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東京大学 1972年 理系 第1問 解説

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東京大学 1972年 理系 第1問 解説

方針・初手

点 $P$ は $xy$ 平面上の点であるため、$P(x, y, 0)$ と表せる。空間内の角 $\angle APB$ に関する条件が与えられているので、これを数式化することが最初のステップとなる。

角の条件を処理する方法として、ベクトルを利用して内積と余弦定理に帰着させる代数的なアプローチ(解法1)と、図形の対称性に注目して2次元平面上の円周角の問題に帰着させる幾何的なアプローチ(解法2)の2つが考えられる。

どちらのアプローチを採用しても、$x, y$ が満たすべき不等式(領域)が求まるので、最後に与えられた $0 \leqq x \leqq 15, 0 \leqq y \leqq 15$ との共通部分を図示し、面積を計算する。

解法1

原点を $O(0,0,0)$ とし、$OP^2 = x^2 + y^2 = r^2$ ($r \geqq 0$)とおく。

与えられた点 $A(0, 0, 6), B(0, 0, 20)$ に対し、ベクトル $\vec{PA}, \vec{PB}$ を成分で表すと、

$$ \vec{PA} = (0 - x, 0 - y, 6 - 0) = (-x, -y, 6) $$

$$ \vec{PB} = (0 - x, 0 - y, 20 - 0) = (-x, -y, 20) $$

となる。これらの内積と大きさを計算する。

$$ \vec{PA} \cdot \vec{PB} = (-x)(-x) + (-y)(-y) + 6 \cdot 20 = x^2 + y^2 + 120 = r^2 + 120 $$

$$ |\vec{PA}| = \sqrt{(-x)^2 + (-y)^2 + 6^2} = \sqrt{r^2 + 36} $$

$$ |\vec{PB}| = \sqrt{(-x)^2 + (-y)^2 + 20^2} = \sqrt{r^2 + 400} $$

$\angle APB = \theta$ とおくと、内積の定義より、

$$ \cos\theta = \frac{\vec{PA} \cdot \vec{PB}}{|\vec{PA}||\vec{PB}|} = \frac{r^2 + 120}{\sqrt{r^2 + 36}\sqrt{r^2 + 400}} $$

三角形の内角であるから $0^\circ < \theta < 180^\circ$ であり、条件 $\theta \geqq 30^\circ$ を満たすとき、$\cos\theta$ は単調減少であるから、

$$ \cos\theta \leqq \cos 30^\circ = \frac{\sqrt{3}}{2} $$

が成り立つ。$r^2 \geqq 0$ より $r^2 + 120 > 0$ であるため、$\cos\theta > 0$ であり、両辺は正である。したがって、両辺を2乗しても同値性が保たれる。

$$ \frac{(r^2 + 120)^2}{(r^2 + 36)(r^2 + 400)} \leqq \frac{3}{4} $$

分母を払って整理していく。

$$ 4(r^2 + 120)^2 \leqq 3(r^2 + 36)(r^2 + 400) $$

$$ 4(r^4 + 240r^2 + 14400) \leqq 3(r^4 + 436r^2 + 14400) $$

$$ 4r^4 + 960r^2 + 57600 \leqq 3r^4 + 1308r^2 + 43200 $$

$$ r^4 - 348r^2 + 14400 \leqq 0 $$

左辺を因数分解する。$48 \times 300 = 14400$ かつ $48 + 300 = 348$ であることに着目すると、

$$ (r^2 - 48)(r^2 - 300) \leqq 0 $$

これを解いて、

$$ 48 \leqq r^2 \leqq 300 $$

すなわち、$x, y$ の満たすべき条件は以下のようになる。

$$ 48 \leqq x^2 + y^2 \leqq 300 $$

次に、面積を求める。$x, y$ は $0 \leqq x \leqq 15, 0 \leqq y \leqq 15$ を満たす。

座標平面上で、正方形 $D: 0 \leqq x \leqq 15, 0 \leqq y \leqq 15$ と、円環領域 $E: 48 \leqq x^2 + y^2 \leqq 300$ を考える。求める面積 $S$ は、$D$ と $E$ の共通部分の面積である。

円 $C_1: x^2 + y^2 = 48$ の半径は $\sqrt{48} = 4\sqrt{3}$ であり、$4\sqrt{3} < 15$ であるから、第1象限における $C_1$ の内部はすべて $D$ に含まれる。

円 $C_2: x^2 + y^2 = 300$ の半径は $\sqrt{300} = 10\sqrt{3}$ である。この円と直線 $x = 15$ の交点を求める。

$$ 15^2 + y^2 = 300 $$

$$ y^2 = 300 - 225 = 75 $$

$y > 0$ より $y = \sqrt{75} = 5\sqrt{3}$ となり、交点を $P_1(15, 5\sqrt{3})$ とする。

対称性から、円 $C_2$ と直線 $y = 15$ の交点は $P_2(5\sqrt{3}, 15)$ である。

第1象限において、円 $C_2$ の内部から正方形 $D$ の外にはみ出ている部分は2箇所あり、これらは直線 $y = x$ に関して対称で合同である。直線 $x = 15$ の右側にはみ出た部分の面積を $S_1$ とする。

