} \int_0^a u^2 du \\ &= \frac{\pi (1-a)^2}{a^2} \left[ \frac{u^3}{3} \right]_0^a \\ &= \frac{\pi (1-a)^2}{a^2} \cdot \frac{a^3}{3} \\ &= \frac{\pi}{3} a(1-a)^2 \end{aligned} $$

次に、この $V$ が最大となるような $a$ ($0 < a < 1$) を求める。 $f(a) = a(1-a)^2$ とおき、$a$ について微分する。

$$ \begin{aligned} f'(a) &= 1 \cdot (1-a)^2 + a \cdot 2(1-a)(-1) \\ &= (1-a)\{ (1-a) - 2a \} \\ &= (1-a)(1-3a) \end{aligned} $$

$0 < a < 1$ において、$f'(a) = 0$ となるのは $a = \frac{1}{3}$ のときである。増減表は以下のようになる。

$a$ $(0)$ $\cdots$ $\frac{1}{3}$ $\cdots$ $(1)$
$f'(a)$ $+$ $0$ $-$
$f(a)$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$

したがって、$f(a)$ は $a = \frac{1}{3}$ のとき最大値をとる。 このときの体積 $V$ の最大値は

$$ V = \frac{\pi}{3} \cdot \frac{1}{3} \left(1 - \frac{1}{3}\right)^2 = \frac{\pi}{9} \cdot \frac{4}{9} = \frac{4\pi}{81} $$

である。

解説

空間図形を特定の軸のまわりに回転させた立体の体積を求める定石的な問題である。回転体の体積計算の大原則である「回転軸に垂直な平面で切断し、その断面の図形を回転させたものの面積を積分する」という手順を忠実に実行できれば完答できる。

本問では $z$ 軸まわりの回転であるため、$z=t$ で三角形を切断することになる。三角形を含む平面の方程式を媒介変数表示から求め、その平面上での領域の条件を不等式で表すことで、切断面に現れる線分の方程式と範囲を正確に把握できる。断面積の式や積分計算は比較的シンプルであり、微分による最大値の計算も標準的なため、計算ミスを防いで確実に取り切りたい。

答え

体積を最大にする $a$ は $\frac{1}{3}$、そのときの体積は $\frac{4\pi}{81}$

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