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東京大学 1991年 理系 第2問 解説

数学C/式と曲線数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/空間図形テーマ/面積・体積
東京大学 1991年 理系 第2問 解説

方針・初手

点光源上の点と板上の点をそれぞれ文字で置き、直線の方程式(媒介変数表示)を用いて $xy$ 平面上の影の座標を立式する。 得られた影の座標を、「光源の動きに由来する部分」と「板の大きさに由来する部分」の和として表し、図形の平行移動(Minkowski 和)の観点から影の通過領域の形状を捉える。

解法1

光源 $P$ の座標を $(x_0, y_0, c+1)$ とおく。点 $P$ は平面 $z=c+1$ 上の楕円 $\frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1$ の上にあるから、

$$ \frac{x_0^2}{a^2} + \frac{y_0^2}{b^2} = 1 \cdots \text{①} $$

を満たす。 また、板 $R$ 上の点 $Q$ の座標を $(u, v, c)$ とおく。板 $R$ は $|x| \leqq a, |y| \leqq b, z=c$ を満たすので、

$$ -a \leqq u \leqq a, \quad -b \leqq v \leqq b \cdots \text{②} $$

である。 光源 $P$ から出て点 $Q$ を通る光線が $xy$ 平面 ($z=0$) 上に作る影の点を $S(X, Y, 0)$ とする。 点 $S$ は直線 $PQ$ 上にあるため、実数 $t$ を用いて

$$ (X, Y, 0) = (1-t)(x_0, y_0, c+1) + t(u, v, c) $$

と表せる。$z$ 成分に注目すると、

$$ 0 = (1-t)(c+1) + tc \iff c + 1 - t = 0 \iff t = c+1 $$

このとき、$x, y$ 成分はそれぞれ以下のようになる。

$$ X = -c x_0 + (c+1)u $$

$$ Y = -c y_0 + (c+1)v $$

ここで、$x_1 = -c x_0$, $y_1 = -c y_0$ とおくと、①より

$$ \frac{x_1^2}{c^2 a^2} + \frac{y_1^2}{c^2 b^2} = \frac{(-c x_0)^2}{c^2 a^2} + \frac{(-c y_0)^2}{c^2 b^2} = \frac{x_0^2}{a^2} + \frac{y_0^2}{b^2} = 1 $$

したがって、点 $(x_1, y_1)$ は楕円 $E: \frac{x^2}{c^2 a^2} + \frac{y^2}{c^2 b^2} = 1$ 上を動く。 また、$U = (c+1)u$, $V = (c+1)v$ とおくと、②より

$$ -a(c+1) \leqq U \leqq a(c+1), \quad -b(c+1) \leqq V \leqq b(c+1) $$

であり、点 $(U, V)$ は中心が原点で各辺が座標軸に平行な長方形領域 $D$ 全体を動く。 点 $S$ の $xy$ 座標 $(X, Y)$ は

$$ X = x_1 + U, \quad Y = y_1 + V $$

と表されるので、影の通過する領域は、長方形領域 $D$ を、その中心 $(x_1, y_1)$ が楕円 $E$ 上を一周するように平行移動させたときの通過領域に等しい。

この領域の境界は、長方形の辺が掃く線分と、楕円 $E$ の最も外側に長方形 $D$ の頂点が位置するときの軌跡(四分楕円)によって構成される。 具体的には、影の通過する領域は以下の図形の和集合となる。

(i) 長方形 $D$ の中心が $x$ 軸上の点 $(\pm ca, 0)$ にあるときの長方形を包括する十字型の横部分:

$$ |x| \leqq a(c+1) + ca = a(2c+1), \quad |y| \leqq b(c+1) $$

(ii) 長方形 $D$ の中心が $y$ 軸上の点 $(0, \pm cb)$ にあるときの長方形を包括する十字型の縦部分:

$$ |x| \leqq a(c+1), \quad |y| \leqq b(c+1) + cb = b(2c+1) $$

(iii) 四隅の角を丸める、長方形の各頂点が描く四分楕円領域: 第1象限では、中心 $(a(c+1), b(c+1))$、横半径 $ca$、縦半径 $cb$ の楕円の $x \geqq a(c+1), y \geqq b(c+1)$ の部分。 他の象限も $x$ 軸、$y$ 軸、原点について対称に同様の四分楕円となる。

したがって、影の通過する部分の図は、これらを囲む閉領域(境界を含む)となる。

次に面積 $S$ を求める。 この領域は、十字型の多角形部分と、四隅の四分楕円部分に分割できる。 十字型の部分は、縦横の長方形の和集合である。 横の長方形の面積は $2a(2c+1) \times 2b(c+1) = 4ab(2c+1)(c+1)$ 縦の長方形の面積は $2a(c+1) \times 2b(2c+1) = 4ab(c+1)(2c+1)$ 重なり合う中央の長方形の面積は $2a(c+1) \times 2b(c+1) = 4ab(c+1)^2$ よって、十字型の面積 $S_{\text{cross}}$ は

$$ \begin{aligned} S_{\text{cross}} &= 4ab(2c+1)(c+1) + 4ab(c+1)(2c+1) - 4ab(c+1)^2 \\ &= 4ab(c+1) \{ (2c+1) + (2c+1) - (c+1) \} \\ &= 4ab(c+1)(3c+1) \\ &= 4ab(3c^2 + 4c + 1) \end{aligned} $$

四隅の四分楕円は合わせると、長軸 $2ca$、短軸 $2cb$ の1つの楕円になるため、その面積 $S_{\text{ellipse}}$ は

$$ S_{\text{ellipse}} = \pi (ca)(cb) = \pi c^2 ab $$

以上より、求める面積 $S$ は

$$ \begin{aligned} S &= S_{\text{cross}} + S_{\text{ellipse}} \\ &= 4ab(3c^2 + 4c + 1) + \pi c^2 ab \\ &= ab \{ (12+\pi)c^2 + 16c + 4 \} \end{aligned} $$

解説

光線の通過領域や影の形状を求める典型問題である。空間図形の問題ではあるが、直線のベクトル方程式または媒介変数表示を用いることで、平面上の軌跡領域の問題に帰着できる。 本問の最大のポイントは、影の座標 $(X, Y)$ を $X = x_1 + U, Y = y_1 + V$ という「独立に動く2点の座標の和」の形に整理できたかどうかに尽きる。このように変形することで、複雑な包絡線の計算を回避し、図形の平行移動の軌跡として直感的に領域の形状を捉えることができる。面積計算においても、積分に頼らず基本的な図形の面積の足し合わせで処理できるため、計算ミスを防ぎやすい。

答え

影の通過する部分の図は、 4つの線分 $x = \pm a(2c+1) \ ( |y| \leqq b(c+1) )$、$y = \pm b(2c+1) \ ( |x| \leqq a(c+1) )$ と、 4つの点 $(\pm a(c+1), \pm b(c+1))$ (複号任意)をそれぞれ中心とする横半径 $ca$、縦半径 $cb$ の四分楕円弧(外側に凸な部分) をなめらかに繋いだ閉曲線に囲まれる領域(境界を含む)である。 その面積は $ab \{ (12+\pi)c^2 + 16c + 4 \}$

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