北海道大学 2019年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) は条件を満たす数列をすべて書き出して数え上げる。 (2) は最初の項(第 $1$ 項)が $1$ であるか $2$ であるかによって場合分けをし、残りの項の和に着目して $s_{n-1}, s_{n-2}$ を用いた漸化式(フィボナッチ数列)を立てる。 (3) は与えられた式を展開して (2) で求めた漸化式と係数を比較し、二次方程式の解として $\alpha, \beta$ を求める。 (4) は (3) で求めた変形を利用して等比数列を作り、一般項を導出する。
解法1
(1)
項の和が $3$ となる各項が $1$ または $2$ の数列は、以下の $3$ つである。
- $1, 1, 1$
- $1, 2$
- $2, 1$
したがって、$s_3 = 3$ である。
(2)
和が $n$($n \geqq 3$)となる数列を、第 $1$ 項の値によって場合分けする。各項は $1$ または $2$ であるから、以下の $2$ つの場合がある。
(i) 第 $1$ 項が $1$ の場合
残りの項の和は $n - 1$ となる。このような数列の総数は、和が $n - 1$ となる数列の個数に等しいため、$s_{n-1}$ 個である。
(ii) 第 $1$ 項が $2$ の場合
残りの項の和は $n - 2$ となる。このような数列の総数は、和が $n - 2$ となる数列の個数に等しいため、$s_{n-2}$ 個である。
これらは互いに排反であり、条件を満たす数列は必ずいずれかに分類されるため、これらの和が $s_n$ となる。 したがって、求める漸化式は以下のようになる。
$$ s_n = s_{n-1} + s_{n-2} $$
(3)
与えられた等式 $s_n - \alpha s_{n-1} = \beta (s_{n-1} - \alpha s_{n-2})$ を展開して整理する。
$$ s_n = (\alpha + \beta) s_{n-1} - \alpha \beta s_{n-2} $$
これを (2) で求めた漸化式 $s_n = s_{n-1} + s_{n-2}$ と係数を比較すると、以下の関係式が得られる。
$$ \begin{cases} \alpha + \beta = 1 \\ -\alpha \beta = 1 \end{cases} $$
すなわち、$\alpha + \beta = 1$ かつ $\alpha \beta = -1$ である。 解と係数の関係より、$\alpha, \beta$ は二次方程式 $x^2 - x - 1 = 0$ の $2$ つの解である。 この二次方程式を解くと、
$$ x = \frac{1 \pm \sqrt{1 - 4 \cdot 1 \cdot (-1)}}{2} = \frac{1 \pm \sqrt{5}}{2} $$
したがって、条件を満たす実数 $\alpha, \beta$ の組の $1$ つは以下のようになる。($\alpha, \beta$ を入れ替えた組も正解となる)
$$ (\alpha, \beta) = \left( \frac{1+\sqrt{5}}{2}, \frac{1-\sqrt{5}}{2} \right) $$
(4)
(3) より、$\alpha = \frac{1+\sqrt{5}}{2}, \beta = \frac{1-\sqrt{5}}{2}$ とすると、漸化式は次のように変形できる。
$$ s_n - \alpha s_{n-1} = \beta (s_{n-1} - \alpha s_{n-2}) \quad (n \geqq 3) $$
これは、数列 $\{s_n - \alpha s_{n-1}\}$ が、公比 $\beta$ の等比数列であることを示している。 初項($n=2$ に相当)は、
$$ s_2 - \alpha s_1 = 2 - \alpha \cdot 1 = 2 - \frac{1+\sqrt{5}}{2} = \frac{3-\sqrt{5}}{2} $$
ここで、$\beta^2$ を計算すると、
$$ \beta^2 = \left( \frac{1-\sqrt{5}}{2} \right)^2 = \frac{1 - 2\sqrt{5} + 5}{4} = \frac{3-\sqrt{5}}{2} $$
となるため、$s_2 - \alpha s_1 = \beta^2$ であることがわかる。 よって、$n \geqq 2$ において以下の式が成り立つ。
$$ s_n - \alpha s_{n-1} = \beta^2 \cdot \beta^{n-2} = \beta^n \quad \cdots ① $$
同様に、$\alpha$ と $\beta$ の役割を入れ替えた変形も成り立つため、以下が得られる。
$$ s_n - \beta s_{n-1} = \alpha^n \quad \cdots ② $$
② から ① を辺々引いて $s_n$ を消去すると、以下のようになる。
$$ (\alpha - \beta) s_{n-1} = \alpha^n - \beta^n $$
$$ s_{n-1} = \frac{\alpha^n - \beta^n}{\alpha - \beta} $$
$n$ を $n+1$ に置き換えると、$s_n$ の一般項が得られる。
$$ s_n = \frac{\alpha^{n+1} - \beta^{n+1}}{\alpha - \beta} $$
ここで、$\alpha - \beta = \frac{1+\sqrt{5}}{2} - \frac{1-\sqrt{5}}{2} = \sqrt{5}$ であるから、代入して整理する。
$$ s_n = \frac{1}{\sqrt{5}} \left\{ \left( \frac{1+\sqrt{5}}{2} \right)^{n+1} - \left( \frac{1-\sqrt{5}}{2} \right)^{n+1} \right\} $$
(この式は $n=1, 2$ のときも成り立つ)
解説
- 本問は「フィボナッチ数列」を題材とした、漸化式の立式および一般項の導出を行う典型問題である。
- (2) のように、「第 $1$ 項が何であるか」によって場合分けをし、残りの項の和で $s_{n-1}, s_{n-2}$ を作り出す考え方は、場合の数や確率の漸化式を立てる際に頻出する極めて重要な手法である。
- (3), (4) は隣接 $3$ 項間漸化式を解く標準的なプロセスである。特性方程式の $2$ 解を用いて $2$ 種類の等比数列を導き、辺々を引いて一般項を求める手順は確実に行えるようにしておきたい。本問のように $s_2 - \alpha s_1 = \beta^2$ となることに気づくと、計算が非常にスムーズに進む。
答え
(1) $s_3 = 3$
(2) $s_n = s_{n-1} + s_{n-2}$
(3) $(\alpha, \beta) = \left( \frac{1+\sqrt{5}}{2}, \frac{1-\sqrt{5}}{2} \right)$ (※ $\alpha$ と $\beta$ の値は逆の組でもよい)
(4) $s_n = \frac{1}{\sqrt{5}} \left\{ \left( \frac{1+\sqrt{5}}{2} \right)^{n+1} - \left( \frac{1-\sqrt{5}}{2} \right)^{n+1} \right\}$
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