東京大学 1980年 文系 第2問 解説

方針・初手
立体は正四角錐台と呼ばれる対称性の高い図形である。まずは側面の台形 $ABFE$ の面積 $S(x)$ を $x$ の式で表すことを目指す。台形の面積を求めるには高さが必要となるため、立体の対称面で切断した断面図を取り出し、三平方の定理を用いて高さを $x$ で立式する。 その後、得られた $S(x)$ は無理関数となるため、計算を容易にするために面積を平方した関数の増減を微分法を用いて調べ、定義域内での最大値と最小値を求める。
解法1
辺 $AB$ の中点を $M$、辺 $EF$ の中点を $N$ とする。 立体は対称性を持つため、側面 $ABFE$ は $AE=BF$ の等脚台形であり、その高さは線分 $MN$ の長さに等しい。
上底面 $ABCD$ の中心を $O_1$、下底面 $EFGH$ の中心を $O_2$ とする。 4点 $M, N, O_2, O_1$ を通る平面で立体を切断すると、その断面は $\angle O_1 = \angle O_2 = 90^\circ$ の直角台形 $M O_1 O_2 N$ となる。
ここで、問題の条件より以下の長さがわかる。
$$ O_1 M = \frac{x}{2}, \quad O_2 N = \frac{12}{2} = 6, \quad O_1 O_2 = 4 $$
点 $M$ から線分 $O_2 N$ に下ろした垂線の足を $P$ とすると、$M P = O_1 O_2 = 4$ であり、線分 $PN$ の長さは次のように求まる。
$$ P N = O_2 N - O_2 P = O_2 N - O_1 M = 6 - \frac{x}{2} = \frac{12 - x}{2} $$
直角三角形 $M P N$ において三平方の定理を用いると、台形 $ABFE$ の高さ $MN$ は以下のように計算できる。
$$ \begin{aligned} M N^2 &= M P^2 + P N^2 \\ &= 4^2 + \left( \frac{12 - x}{2} \right)^2 \\ &= 16 + \frac{x^2 - 24x + 144}{4} \\ &= \frac{x^2 - 24x + 208}{4} \end{aligned} $$
$M N > 0$ より、次を得る。
$$ M N = \frac{1}{2} \sqrt{x^2 - 24x + 208} $$
したがって、台形 $ABFE$ の面積 $S(x)$ は次のように表される。
$$ \begin{aligned} S(x) &= \frac{1}{2} (AB + EF) \cdot M N \\ &= \frac{1}{2} (x + 12) \cdot \frac{1}{2} \sqrt{x^2 - 24x + 208} \\ &= \frac{1}{4} (x + 12) \sqrt{x^2 - 24x + 208} \end{aligned} $$
$x \geqq 2$ のとき $x+12 > 0$ であり $S(x) > 0$ であるから、$S(x)$ が最大・最小となる $x$ の値は、$\{S(x)\}^2$ が最大・最小となる $x$ の値と一致する。 ここで、計算を簡単にするため $f(x) = 16 \{S(x)\}^2$ とおくと、次式を得る。
$$ f(x) = (x + 12)^2 (x^2 - 24x + 208) $$
積の微分公式を用いて、$f(x)$ を $x$ について微分する。
$$ \begin{aligned} f'(x) &= 2(x + 12) \cdot (x^2 - 24x + 208) + (x + 12)^2 \cdot (2x - 24) \\ &= 2(x + 12) \{ (x^2 - 24x + 208) + (x + 12)(x - 12) \} \\ &= 2(x + 12) \{ (x^2 - 24x + 208) + (x^2 - 144) \} \\ &= 2(x + 12) (2x^2 - 24x + 64) \\ &= 4(x + 12) (x^2 - 12x + 32) \\ &= 4(x + 12) (x - 4)(x - 8) \end{aligned} $$
$2 \leqq x \leqq 10$ の範囲において $f'(x) = 0$ となるのは、$x = 4, 8$ のときである。 この範囲における $f'(x)$ の符号変化を調べると以下のようになる。
$2 \leqq x < 4$ のとき $f'(x) > 0$ $4 < x < 8$ のとき $f'(x) < 0$ $8 < x \leqq 10$ のとき $f'(x) > 0$
したがって、$f(x)$ および $S(x)$ は $x=4$ で極大、$x=8$ で極小となる。 最大値の候補は両端点と極大値を含む $x = 4, 10$ での $S(x)$ の値、最小値の候補は $x = 2, 8$ での $S(x)$ の値である。それぞれの値を計算する。
$$ \begin{aligned} S(2) &= \frac{1}{4} (2 + 12) \sqrt{2^2 - 24 \cdot 2 + 208} = \frac{14}{4} \sqrt{164} = \frac{7}{2} \cdot 2\sqrt{41} = 7\sqrt{41} \\ S(4) &= \frac{1}{4} (4 + 12) \sqrt{4^2 - 24 \cdot 4 + 208} = \frac{16}{4} \sqrt{128} = 4 \cdot 8\sqrt{2} = 32\sqrt{2} \\ S(8) &= \frac{1}{4} (8 + 12) \sqrt{8^2 - 24 \cdot 8 + 208} = \frac{20}{4} \sqrt{80} = 5 \cdot 4\sqrt{5} = 20\sqrt{5} \\ S(10) &= \frac{1}{4} (10 + 12) \sqrt{10^2 - 24 \cdot 10 + 208} = \frac{22}{4} \sqrt{68} = \frac{11}{2} \cdot 2\sqrt{17} = 11\sqrt{17} \end{aligned} $$
最大値の候補である $S(4)$ と $S(10)$ の大小を比較するため、それぞれを平方する。
$$ \begin{aligned} \{S(4)\}^2 &= (32\sqrt{2})^2 = 1024 \cdot 2 = 2048 \\ \{S(10)\}^2 &= (11\sqrt{17})^2 = 121 \cdot 17 = 2057 \end{aligned} $$
$\{S(4)\}^2 < \{S(10)\}^2$ であり $S(x) > 0$ であるから、$S(4) < S(10)$ となり、最大値は $11\sqrt{17}$ である。
同様に、最小値の候補である $S(2)$ と $S(8)$ の大小を比較する。
$$ \begin{aligned} \{S(2)\}^2 &= (7\sqrt{41})^2 = 49 \cdot 41 = 2009 \\ \{S(8)\}^2 &= (20\sqrt{5})^2 = 400 \cdot 5 = 2000 \end{aligned} $$
$\{S(8)\}^2 < \{S(2)\}^2$ であり $S(x) > 0$ であるから、$S(8) < S(2)$ となり、最小値は $20\sqrt{5}$ である。
解説
空間図形の計量と微分法を組み合わせた典型的な融合問題である。 ポイントは、求める面積を持つ側面の高さを正しく立式することである。空間図形のまま考えるのではなく、適切な断面(今回は各底面の平行な辺の中点を結ぶ平面)を切り出して、平面図形の三平方の定理に帰着させる手法が定石となる。 また、面積の関数 $S(x)$ が根号を含む形になるため、無理関数の微分を避けて面積の2乗の関数の増減を調べる工夫をすることで、計算ミスを減らしスムーズに極値を求めることができる。端点と極値の大小比較の際にも、平方した値で比較すると正確である。
答え
最大値 $11\sqrt{17}$ ($x=10$ のとき)
最小値 $20\sqrt{5}$ ($x=8$ のとき)
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