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東京大学 1963年 文系 第4問 解説

数学1/立体図形数学2/微分法テーマ/空間図形テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
東京大学 1963年 文系 第4問 解説

方針・初手

正四面体の相似関係を用いて、内接する三角柱の底面積と高さを $AP$ の長さを用いて表す。体積を $AP$ の関数として立式し、微分法(または相加・相乗平均の大小関係)を用いて最大値を求める。

解法1

$AP=x$ とおく。点P, Q, R はそれぞれ辺AB, AC, AD上の点であり、 $AP=AQ=AR=x$ であるから、四面体APQRは正四面体ABCDと相似であり、その相似比は $x : a$ である。ただし、点P, Q, Rは辺上にあるので $0 < x < a$ とする。

$\triangle PQR$ は一辺の長さが $x$ の正三角形であるから、三角柱の底面積となる $\triangle PQR$ の面積 $S$ は

$$ S = \frac{1}{2} \cdot x \cdot x \cdot \sin 60^\circ = \frac{\sqrt{3}}{4} x^2 $$

となる。

次に、頂点Aから面BCDに下ろした垂線の足をHとする。Hは正三角形BCDの重心に一致する。 直角三角形ABHにおいて、$AB=a$ であり、$BH$ は $\triangle BCD$ の外接円の半径となるから $BH = a \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} \cdot \frac{2}{3} = \frac{\sqrt{3}}{3}a$ である。よって、正四面体ABCDの高さ $AH$ は

$$ AH = \sqrt{AB^2 - BH^2} = \sqrt{a^2 - \left(\frac{\sqrt{3}}{3}a\right)^2} = \sqrt{\frac{2}{3}}a = \frac{\sqrt{6}}{3}a $$

となる。

面PQRは面BCDと平行であるから、Aから面PQRまでの距離は相似比より $\frac{x}{a} AH$ となる。 したがって、面PQRと面BCDの距離、すなわち三角柱の高さ $h$ は

$$ h = AH - \frac{x}{a} AH = AH \left(1 - \frac{x}{a}\right) = \frac{\sqrt{6}}{3}a \cdot \frac{a-x}{a} = \frac{\sqrt{6}}{3}(a-x) $$

となる。

以上より、三角柱の体積 $V(x)$ は

$$ V(x) = S \cdot h = \frac{\sqrt{3}}{4} x^2 \cdot \frac{\sqrt{6}}{3}(a-x) = \frac{\sqrt{2}}{4} x^2(a-x) $$

(1)

$f(x) = x^2(a-x) = -x^3 + ax^2$ とおく。$x$ で微分すると

$$ f'(x) = -3x^2 + 2ax = -3x \left(x - \frac{2}{3}a\right) $$

$0 < x < a$ の範囲において、$f'(x) = 0$ となるのは $x = \frac{2}{3}a$ のときである。 $0 < x < \frac{2}{3}a$ のとき $f'(x) > 0$ であり、$\frac{2}{3}a < x < a$ のとき $f'(x) < 0$ となるため、$f(x)$ は $x = \frac{2}{3}a$ のとき極大かつ最大となる。

このとき、三角柱の体積も最大となるため、求める $AP$ の長さは $\frac{2}{3}a$ である。

(2)

(1)より、三角柱の体積の最大値 $V_0$ は

$$ V_0 = V\left(\frac{2}{3}a\right) = \frac{\sqrt{2}}{4} \left(\frac{2}{3}a\right)^2 \left(a - \frac{2}{3}a\right) = \frac{\sqrt{2}}{4} \cdot \frac{4}{9}a^2 \cdot \frac{1}{3}a = \frac{\sqrt{2}}{27}a^3 $$

となる。

一方、正四面体ABCDの体積 $V$ は

$$ V = \frac{1}{3} \cdot \triangle BCD \cdot AH = \frac{1}{3} \cdot \left(\frac{\sqrt{3}}{4}a^2\right) \cdot \frac{\sqrt{6}}{3}a = \frac{\sqrt{2}}{12}a^3 $$

となる。

したがって、求める体積の比は

$$ \frac{V_0}{V} = \frac{ \frac{\sqrt{2}}{27}a^3 }{ \frac{\sqrt{2}}{12}a^3 } = \frac{12}{27} = \frac{4}{9} $$

となる。

解法2

(1) における最大値の求め方について、相加平均と相乗平均の大小関係を用いる別解を示す。

$V(x) = \frac{\sqrt{2}}{4} x^2(a-x)$ において、$x^2(a-x)$ の最大値を考える。 $0 < x < a$ より $\frac{x}{2} > 0$、$a-x > 0$ であるから、3つの正の数 $\frac{x}{2}, \frac{x}{2}, a-x$ に対して相加平均と相乗平均の大小関係を用いると

$$ \frac{\frac{x}{2} + \frac{x}{2} + (a-x)}{3} \geqq \sqrt[3]{\frac{x}{2} \cdot \frac{x}{2} \cdot (a-x)} $$

が成り立つ。左辺を計算すると和が定数 $a$ となるため

$$ \frac{a}{3} \geqq \sqrt[3]{\frac{x^2(a-x)}{4}} $$

両辺は正であるから3乗して整理すると

$$ \frac{a^3}{27} \geqq \frac{x^2(a-x)}{4} $$

$$ x^2(a-x) \leqq \frac{4}{27}a^3 $$

等号が成立するのは $\frac{x}{2} = a-x$ のとき、すなわち $x = \frac{2}{3}a$ のときである。 これは $0 < x < a$ を満たす。 よって、体積が最大となるときの $AP$ の長さは $\frac{2}{3}a$ である。

解説

立体図形の問題において、体積を1つの変数で表して最大・最小を求める典型的な問題である。正四面体に内接する立体の高さを求める際には、頂点から下ろした垂線と相似比を利用することで幾何的に処理でき、計算量を減らすことができる。 また、ある変数の和が一定になるような積の最大値を求める際、微分法だけでなく相加平均と相乗平均の大小関係を利用する手法は、計算ミスを防ぎ解答時間を短縮する有効な手段である。

答え

(1)

$$ AP = \frac{2}{3}a $$

(2)

$$ \frac{V_0}{V} = \frac{4}{9} $$

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