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東京大学 1996年 理系 第2問 解説

数学1/二次関数数学1/方程式不等式テーマ/存在証明テーマ/不等式の証明
東京大学 1996年 理系 第2問 解説

方針・初手

2次関数 $f(x) = x^2 - (a+d)x + (ad-bc)$ とおき、$f(x) = 0$ が $-1 < x < 1$ の範囲に異なる2つの実数解をもつための条件を考える。 解の配置問題の定石通り、以下の3つの条件が満たされることを、与えられた不等式から導く。

  1. 判別式 $D > 0$ であること。
  2. 軸が $-1 < x < 1$ の範囲にあること。
  3. 区間の端点において $f(1) > 0$ かつ $f(-1) > 0$ であること。

解法1

$$ f(x) = x^2 - (a+d)x + (ad-bc) $$

とおく。2次方程式 $f(x) = 0$ が $-1 < x < 1$ の範囲に異なる2つの実数解をもつためには、以下の3条件がすべて成り立つことを示せばよい。

(1)

$f(x) = 0$ の判別式 $D > 0$ (2)

$y = f(x)$ のグラフの軸 $x = \frac{a+d}{2}$ について、$-1 < \frac{a+d}{2} < 1$ (3)

$f(1) > 0$ かつ $f(-1) > 0$

まず、与えられた不等式を変形する。

$$ s(1-a) - tb > 0 \iff s(1-a) > tb \quad \cdots ① $$

$$ -sc + t(1-d) > 0 \iff t(1-d) > sc \quad \cdots ② $$

問題の条件より $a, b, c, d$ および $s, t$ はすべて正の数である。

(1) 判別式 $D > 0$ について

$$ D = (a+d)^2 - 4(ad-bc) = a^2 - 2ad + d^2 + 4bc = (a-d)^2 + 4bc $$

ここで、実数の2乗は0以上であるから $(a-d)^2 \ge 0$ である。 また、$b > 0, c > 0$ より $bc > 0$ であるから、$4bc > 0$ となる。 したがって、$(a-d)^2 + 4bc > 0$ であり、$D > 0$ が成り立つ。

(2) 軸の位置について

①において $t > 0, b > 0$ より $tb > 0$ であるから、$s(1-a) > 0$ となる。 $s > 0$ であるから、$1-a > 0$ すなわち $a < 1$ を得る。 同様に、②において $s > 0, c > 0$ より $sc > 0$ であるから、$t(1-d) > 0$ となる。 $t > 0$ であるから、$1-d > 0$ すなわち $d < 1$ を得る。

もとの条件 $a > 0, d > 0$ とあわせると、$0 < a < 1$ かつ $0 < d < 1$ である。 辺々を加えると $0 < a+d < 2$ となり、各辺を2で割ることで以下の不等式を得る。

$$ 0 < \frac{a+d}{2} < 1 $$

したがって、軸 $x = \frac{a+d}{2}$ は $-1 < x < 1$ の範囲にある。

(3) $f(1) > 0$ かつ $f(-1) > 0$ について

①および②の結果より、以下の2つの不等式が成り立つ。

$$ s(1-a) > tb > 0 $$

$$ t(1-d) > sc > 0 $$

各辺がすべて正であるから、辺々を掛け合わせても不等号の向きは変わらない。

$$ st(1-a)(1-d) > stbc $$

$s > 0, t > 0$ より $st > 0$ であるから、両辺を $st$ で割る。

$$ (1-a)(1-d) > bc $$

展開して整理する。

$$ 1 - a - d + ad > bc $$

$$ 1 - (a+d) + (ad-bc) > 0 $$

左辺は $f(1)$ に他ならないので、$f(1) > 0$ が示された。

次に、$f(-1)$ について調べる。

$$ f(-1) = 1 + (a+d) + (ad-bc) $$

先ほどの不等式 $(1-a)(1-d) > bc$ は $ad - bc > a + d - 1$ と変形できる。これを代入すると、

$$ f(-1) > 1 + (a+d) + (a+d-1) = 2(a+d) $$

$a > 0, d > 0$ であるから $2(a+d) > 0$ となり、$f(-1) > 0$ も示された。

以上 (1)、(2)、(3) より、2次方程式 $f(x) = 0$ は $-1 < x < 1$ の範囲に異なる2つの実数解をもつ。

解説

2次方程式の解の配置(解の存在範囲)に関する基本的な証明問題である。 2次関数 $f(x)$ のグラフが指定された区間で $x$ 軸と2回交わるための条件を、「判別式」「軸の位置」「区間端点の符号」の3点から確認する。 与えられた2つの不等式が「すべて正の数」で構成されていることに着目し、辺々を掛け合わせることで $f(1) > 0$ の条件である $(1-a)(1-d) > bc$ を作り出す発想がポイントとなる。また、その過程で $1-a > 0, 1-d > 0$ が言えるため、軸の位置の証明もスムーズに行えるようになっている。

答え

略(解法1の証明を参照)

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