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東京大学 1992年 理系 第4問 解説

数学1/立体図形数学2/三角関数テーマ/空間図形テーマ/媒介変数
東京大学 1992年 理系 第4問 解説

方針・初手

円柱面 $A$ 上の点を媒介変数を用いて表し、それが円柱面 $B$ の内部($B$ に囲まれる部分)に含まれる条件を求める。 円柱面 $A$ は $x$ 軸に平行で半径1の円柱であるから、断面の円の偏角 $\theta$ を用いて $y = \cos \theta, z = \sin \theta$ とパラメータ表示できる。これを $B$ の内部を表す不等式に代入し、$x$ と $\theta$ の関係式を導く。その後、切り開く直線からの弧長を軸にとって展開図上の領域を特定する。

解法1

円柱面 $A$ は $x$ 軸を中心とする半径1の円柱である。 点 $(0, 1, 0)$ を通り $x$ 軸と平行な直線($y=1, z=0$)に沿って $A$ を切り開くため、この切り口を基準とした偏角 $\theta$ ($0 \le \theta \le 2\pi$) を用いると、$A$ 上の点 $(x, y, z)$ は次のように表せる。

$$ y = \cos \theta, \quad z = \sin \theta $$

展開図において、切り口からの弧長を $l$ とすると、円の半径が1であるから $l = \theta$ ($0 \le l \le 2\pi$) である。したがって、展開図上の座標は $(x, l)$ で表される。

次に、円柱面 $B$ に囲まれる部分(内部も含む)は次の不等式で表される。

$$ x^2 - \sqrt{3}xz + z^2 \le \frac{1}{4} $$

これに $z = \sin \theta$ を代入する。

$$ x^2 - \sqrt{3}x \sin \theta + \sin^2 \theta \le \frac{1}{4} $$

$$ x^2 - (\sqrt{3}\sin \theta)x + \sin^2 \theta - \frac{1}{4} \le 0 $$

この $x$ についての2次不等式を解く。左辺を $=0$ としたときの解は、解の公式より

$$ x = \frac{\sqrt{3}\sin \theta \pm \sqrt{3\sin^2 \theta - 4\left(\sin^2 \theta - \frac{1}{4}\right)}}{2} $$

$$ x = \frac{\sqrt{3}\sin \theta \pm \sqrt{1 - \sin^2 \theta}}{2} $$

$$ x = \frac{\sqrt{3}\sin \theta \pm \sqrt{\cos^2 \theta}}{2} $$

$$ x = \frac{\sqrt{3}\sin \theta \pm |\cos \theta|}{2} $$

ここで、$\theta$ の範囲によって場合分けを行う。

(i)

$0 \le \theta \le \frac{\pi}{2}$ または $\frac{3\pi}{2} \le \theta \le 2\pi$ のとき $\cos \theta \ge 0$ より $|\cos \theta| = \cos \theta$ であるから、不等式の解は

$$ \frac{\sqrt{3}\sin \theta - \cos \theta}{2} \le x \le \frac{\sqrt{3}\sin \theta + \cos \theta}{2} $$

三角関数の合成(加法定理の逆)を用いると、

$$ \sin\left(\theta - \frac{\pi}{6}\right) \le x \le \sin\left(\theta + \frac{\pi}{6}\right) $$

(ii)

$\frac{\pi}{2} < \theta < \frac{3\pi}{2}$ のとき $\cos \theta < 0$ より $|\cos \theta| = -\cos \theta$ であるから、不等式の解は

$$ \frac{\sqrt{3}\sin \theta + \cos \theta}{2} \le x \le \frac{\sqrt{3}\sin \theta - \cos \theta}{2} $$

同様に合成すると、

$$ \sin\left(\theta + \frac{\pi}{6}\right) \le x \le \sin\left(\theta - \frac{\pi}{6}\right) $$

以上 (i), (ii) より、切り抜かれる領域($B$ の内部)の境界線は、展開図上($l = \theta$)において次の2つの曲線で表される。

$$ x = \sin\left(l + \frac{\pi}{6}\right) $$

$$ x = \sin\left(l - \frac{\pi}{6}\right) $$

これら2つの曲線の交点は、$\sin(l + \frac{\pi}{6}) = \sin(l - \frac{\pi}{6})$ を満たす点であり、$\cos l = 0$ すなわち $l = \frac{\pi}{2}, \frac{3\pi}{2}$ のときである。

また、展開図の上端および下端($l = 0, 2\pi$)における $x$ の範囲は、 $\sin\left(-\frac{\pi}{6}\right) \le x \le \sin\left(\frac{\pi}{6}\right)$ すなわち $-\frac{1}{2} \le x \le \frac{1}{2}$ である。

図形 $C$ は、帯状の領域 ($0 \le l \le 2\pi$, $x$ は実数全体) から、上記の2曲線に囲まれた領域を除いた残りの部分となる。

解説

空間図形の切り取り問題では、基準となる円柱面(本問では $A$)をパラメータ表示し、もう一方の図形(本問では $B$)の条件式に代入して領域を特定するのが定石である。 展開図を考える際は、切り開く位置を原点($l=0$)とし、そこからの弧長 $l$ と母線方向の座標 $x$ を軸とした直交座標系を設定すると見通しが良くなる。 $x$ についての2次不等式を解く際、$\sqrt{\cos^2 \theta} = |\cos \theta|$ となることに注意が必要だが、場合分けを行って整理すると最終的な境界線は2つのシンプルな正弦曲線 $x = \sin(l \pm \frac{\pi}{6})$ に帰着する。

答え

図形 $C$ の展開図は、横軸に $x$ 軸、縦軸に切り口からの弧長 $l$ ($0 \le l \le 2\pi$) をとった直交座標平面において、領域 $0 \le l \le 2\pi$ から次の2つの曲線で囲まれた部分を切り抜いた残りの領域である。

境界線の式:

$$ x = \sin\left(l + \frac{\pi}{6}\right) $$

$$ x = \sin\left(l - \frac{\pi}{6}\right) $$

切り抜かれる部分の特徴は以下の通り。

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