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東京大学 2007年 文系 第4問 解説

数学A/確率数学B/数列テーマ/場合分け
東京大学 2007年 文系 第4問 解説

方針・初手

ルール(R)によれば、途中で裏が出るとブロックの高さは $0$ にリセットされる。したがって、最後にブロックの高さが $m$ になる事象は、「最後の $m$ 回がすべて表」かつ「その直前(最後から数えて $m+1$ 回目)が裏」であることに他ならない。ただし、$m=n$ の場合は直前の回が存在しないため、例外として場合分けをする必要がある。

(2)では(1)で求めた確率の和を計算するか、余事象(最後から $m+1$ 回連続で表が出る)を考えると見通しがよい。

(3)は「最大値の確率」の典型的な処理として、累積確率 $P(X \leqq m)$ を用いて $P(X \leqq m) - P(X \leqq m-1)$ を計算する手法を用いる。

解法1

(1) $n$ 回の硬貨投げを終えた時点で、最後にブロックの高さが $m$ となる確率 $p_m$ を求める。

$m=n$ のとき $n$ 回すべてで表が出ればよいので、

$$ p_n = p^n $$

$0 \leqq m \leqq n-1$ のとき 最後の $m$ 回がすべて表であり、かつ、その直前である $(n-m)$ 回目には裏が出なければならない。それ以前の $(n-m-1)$ 回における硬貨の出方はブロックの最終的な高さに影響しない(それ以前の確率の総和は $1$ となるため)。 したがって、

$$ p_m = (1-p)p^m $$

(2) 最後にブロックの高さが $m$ 以下となる確率 $q_m$ は、$q_m = \sum_{k=0}^{m} p_k$ で求められる。

$m=n$ のとき ブロックの高さは必ず $n$ 以下となるため、全事象の確率に等しく、

$$ q_n = 1 $$

$0 \leqq m \leqq n-1$ のとき (1)の結果を用いて等比数列の和を計算する。

$$ \begin{aligned} q_m &= \sum_{k=0}^{m} p_k \\ &= \sum_{k=0}^{m} (1-p)p^k \\ &= (1-p) \frac{1-p^{m+1}}{1-p} \\ &= 1-p^{m+1} \end{aligned} $$

(3) $1$ 回目、$2$ 回目のゲームにおける最後のブロックの高さをそれぞれ $X_1, X_2$ とすると、$X_1, X_2$ は独立に確率分布 $P(X = k) = p_k$ に従う。 高い方のブロックの高さが $m$ となる確率 $r_m$ は、$Y = \max(X_1, X_2)$ としたとき、$P(Y = m)$ を求めることと同じである。 $Y \leqq m$ となる条件は、$X_1 \leqq m$ かつ $X_2 \leqq m$ となることである。$X_1$ と $X_2$ は独立であるから、

$$ P(Y \leqq m) = P(X_1 \leqq m)P(X_2 \leqq m) = (q_m)^2 $$

したがって、求める確率 $r_m$ は累積確率の差として、

$$ r_m = P(Y \leqq m) - P(Y \leqq m-1) = (q_m)^2 - (q_{m-1})^2 $$

で計算できる。(ただし $m=0$ のときは $r_0 = (q_0)^2$ とする) これを用いて場合分けを行う。

$m=0$ のとき (2)より $q_0 = 1-p$ であるから、

$$ r_0 = (1-p)^2 $$

$1 \leqq m \leqq n-1$ のとき (2)より $q_m = 1-p^{m+1}$、$q_{m-1} = 1-p^m$ であるから、

$$ \begin{aligned} r_m &= (1-p^{m+1})^2 - (1-p^m)^2 \\ &= \{ (1-p^{m+1}) - (1-p^m) \} \{ (1-p^{m+1}) + (1-p^m) \} \\ &= (p^m - p^{m+1}) (2 - p^m - p^{m+1}) \\ &= p^m(1-p) \{ 2 - p^m(1+p) \} \end{aligned} $$

なお、この式に $m=0$ を代入すると $(1-p)\{2-(1+p)\} = (1-p)^2$ となり、$m=0$ のときも成り立つ。

$m=n$ のとき (2)より $q_n = 1$、$q_{n-1} = 1-p^n$ であるから、

$$ \begin{aligned} r_n &= 1^2 - (1-p^n)^2 \\ &= 1 - (1 - 2p^n + p^{2n}) \\ &= p^n(2-p^n) \end{aligned} $$

解法2

(2)について、余事象を用いた別解を示す。

$0 \leqq m \leqq n-1$ のとき 最後にブロックの高さが $m$ 以下となる事象の余事象は、最後にブロックの高さが $m+1$ 以上となることである。 ルール(R)において、最後に高さが $m+1$ 以上になるための必要十分条件は、最後の $m+1$ 回が連続して表になることである。それ以前の出方は問わない。 よって、余事象の確率は $p^{m+1}$ となるため、求める確率 $q_m$ は、

$$ q_m = 1 - p^{m+1} $$

$m=n$ のとき 高さが $n+1$ 以上になることはないため、確率は $1$ である。

$$ q_n = 1 $$

解説

「リセットを含む試行」では、試行を後ろからさかのぼって考えるのが定石である。本問のように最後の状態のみに興味がある場合は、「最後の $m$ 回が表で、その直前が裏」というシンプルな条件に帰着できる。 (3)の最大値の確率は、$P(X=m)$ を直接求めるよりも、累積確率の差 $P(X \leqq m) - P(X \leqq m-1)$ を利用して解くのが鉄則である。この考え方は最小値の確率を求める際にも $P(X \geqq m) - P(X \geqq m+1)$ として応用できる。場合分けの境界である $m=0, n$ での扱いに注意して立式することが重要である。

答え

(1)

$m=n$ のとき $p_n = p^n$ $0 \leqq m \leqq n-1$ のとき $p_m = (1-p)p^m$

(2)

$m=n$ のとき $q_n = 1$ $0 \leqq m \leqq n-1$ のとき $q_m = 1-p^{m+1}$

(3)

$m=n$ のとき $r_n = p^n(2-p^n)$ $0 \leqq m \leqq n-1$ のとき $r_m = p^m(1-p)\{2-p^m(1+p)\}$

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