北海道大学 1977年 理系 第3問 解説

方針・初手
- (1) は、すべての自然数 $n$ について $a_n \neq a$ であることを数学的帰納法を用いて証明する。
- (2) は、与えられた漸化式から $a_n - a$ を計算し、その逆数をとることで $b_n$ と $b_{n-1}$ の関係式を導出する。
- (3) は、(2) で得られた数列 $\{b_n\}$ の漸化式を解いて一般項 $b_n$ を求め、それを元の変数 $a_n$ の式に戻す。
解法1
(1)
数学的帰納法により証明する。
(i) $n=1$ のとき
$a_1 = 2a$ であり、$a \neq 0$ であるから $a_1 \neq a$ が成り立つ。
(ii) $n=k$ ($k \geqq 1$) のとき
$a_k \neq a$ が成り立つと仮定する。
$n=k+1$ のとき、与えられた漸化式より
$$ a_{k+1} - a = \left( 2a - \frac{a^2}{a_k} \right) - a = a - \frac{a^2}{a_k} = \frac{a(a_k - a)}{a_k} $$
ここで、数列 $\{a_n\}$ は漸化式を満たすものとして定義されているため、$a_k \neq 0$ である。
また、$a \neq 0$ であり、仮定より $a_k - a \neq 0$ であるから、分子について $a(a_k - a) \neq 0$ となる。
分数の値が $0$ になるのは分子が $0$ のときのみであるため、$a_{k+1} - a \neq 0$ となり、$a_{k+1} \neq a$ が成り立つ。
以上 (i), (ii) より、すべての自然数 $n$ について $a_n \neq a$ が成り立つ。 (証明終)
(2)
与えられた漸化式より、
$$ a_n - a = \left( 2a - \frac{a^2}{a_{n-1}} \right) - a = a - \frac{a^2}{a_{n-1}} = \frac{a(a_{n-1} - a)}{a_{n-1}} $$
(1) の結果より $a_{n-1} \neq a$ であり、また数列が定義されることから $a_{n-1} \neq 0$ であるため、両辺の逆数をとると
$$ \frac{1}{a_n - a} = \frac{a_{n-1}}{a(a_{n-1} - a)} $$
右辺の分子を $a_{n-1} - a$ を用いて変形すると、
$$ \frac{1}{a_n - a} = \frac{(a_{n-1} - a) + a}{a(a_{n-1} - a)} = \frac{1}{a} + \frac{1}{a_{n-1} - a} $$
$b_n = \frac{1}{a_n - a}$ であるから、これを代入して
$$ b_n = b_{n-1} + \frac{1}{a} $$
(3)
(2) で求めた漸化式から、数列 $\{b_n\}$ は公差 $\frac{1}{a}$ の等差数列であることがわかる。
初項 $b_1$ は
$$ b_1 = \frac{1}{a_1 - a} = \frac{1}{2a - a} = \frac{1}{a} $$
したがって、等差数列 $\{b_n\}$ の一般項は
$$ b_n = b_1 + (n - 1) \cdot \frac{1}{a} = \frac{1}{a} + \frac{n - 1}{a} = \frac{n}{a} $$
$b_n = \frac{1}{a_n - a}$ であるから、
$$ \frac{1}{a_n - a} = \frac{n}{a} $$
両辺の逆数をとると、
$$ a_n - a = \frac{a}{n} $$
これを $a_n$ について解くと、
$$ a_n = a + \frac{a}{n} = \frac{n+1}{n}a $$
この式は $n=1$ のときも $a_1 = \frac{1+1}{1}a = 2a$ となり、条件を満たす。
解説
- 分数型の漸化式 $a_{n+1} = \frac{p a_n + q}{r a_n + s}$ の解法における典型的な誘導問題である。
- 特性方程式 $x = 2a - \frac{a^2}{x}$ すなわち $(x-a)^2 = 0$ が重解 $x=a$ をもつタイプであり、この場合は $b_n = \frac{1}{a_n - a}$ とおくことで等差数列に帰着できる。本問では (2) でその置き換えが指定されているため、誘導に従って式変形を行えばよい。
- (1) で証明した $a_n \neq a$ という事実は、(2) で逆数をとる操作(分母が $0$ にならないこと)を正当化するために不可欠なプロセスである。
答え
(1) 解法1を参照 (2) $b_n = b_{n-1} + \frac{1}{a}$ (3) $a_n = \frac{n+1}{n}a$
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