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北海道大学 1997年 文系 第4問 解説

数学C/複素数平面数学C/式と曲線テーマ/軌跡・領域
北海道大学 1997年 文系 第4問 解説

方針・初手

複素数 $z$ を極形式 $z = r(\cos \theta + i \sin \theta)$ で表すか、または直交座標を用いて $z = x + iy$ とおいて、$w$ の実部を計算し、与えられた不等式を解く。本問は累乗の次数が2と低いため、どちらの方針でも容易に計算を進めることができる。以下に両方の解法を示す。

解法1

$z \neq 0$ より、極形式を用いて $z = r(\cos \theta + i \sin \theta)$ ($r > 0$, $0 \le \theta < 2\pi$)とおく。

ド・モアブルの定理より、

$$ z^2 = r^2(\cos 2\theta + i \sin 2\theta) $$

また、$z^{-2}$ は次のように計算できる。

$$ \frac{1}{z^2} = z^{-2} = r^{-2}(\cos(-2\theta) + i \sin(-2\theta)) = \frac{1}{r^2}(\cos 2\theta - i \sin 2\theta) $$

したがって、$w$ は以下のように表される。

$$ \begin{aligned} w &= z^2 - \frac{1}{z^2} \\ &= r^2(\cos 2\theta + i \sin 2\theta) - \frac{1}{r^2}(\cos 2\theta - i \sin 2\theta) \\ &= \left( r^2 - \frac{1}{r^2} \right)\cos 2\theta + i\left( r^2 + \frac{1}{r^2} \right)\sin 2\theta \end{aligned} $$

$w$ の実部が正であるから、次の不等式が成り立つ。

$$ \left( r^2 - \frac{1}{r^2} \right)\cos 2\theta > 0 $$

積が正となる条件から、以下の2つの場合が考えられる。

(i) $r^2 - \frac{1}{r^2} > 0$ かつ $\cos 2\theta > 0$ のとき

$r^2 - \frac{1}{r^2} > 0$ より $r^4 > 1$ となる。$r > 0$ であるから $r > 1$ である。

また、$\cos 2\theta > 0$ を $0 \le \theta < 2\pi$ (すなわち $0 \le 2\theta < 4\pi$)の範囲で解くと、

$$ 0 \le 2\theta < \frac{\pi}{2}, \quad \frac{3}{2}\pi < 2\theta < \frac{5}{2}\pi, \quad \frac{7}{2}\pi < 2\theta < 4\pi $$

全体を2で割って $\theta$ の範囲を求めると、

$$ 0 \le \theta < \frac{\pi}{4}, \quad \frac{3}{4}\pi < \theta < \frac{5}{4}\pi, \quad \frac{7}{4}\pi < \theta < 2\pi $$

これは、複素数平面において単位円 $|z|=1$ の外側で、かつ偏角が上記の範囲にある領域を表す。

(ii) $r^2 - \frac{1}{r^2} < 0$ かつ $\cos 2\theta < 0$ のとき

$r^2 - \frac{1}{r^2} < 0$ より $r^4 < 1$ となる。$r > 0$ であるから $0 < r < 1$ である。

また、$\cos 2\theta < 0$ を $0 \le 2\theta < 4\pi$ の範囲で解くと、

$$ \frac{\pi}{2} < 2\theta < \frac{3}{2}\pi, \quad \frac{5}{2}\pi < 2\theta < \frac{7}{2}\pi $$

全体を2で割って $\theta$ の範囲を求めると、

$$ \frac{\pi}{4} < \theta < \frac{3}{4}\pi, \quad \frac{5}{4}\pi < \theta < \frac{7}{4}\pi $$

