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東京大学 2007年 文系 第3問 解説

数学A/整数問題テーマ/整数の証明テーマ/場合分け
東京大学 2007年 文系 第3問 解説

方針・初手

正の整数の下2桁を求めることは、その数を $100$ で割った余りを求めることと同義である。

合同式を用いて、$5m^4 \pmod{100}$ がどのような値をとるかを調べる。式に係数 $5$ が含まれていることに着目し、二項定理を利用して $m$ の一の位($10$ で割った余り)のみに依存することを示す方針か、あるいは剰余の性質を用いて式全体を $5$ で割り、法を $20$ に落としてから中国剰余定理の考え方を用いる方針が有効である。

解法1

求める数は、$5m^4$ を $100$ で割った余りである。

任意の正の整数 $m$ は、ある $0$ 以上の整数 $q$ と、$0 \le r \le 9$ を満たす整数 $r$ を用いて、$m = 10q + r$ と表すことができる。

このとき、$5m^4$ を二項定理を用いて展開すると、以下のようになる。

$$ \begin{aligned} 5m^4 &= 5(10q + r)^4 \\ &= 5(10000q^4 + 4000q^3r + 600q^2r^2 + 40qr^3 + r^4) \\ &= 50000q^4 + 20000q^3r + 3000q^2r^2 + 200qr^3 + 5r^4 \\ &= 100(500q^4 + 200q^3r + 30q^2r^2 + 2qr^3) + 5r^4 \end{aligned} $$

上式の括弧内は整数であるため、法を $100$ とする合同式において次が成り立つ。

$$ 5m^4 \equiv 5r^4 \pmod{100} $$

これにより、$5m^4$ の下2桁は、$m$ の一の位の数 $r$ にのみ依存することがわかる。 したがって、各 $r = 0, 1, 2, \dots, 9$ について $5r^4$ を計算し、その下2桁を調べれば十分である。

調べた結果より、下2桁として現れる数は $0, 5, 25, 80$ である。

解法2

合同式の法を $100$ とする。$5m^4 \equiv x \pmod{100}$ を満たす整数 $x$ ($0 \le x \le 99$)を求める。

$100$ は $5$ の倍数であるため、$5m^4 - x$ が $100$ の倍数となるためには $x$ も $5$ の倍数でなければならない。 そこで、$x = 5y$ ($y$ は $0 \le y \le 19$ を満たす整数)とおく。

$$ 5m^4 \equiv 5y \pmod{100} $$

この合同式の両辺と法を $5$ で割ることで、以下の式を得る。

$$ m^4 \equiv y \pmod{20} $$

ここで、法 $20$ を互いに素な $4$ と $5$ に分解し、$m^4$ の法 $4$ および法 $5$ における余りを調べる。

まず、法 $4$ について考える。 $m$ が偶数のとき、$m = 2k$ とおくと $m^4 = 16k^4 \equiv 0 \pmod 4$ である。 $m$ が奇数のとき、$m = 2k+1$ とおくと $m^2 = 4k^2+4k+1 \equiv 1 \pmod 4$ より、$m^4 \equiv 1^2 \equiv 1 \pmod 4$ である。

次に、法 $5$ について考える。 $m$ が $5$ の倍数のとき、$m^4 \equiv 0 \pmod 5$ である。 $m$ が $5$ の倍数でないとき、$m$ と $5$ は互いに素であるため、フェルマーの小定理より $m^4 \equiv 1 \pmod 5$ である。

これらを組み合わせて、$y$ の値を場合分けして求める。

(i) $m$ が偶数かつ $5$ の倍数のとき

$y \equiv 0 \pmod 4$ かつ $y \equiv 0 \pmod 5$ である。 $4$ と $5$ は互いに素であるから、$y \equiv 0 \pmod{20}$ となる。 $0 \le y \le 19$ より $y = 0$ であり、$x = 5 \cdot 0 = 0$ である。

(ii) $m$ が偶数かつ $5$ の倍数でないとき

$y \equiv 0 \pmod 4$ かつ $y \equiv 1 \pmod 5$ である。 この連立合同式を満たす $0 \le y \le 19$ の範囲の整数は、$y = 16$ である。 よって、$x = 5 \cdot 16 = 80$ である。

(iii) $m$ が奇数かつ $5$ の倍数のとき

$y \equiv 1 \pmod 4$ かつ $y \equiv 0 \pmod 5$ である。 この連立合同式を満たす $0 \le y \le 19$ の範囲の整数は、$y = 5$ である。 よって、$x = 5 \cdot 5 = 25$ である。

(iv) $m$ が奇数かつ $5$ の倍数でないとき

$y \equiv 1 \pmod 4$ かつ $y \equiv 1 \pmod 5$ である。 $4$ と $5$ は互いに素であるから、$y \equiv 1 \pmod{20}$ となる。 $0 \le y \le 19$ より $y = 1$ であり、$x = 5 \cdot 1 = 5$ である。

以上 (i) から (iv) より、求める下2桁の数は $0, 5, 25, 80$ である。

解説

法(剰余)の周期性を見抜くことができるかを問う、整数問題の典型的なテーマである。

解法1は、式に $5$ がかかっていることを利用して、二項定理を用いて法 $100$ における余りが $m$ の一の位だけで決定されることを示すアプローチである。特別な知識を必要とせず、確実に計算を進められるため実践的である。

解法2は、式全体が $5$ の倍数であることに着目し、両辺と法を $5$ で割ってから互いに素な法($4$ と $5$)の連立合同式に帰着させるアプローチである。偶奇による分類やフェルマーの小定理を活用することで、大きな数の計算を避けてエレガントに結論を導くことができる。

答え

下2桁として現れる数は $0, 5, 25, 80$ である。

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