原点を $O$ とすると、線分 $OP_1$ が $x$ 軸の正の向きとなす角 $\alpha$ は、$\cos\alpha = \frac{15}{10\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}}{2}$ より $\alpha = 30^\circ$ である。

したがって、$S_1$ は、中心角 $30^\circ$ の扇形から、底辺 $15$、高さ $5\sqrt{3}$ の直角三角形を除いた面積に等しい。

$$ S_1 = \frac{1}{2} \cdot (10\sqrt{3})^2 \cdot \frac{\pi}{6} - \frac{1}{2} \cdot 15 \cdot 5\sqrt{3} = 25\pi - \frac{75\sqrt{3}}{2} $$

求める図形の面積 $S$ は、第1象限における円 $C_2$ の四分円から、はみ出た2つの部分($2 \times S_1$)を除き、さらに内側の円 $C_1$ の四分円を除いたものになる。

$$ S = \frac{1}{4} \cdot \pi \cdot 300 - 2S_1 - \frac{1}{4} \cdot \pi \cdot 48 $$

$$ S = 75\pi - 2 \left( 25\pi - \frac{75\sqrt{3}}{2} \right) - 12\pi $$

$$ S = 75\pi - 50\pi + 75\sqrt{3} - 12\pi = 13\pi + 75\sqrt{3} $$

解法2

点 $P$ は $xy$ 平面上にあるため、原点 $O$ から $P$ までの距離を $r$ とすると、$r = \sqrt{x^2+y^2}$($r \geqq 0$)となる。

点 $A, B$ は $z$ 軸上にあり、$xy$ 平面と直交している。空間の対称性により、点 $P$ がどの方向にあっても、直線 $AB$ と点 $P$ を含む平面で切断すれば、状況はすべて同じ平面図形の問題に帰着できる。

横軸を $r$、縦軸を $z$ とした平面を考えると、点 $A, B$ の座標はそれぞれ $A(0, 6), B(0, 20)$ となり、点 $P$ は $r$ 軸上の点 $P(r, 0)$ と表せる。

$\angle APB \geqq 30^\circ$ となるような点 $P$ の存在範囲を考える。線分 $AB$ を見込む角がちょうど $30^\circ$ となる点 $P$ の軌跡は、線分 $AB$ を弦とし、中心角が $60^\circ$ となる円弧である。

この円の中心を $C(R, z_c)$ とおく。中心は線分 $AB$ の垂直二等分線上にあるため、$z_c = \frac{6 + 20}{2} = 13$ である。

弦 $AB$ の長さは $14$ であり、中心角が $60^\circ$ であることから、この円の半径を $R_c$ とすると、一辺 $14$ の正三角形を形作るので $R_c = 14$ である。

また、中心 $C$ の $r$ 座標 $R$ は、$AB$ の中点 $(0, 13)$ と中心の距離に等しく、

$$ R = 14 \cos 30^\circ = 7\sqrt{3} $$

となる。よって、この円の方程式は以下のようになる。

$$ (r - 7\sqrt{3})^2 + (z - 13)^2 = 14^2 = 196 $$

点 $P(r, 0)$ が $\angle APB \geqq 30^\circ$ を満たす条件は、点 $P$ がこの円の内部または境界に含まれることである。$z = 0$ を代入して、

$$ (r - 7\sqrt{3})^2 + (-13)^2 \leqq 196 $$

$$ (r - 7\sqrt{3})^2 + 169 \leqq 196 $$

$$ (r - 7\sqrt{3})^2 \leqq 27 $$

これを解くと、

$$ -3\sqrt{3} \leqq r - 7\sqrt{3} \leqq 3\sqrt{3} $$

$$ 4\sqrt{3} \leqq r \leqq 10\sqrt{3} $$

$r \geqq 0$ であるから、各辺を2乗して以下の不等式を得る。

$$ 48 \leqq r^2 \leqq 300 $$

すなわち、$48 \leqq x^2 + y^2 \leqq 300$ となり、解法1と同じ条件が導かれる。以降の面積計算は解法1と同様である。

解説

空間における角度の不等式条件を平面の領域に変換し、その面積を求める問題である。

初手のアプローチとして、空間ベクトルを用いて内積と長さから $\cos\theta$ を立式する解法1が最も定石で安全な方法である。一方で、空間の対称性に気づけば、解法2のように初等幾何(円周角の定理)を用いて鮮やかに範囲を特定することもできる。

面積計算においては、領域が単なる扇形ではなく、正方形領域からはみ出る部分の処理が必要になる。交点の座標から角度($30^\circ, 60^\circ$)が綺麗に求まるように作問されているため、図を描いて扇形と直角三角形の面積の足し引きに分解することで、積分の煩雑な計算を回避できる。

答え

$$ 13\pi + 75\sqrt{3} $$

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