東京大学 2019年 理系 第3問 解説

方針・初手
平面 $\alpha$ の方程式を求めることから始める。条件から平面の通る 2 点と、平面に平行なベクトルがわかるため、法線ベクトルを決定できる。
(1) は $y=0$ ($xz$ 平面)での切断なので、八面体の頂点のうち $y=0$ にあるものから切り口となる四角形を特定し、平面 $\alpha$ との交線を書き込む。
(2) は立体と平面の交わりである。各頂点の座標を平面の方程式に代入した値の符号(平面のどちら側にあるか)を調べ、符号が異なる頂点間を結ぶ辺と平面が交わる性質を利用して、交点の数を調べる。
(3) は $y \geqq 0, z \geqq 0$ の領域にある八面体の面の方程式を求め、平面 $\alpha$ の方程式と連立させて $(y, z)$ が満たすべき不等式領域を導出し、その面積を計算する。
解法1
平面 $\alpha$ の方程式を求める。 線分 AB の中点 M は $(1, 1, 0)$、線分 AD の中点 N は $(1, -1, 0)$ である。 ベクトル $\vec{MN} = (0, -2, 0)$ であり、直線 AE の方向ベクトルは $\vec{AE} = (-2, 0, -2) = -2(1, 0, 1)$ である。 平面 $\alpha$ の法線ベクトルを $\vec{n} = (a, b, c)$ とおくと、$\vec{n} \cdot \vec{MN} = 0$ および $\vec{n} \cdot (1, 0, 1) = 0$ を満たすので、$b = 0$, $a + c = 0$ である。 したがって、法線ベクトルの一つとして $\vec{n} = (1, 0, -1)$ をとることができる。 平面 $\alpha$ は点 M $(1, 1, 0)$ を通るので、その方程式は以下のようになる。
$$ 1 \cdot (x - 1) + 0 \cdot (y - 1) - 1 \cdot (z - 0) = 0 \iff x - z = 1 $$
(1)
八面体 PABCDE の頂点のうち、$y=0$ 平面上にあるのは A $(2,0,0)$, C $(-2,0,0)$, E $(0,0,-2)$, P $(p,0,2)$ である。 したがって、$y=0$ による切り口は、$xz$ 平面上の四角形 PACE の周および内部となる。 また、平面 $\alpha$ の $y=0$ による切り口は、$xz$ 平面上の直線 $x - z = 1$ (すなわち $z = x - 1$)である。 $2 < p < 4$ であるから、点 P は点 A の上方に位置する。 これを同一平面上に図示するには、横軸に $x$ 軸、縦軸に $z$ 軸をとり、頂点 A $(2,0)$, C $(-2,0)$, E $(0,-2)$, P $(p,2)$ を結んだ四角形と、点 $(1,0)$ および $(0,-1)$ を通る直線 $z = x - 1$ を描けばよい。
(2)
平面 $\alpha$ 上の点に対して $f(x,y,z) = x - z - 1 = 0$ が成り立つ。 空間は $\alpha$ によって $f(x,y,z) > 0$ の領域と $f(x,y,z) < 0$ の領域に分けられる。 切り口が八角形となる条件は、平面 $\alpha$ が八面体の 8 つの面すべてと交わることであり、それは $\alpha$ が八面体の辺のうち 8 本と交わることと同値である。 辺と $\alpha$ が交わる条件は、辺の両端点における $f(x,y,z)$ の符号が異なることである。 各頂点の $f(x,y,z)$ の値を調べると、
$$ \begin{aligned} f(A) &= 2 - 0 - 1 = 1 > 0 \\ f(B) &= 0 - 0 - 1 = -1 < 0 \\ f(C) &= -2 - 0 - 1 = -3 < 0 \\ f(D) &= 0 - 0 - 1 = -1 < 0 \\ f(E) &= 0 - (-2) - 1 = 1 > 0 \\ f(P) &= p - 2 - 1 = p - 3 \end{aligned} $$
となる。A, B, C, D, E の符号により、$\alpha$ と交わる辺は AB, AD, EB, EC, ED の 5 本に確定する。(BC, CD, EA は端点の符号が等しいため交わらない) 残るは頂点 P を含む辺 PA, PB, PC, PD である。
(i)
$p - 3 > 0$ すなわち $3 < p < 4$ のとき
$f(P) > 0$ となり、P と符号が異なる頂点は B, C, D である。 よって $\alpha$ は PB, PC, PD の 3 本の辺と交わり、全体で $5 + 3 = 8$ 本の辺と交わる。このとき切り口は八角形となる。
(ii)
$p - 3 = 0$ すなわち $p = 3$ のとき
$f(P) = 0$ となり、$\alpha$ は頂点 P を通る。交点の数は減り、八角形にはならない。
(iii)
$p - 3 < 0$ すなわち $2 < p < 3$ のとき
