北海道大学 2009年 文系 第2問 解説

方針・初手
領域 $D$ の上下の境界を表す式を求め、ある $x=k$ における格子点の個数 $f(k)$ を立式する。直線 $x=k$ 上の格子点の個数は、「(上の境界の $y$ 座標) $-$ (下の境界の $y$ 座標) $+ 1$」で計算できる。その後、数列の和の公式を用いて総数を求め、最後に整数を定義域とする2次関数の最大値問題として処理する。
解法1
(1) 点 $O(0,0)$ と点 $P(n, 3n^2 - 6n)$ を結ぶ線分 $OP$ を含む直線の方程式を求める。 この直線の傾きは、
$$ \frac{3n^2 - 6n - 0}{n - 0} = 3n - 6 $$
であるから、直線 $OP$ の方程式は $y = (3n - 6)x$ である。 次に、$0 \leqq x \leqq n$ において、放物線 $C: y = 3x^2 - 6x$ と直線 $OP$ の上下関係を調べる。
$$ (3n - 6)x - (3x^2 - 6x) = -3x^2 + 3nx = -3x(x - n) $$
$0 \leqq x \leqq n$ の範囲において $x \geqq 0$ かつ $x - n \leqq 0$ であるため、$-3x(x - n) \geqq 0$ となる。 したがって、この区間では直線 $OP$ が放物線 $C$ の上側(または境界上)にある。 領域 $D$ は境界を含むため、直線 $x = k$ ($0 \leqq k \leqq n$ を満たす整数) 上にあり、$D$ に含まれる点の $y$ 座標は、
$$ 3k^2 - 6k \leqq y \leqq (3n - 6)k $$
を満たす。 $k$ は整数であり、境界の $y$ 座標である $3k^2 - 6k$ と $(3n - 6)k$ もともに整数である。 よって、この範囲に含まれる整数 $y$ の個数 $f(k)$ は、
$$ \begin{aligned} f(k) &= (3n - 6)k - (3k^2 - 6k) + 1 \\ &= -3k^2 + 3nk + 1 \end{aligned} $$
となる。
(2) 領域 $D$ に含まれる格子点の総数は、$k$ を $0$ から $n$ まで動かしたときの $f(k)$ の総和、すなわち $\sum_{k=0}^{n} f(k)$ で求められる。
$$ \begin{aligned} \sum_{k=0}^{n} f(k) &= \sum_{k=0}^{n} (-3k^2 + 3nk + 1) \\ &= f(0) + \sum_{k=1}^{n} (-3k^2 + 3nk + 1) \\ &= 1 - 3 \cdot \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) + 3n \cdot \frac{1}{2}n(n+1) + n \\ &= 1 - \frac{1}{2}n(n+1)(2n+1) + \frac{3}{2}n^2(n+1) + n \\ &= 1 + \frac{1}{2}n(n+1) \{ -(2n+1) + 3n \} + n \\ &= 1 + \frac{1}{2}n(n+1)(n-1) + n \\ &= 1 + \frac{1}{2}(n^3 - n) + n \\ &= \frac{1}{2}n^3 + \frac{1}{2}n + 1 \\ &= \frac{n^3 + n + 2}{2} \end{aligned} $$
(3) (1)より、$f(k) = -3k^2 + 3nk + 1$ である。 これを $k$ について平方完成すると、
$$ f(k) = -3 \left( k - \frac{n}{2} \right)^2 + \frac{3}{4}n^2 + 1 $$
となる。 $f(k)$ は $k$ の2次関数と見なすことができ、そのグラフは上に凸で、頂点の横座標(軸)は $k = \frac{n}{2}$ である。 $k$ は $0 \leqq k \leqq n$ を満たす整数であるから、$f(k)$ が最大となるのは、$k$ が軸 $\frac{n}{2}$ に最も近い整数のときである。 自然数 $n$ の偶奇によって場合分けを行う。
(i) $n$ が偶数のとき
$\frac{n}{2}$ は整数となるため、$k = \frac{n}{2}$ のとき $f(k)$ は最大となる。 この値は条件 $0 \leqq k \leqq n$ を満たしている。
(ii) $n$ が奇数のとき
$\frac{n}{2}$ は整数にならず、$\frac{n}{2}$ に最も近い整数は $\frac{n}{2} - \frac{1}{2} = \frac{n-1}{2}$ と $\frac{n}{2} + \frac{1}{2} = \frac{n+1}{2}$ の2つである。 放物線の対称性により、これら2つの $k$ の値に対する $f(k)$ の値は等しく、ともに最大値を与える。 これらの値は条件 $0 \leqq k \leqq n$ を満たしている。
以上より、求める $k$ は、 $n$ が偶数のとき $k = \frac{n}{2}$ $n$ が奇数のとき $k = \frac{n-1}{2}, \frac{n+1}{2}$ となる。
解説
不等式で表される領域内の格子点を数え上げる典型的な問題である。境界となる関数の値が各整数 $x$ に対して整数になることに着目し、縦方向($y$軸に平行な直線 $x=k$ 上)の格子点の個数を立式するアプローチが定石である。$k=0$ のときの項を和の計算において忘れないように注意が必要である。
(3)は離散変数(整数)を定義域とする2次関数の最大化問題である。実数の連続関数として軸を求め、その軸に最も近い整数を探すという手法を用いる。自然数 $n$ の偶奇によって軸の位置が整数になるかどうかが変わるため、場合分けを行う必要がある。
答え
(1) $f(k) = -3k^2 + 3nk + 1$
(2) $\frac{n^3 + n + 2}{2}$
(3) $n$ が偶数のとき $k = \frac{n}{2}$ $n$ が奇数のとき $k = \frac{n-1}{2}, \frac{n+1}{2}$
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