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大阪大学 1976年 文系 第2問 解説

数学A/整数問題数学1/方程式不等式テーマ/整数の証明テーマ/場合分け
大阪大学 1976年 文系 第2問 解説

方針・初手

正の整数 $k$ を $2$ 乗して $n$ 桁の数になる条件は、$10^{n-1} \le k^2 < 10^n$ と表せる。 この不等式から $k$ のとりうる値の範囲(区間)を求め、その区間の長さを用いて区間に含まれる整数の個数 $f(n)$ を不等式で評価する。

解法1

正の整数 $k$ について、$k^2$ がちょうど $n$ 桁の数になるための条件は

$$ 10^{n-1} \le k^2 < 10^n $$

である。各辺は正であるから、平方根をとって

$$ 10^{\frac{n-1}{2}} \le k < 10^{\frac{n}{2}} \quad \cdots \text{(A)} $$

を満たす正の整数 $k$ の個数が $f(n)$ である。

ここで、一般に実数 $a, b$ ($a < b$)について、半開区間 $[a, b)$ の長さ $L = b - a$ と、この区間に含まれる整数の個数 $N$ の関係を考える。 区間 $[a, b)$ に整数が存在するとき、そのうち最小のものを $m$、最大のものを $M$ とすると、個数は $N = M - m + 1$ と表せる。 $m$ は区間内の最小の整数であるから、$m-1$ は区間に含まれず、

$$ m - 1 < a \le m $$

が成り立つ。また、$M$ は区間内の最大の整数であるから、$M+1$ は区間に含まれず、

$$ M < b \le M + 1 $$

が成り立つ。 $M < b$ と $-m \le -a$ の辺々を加えると

$$ M - m < b - a $$

$$ N - 1 < b - a $$

よって、$N < b - a + 1$ を得る。 また、$M + 1 \ge b$ と $-(m - 1) > -a$ の辺々を加えると

$$ M - m + 2 > b - a $$

$$ N + 1 > b - a $$

よって、$N > b - a - 1$ を得る。 以上から、$N$ は区間の長さ $L = b - a$ を用いて

$$ L - 1 < N < L + 1 $$

と評価できる。

不等式 (A) が表す区間の長さを $L_n$ とおくと、

$$ L_n = 10^{\frac{n}{2}} - 10^{\frac{n-1}{2}} = 10^{\frac{n-1}{2}}(\sqrt{10} - 1) $$

である。 $3.1^2 = 9.61 < 10$ より $\sqrt{10} > 3.1$ であるから、すべての正の整数 $n$ について

$$ L_n \ge L_1 = \sqrt{10} - 1 > 2.1 $$

となり、$L_n > 1$ が成り立つ。したがって、この区間には必ず整数が存在し、条件を満たす整数の個数 $f(n)$ について

$$ L_n - 1 < f(n) < L_n + 1 $$

が成り立つ。

これを用いて $f(n+1) - f(n)$ の差を評価すると、

$$ f(n+1) - f(n) > (L_{n+1} - 1) - (L_n + 1) = L_{n+1} - L_n - 2 $$

となる。ここで、$L_{n+1} - L_n$ を計算すると、

$$ L_{n+1} - L_n = 10^{\frac{n}{2}}(\sqrt{10} - 1) - 10^{\frac{n-1}{2}}(\sqrt{10} - 1) $$

$$ = 10^{\frac{n-1}{2}} (\sqrt{10} - 1)^2 $$

$$ = 10^{\frac{n-1}{2}} (11 - 2\sqrt{10}) $$

$n \ge 1$ より $10^{\frac{n-1}{2}} \ge 1$ であり、また $3.2^2 = 10.24 > 10$ より $\sqrt{10} < 3.2$ であるから、

$$ L_{n+1} - L_n \ge 1 \cdot (11 - 2 \times 3.2) = 11 - 6.4 = 4.6 $$

したがって、

$$ f(n+1) - f(n) > 4.6 - 2 = 2.6 > 0 $$

となり、$f(n+1) > f(n)$ が成り立つことが示された。

解説

「$n$ 桁の数」という条件を不等式で表現する、整数問題における基本的な言い換えが初手となる。 その後、不等式を満たす整数の個数 $N$ を、区間の長さ $L$ を用いて $L-1 < N < L+1$ と評価する手法は、難関大の整数問題や格子点の求積問題などで頻出のテクニックである。 直接 $f(n)$ をガウス記号などで立式して厳密に計算しようとすると場合分けが煩雑になるため、不等式で挟み込んで差を評価する方針をとるのが最も見通しが良くなる。$\sqrt{10}$ の値の評価は、$3.1 < \sqrt{10} < 3.2$ 程度で十分である。

答え

(証明問題のため、上記解法を参照)

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