東京大学 1976年 理系 第5問 解説

方針・初手
円柱の側面上の面積を求める問題である。円柱の側面は、底面の円の偏角 $\theta$ を媒介変数として $x = \cos \theta$、$y = \sin \theta$ とパラメータ表示できる。これを展開図として捉えると、面積は横軸を $\theta$(弧長)、縦軸を $z$ とした平面上の面積として一変数の積分で計算できる。 まずは与えられた条件 $z \ge 0$ と平面の方程式から、図形が存在する $\theta$ の積分範囲を特定する。
解法1
$z$ 軸を軸とする半径 $1$ の円柱の側面は、媒介変数 $\theta$ ($0 \le \theta \le 2\pi$) を用いて次のように表せる。
$$ \begin{cases} x = \cos \theta \\ y = \sin \theta \end{cases} $$
このとき、側面の微小面積 $dS$ は、円柱の半径が $1$ であるから $dS = d\theta dz$ となる。
曲面 $D$ はこの側面上にあり、以下の2つの条件を満たす領域である。 1つ目は、$xy$ 平面より上にあるという条件より、$z \ge 0$ である。 2つ目は、平面 $x - \sqrt{3}y + z = 1$ より下にあるという条件より、$z \le 1 - x + \sqrt{3}y$ である。
これらより、$z$ の取り得る範囲は以下のようになる。
$$ 0 \le z \le 1 - \cos \theta + \sqrt{3}\sin \theta $$
このような $z$ が存在するためには、$1 - \cos \theta + \sqrt{3}\sin \theta \ge 0$ でなければならない。この不等式を解いて $\theta$ の範囲を求める。 左辺に対して三角関数の合成を用いると、
$$ \begin{aligned} 1 - \cos \theta + \sqrt{3}\sin \theta &\ge 0 \\ \sqrt{3}\sin \theta - \cos \theta &\ge -1 \\ 2\sin\left(\theta - \frac{\pi}{6}\right) &\ge -1 \\ \sin\left(\theta - \frac{\pi}{6}\right) &\ge -\frac{1}{2} \end{aligned} $$
$0 \le \theta \le 2\pi$ において、$-\frac{\pi}{6} \le \theta - \frac{\pi}{6} \le \frac{11\pi}{6}$ であるから、この範囲で不等式を満たす $\theta - \frac{\pi}{6}$ の範囲は、
$$ -\frac{\pi}{6} \le \theta - \frac{\pi}{6} \le \frac{7\pi}{6} $$
したがって、$\theta$ の範囲は次のようになる。
$$ 0 \le \theta \le \frac{4\pi}{3} $$
求める面積 $S$ は、円柱の側面を展開したときに、横軸を $\theta$、縦軸を $z$ とした座標平面において、曲線 $z = 1 - \cos \theta + \sqrt{3}\sin \theta$ と $\theta$ 軸とで囲まれた部分の面積に等しい。 よって、面積 $S$ は次のように計算できる。
$$ \begin{aligned} S &= \int_{0}^{\frac{4\pi}{3}} (1 - \cos \theta + \sqrt{3}\sin \theta) d\theta \\ &= \left[ \theta - \sin \theta - \sqrt{3}\cos \theta \right]_{0}^{\frac{4\pi}{3}} \\ &= \left( \frac{4\pi}{3} - \sin\frac{4\pi}{3} - \sqrt{3}\cos\frac{4\pi}{3} \right) - (0 - \sin 0 - \sqrt{3}\cos 0) \\ &= \left\{ \frac{4\pi}{3} - \left(-\frac{\sqrt{3}}{2}\right) - \sqrt{3}\left(-\frac{1}{2}\right) \right\} - (-\sqrt{3}) \\ &= \left( \frac{4\pi}{3} + \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} \right) + \sqrt{3} \\ &= \frac{4\pi}{3} + 2\sqrt{3} \end{aligned} $$
解説
円柱の側面の面積を求める定石通り、円柱をパラメータ表示して展開図($\theta z$ 平面)上の面積に帰着させる手法が最も簡明である。 空間図形として三次元のまま捉えようとすると難しく見えるが、「半径 $r$ の円柱の側面上にある図形の面積は、底面の弧長 $r\theta$ と高さ $z$ の積の積分 $\int z(r d\theta)$ で求まる」という事実を活用すれば、一変数の積分計算に持ち込むことができる。本問は $r=1$ であるため、展開図の横方向の長さはそのまま $\theta$ として扱える。 積分範囲を求める際の三角関数の合成と、偏角の範囲($0 \le \theta \le 2\pi$)に注意して正確に処理したい。
答え
$$ \frac{4\pi}{3} + 2\sqrt{3} $$
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