これは、複素数平面において原点を除く単位円 $|z|=1$ の内側で、かつ偏角が上記の範囲にある領域を表す。

解法2

$z$ を実部と虚部に分け、$z = x + iy$ ($x, y$ は実数で、$(x, y) \neq (0, 0)$)とおく。

$z^2$ は次のように計算できる。

$$ z^2 = (x+iy)^2 = x^2 - y^2 + 2ixy $$

また、$\frac{1}{z^2}$ は分母の実数化を行うことで次のように計算できる。

$$ \frac{1}{z^2} = \frac{\overline{z^2}}{|z^2|^2} = \frac{x^2 - y^2 - 2ixy}{(x^2 + y^2)^2} $$

これらを用いて $w$ を表すと、

$$ \begin{aligned} w &= (x^2 - y^2 + 2ixy) - \frac{x^2 - y^2 - 2ixy}{(x^2 + y^2)^2} \\ &= \left( x^2 - y^2 \right) \left( 1 - \frac{1}{(x^2 + y^2)^2} \right) + 2ixy \left( 1 + \frac{1}{(x^2 + y^2)^2} \right) \end{aligned} $$

$w$ の実部が正であるから、次の不等式が成り立つ。

$$ \left( x^2 - y^2 \right) \left( 1 - \frac{1}{(x^2 + y^2)^2} \right) > 0 $$

積が正となる条件から、以下の2つの場合が考えられる。

(i) $x^2 - y^2 > 0$ かつ $1 - \frac{1}{(x^2 + y^2)^2} > 0$ のとき

前半の不等式から $y^2 < x^2$ となり、これを解くと $-|x| < y < |x|$ を得る。

後半の不等式から $(x^2 + y^2)^2 > 1$ となる。$x, y$ は実数であるから $x^2 + y^2 > 1$ である。

これは、直線 $y=x$ と $y=-x$ に挟まれた領域のうち $x$ 軸を含む側で、かつ原点を中心とする半径1の円の外側を表す。

(ii) $x^2 - y^2 < 0$ かつ $1 - \frac{1}{(x^2 + y^2)^2} < 0$ のとき

前半の不等式から $y^2 > x^2$ となり、これを解くと $y > |x|$ または $y < -|x|$ を得る。

後半の不等式から $(x^2 + y^2)^2 < 1$ となる。$x, y$ は実数であるから $x^2 + y^2 < 1$ である。

これは、直線 $y=x$ と $y=-x$ に挟まれた領域のうち $y$ 軸を含む側で、かつ原点を中心とする半径1の円の内側(ただし原点を除く)を表す。

解説

複素数の累乗や逆数に関する計算は、極形式を用いると見通しが良くなることが多い。一方で、本問のように累乗の次数が低い場合は、$z=x+iy$ とおいて実部と虚部を直接計算するアプローチも実用的であり、場合分け後の領域の把握も容易である。

結果の解釈において、$x^2 - y^2 > 0$ という条件が極座標における $-\frac{\pi}{4} < \theta < \frac{\pi}{4}$ および $\frac{3}{4}\pi < \theta < \frac{5}{4}\pi$ という偏角の領域と対応し、$x^2 + y^2 > 1$ が $r > 1$ に対応することを理解しておくと、両者の解法の繋がりが明確になり、検算としても機能する。

答え

求める範囲は、複素数平面において以下の2つの領域を合わせた部分である。

  1. 単位円 $|z|=1$ の外側 ($|z| > 1$) であり、かつ偏角 $\theta$ が $-\frac{\pi}{4} < \theta < \frac{\pi}{4}$ または $\frac{3}{4}\pi < \theta < \frac{5}{4}\pi$ を満たす領域(直線 $y=x$ と $y=-x$ に挟まれた、実軸を含む側の領域)。
  2. 単位円 $|z|=1$ の内側 ($0 < |z| < 1$) であり、かつ偏角 $\theta$ が $\frac{\pi}{4} < \theta < \frac{3}{4}\pi$ または $\frac{5}{4}\pi < \theta < \frac{7}{4}\pi$ を満たす領域(直線 $y=x$ と $y=-x$ に挟まれた、虚軸を含む側の領域)。

なお、境界となる円 $|z|=1$、直線 $y=x$ および $y=-x$、ならびに原点はすべて含まない。

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