$f(P) < 0$ となり、P と符号が異なる頂点は A のみである。 よって $\alpha$ は PA の 1 本のみと交わり、全体で $5 + 1 = 6$ 本の辺と交わるため、切り口は六角形となる。
以上より、求める範囲は $3 < p < 4$ である。
(3)
実数 $p$ は $3 < p < 4$ を満たすとする。 $y \geqq 0, z \geqq 0$ の範囲にある八面体の表面は、面 PAB と面 PBC である。 平面 PAB は A $(2,0,0)$, B $(0,2,0)$, P $(p,0,2)$ を通る平面であり、その方程式と八面体内部を表す条件は以下のようになる。
$$ 2x + 2y + (2-p)z \leqq 4 $$
平面 PBC は B $(0,2,0)$, C $(-2,0,0)$, P $(p,0,2)$ を通る平面であり、同様に以下の条件を満たす。
$$ -2x + 2y + (p+2)z \leqq 4 $$
平面 $\alpha$ 上の点は $x = z + 1$ を満たす。これを上記の 2 つの不等式に代入する。 面 PAB 側の条件:
$$ 2(z + 1) + 2y + (2-p)z \leqq 4 \iff 2y + (4-p)z \leqq 2 $$
面 PBC 側の条件:
$$ -2(z + 1) + 2y + (p+2)z \leqq 4 \iff 2y + pz \leqq 6 $$
したがって、点 $(y,z)$ が動く範囲 $D$ は、以下の 4 つの不等式で表される領域である。
$$ \begin{cases} y \geqq 0 \\ z \geqq 0 \\ 2y + (4-p)z \leqq 2 \\ 2y + pz \leqq 6 \end{cases} $$
境界となる直線 $L_1 : 2y + (4-p)z = 2$ と直線 $L_2 : 2y + pz = 6$ の交点を求める。 両式を辺々引くと $(2p - 4)z = 4 \implies z = \frac{2}{p-2}$ となる。 このとき $y = \frac{2(p-3)}{p-2}$ となる。 $3 < p < 4$ のとき、$y > 0, z > 0$ であるため、交点は第1象限に存在する。
また、$y=0$ のとき、$L_1$ では $z = \frac{2}{4-p}$、$L_2$ では $z = \frac{6}{p}$ となる。 $3 < p < 4$ より $\frac{2}{4-p} - \frac{6}{p} = \frac{8p - 24}{p(4-p)} > 0$ なので、$L_1$ の $z$ 切片のほうが大きい。 $z=0$ のときは、$L_1$ では $y = 1$、$L_2$ では $y = 3$ となるため、$L_1$ の $y$ 切片のほうが小さい。
したがって、領域 $D$ は原点 $O(0,0)$、点 $A(1,0)$、交点 $B\left( \frac{2(p-3)}{p-2}, \frac{2}{p-2} \right)$、点 $C\left( 0, \frac{6}{p} \right)$ を頂点とする四角形となる。 この四角形の面積 $S$ は、$\triangle OAB$ と $\triangle OBC$ の面積の和として計算できる。
$$ \begin{aligned} S &= \triangle OAB + \triangle OBC \\ &= \frac{1}{2} \cdot OA \cdot (\text{B の } z \text{ 座標}) + \frac{1}{2} \cdot OC \cdot (\text{B の } y \text{ 座標}) \\ &= \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot \frac{2}{p-2} + \frac{1}{2} \cdot \frac{6}{p} \cdot \frac{2(p-3)}{p-2} \\ &= \frac{1}{p-2} + \frac{6(p-3)}{p(p-2)} \\ &= \frac{p + 6p - 18}{p(p-2)} \\ &= \frac{7p - 18}{p(p-2)} \end{aligned} $$
解説
多面体と平面の切り口の形状を考える際に、方程式に各頂点を代入して符号(平面のどちら側にあるか)を調べるアプローチが非常に強力である。平面によって頂点がどのように分断されるかを可視化することで、交わる辺の数を機械的かつ正確に数えることができる。 また、(3) のように立体図形の断面の面積を求める問題では、立体を構成する面の方程式を不等式で表し、切断する平面の条件を代入することで、2 変数の不等式領域の問題に帰着させると整理しやすい。
答え
(1)
$xz$ 平面上で、八面体の切り口は頂点 $(2,0), (-2,0), (0,-2), (p,2)$ を結ぶ四角形の周および内部であり、平面 $\alpha$ の切り口は直線 $z=x-1$ である。
(2)
$3 < p < 4$
(3)
$\frac{7p - 18}{p(p-2)}$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











