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東京工業大学 1977年 理系 第6問 解説

数学B/数列数学2/三角関数テーマ/漸化式テーマ/数学的帰納法
東京工業大学 1977年 理系 第6問 解説

方針・初手

与えられた漸化式 $a_{n+1} = 2a_n^2 - 1$ の形に着目し、三角関数の倍角公式 $\cos 2\theta = 2\cos^2 \theta - 1$ との類似性を見抜くことが重要である。 (1) では、ゴールから逆算して $a_N = 1$ から $|a_1| \leqq 1$ を導くか、背理法を用いて $|a_1| > 1$ とすると $a_N = 1$ に矛盾することを示す。 (2) では、(1) の結果から $a_1 = \cos \theta$ と置換し、一般項 $a_n$ を推測して数学的帰納法で証明する。

解法1

(1)

漸化式 $a_{n+1} = 2a_n^2 - 1$ より、以下が成り立つ。

$$ 2a_n^2 = a_{n+1} + 1 $$

ここで、$a_{n+1} \leqq 1$ と仮定すると、

$$ 2a_n^2 \leqq 1 + 1 = 2 $$

$$ a_n^2 \leqq 1 $$

$$ -1 \leqq a_n \leqq 1 $$

すなわち、$a_{n+1} \leqq 1 \implies |a_n| \leqq 1$ が成り立つ。

同時に $a_n \leqq 1$ も成り立つことがわかる。

条件より $a_N = 1$ であり $a_N \leqq 1$ を満たすから、上記の性質を繰り返し用いると、

$$ a_N \leqq 1 \implies a_{N-1} \leqq 1 \implies \cdots \implies a_1 \leqq 1 $$

となり、すべての $1 \leqq n \leqq N$ について $a_n \leqq 1$ であることがわかる。

この過程で、任意の $k$ ($1 \leqq k \leqq N-1$) において $|a_k| \leqq 1$ も示されているため、特に $n=1$ のとき $|a_1| \leqq 1$ が成り立つ。

(2)

(1) より $-1 \leqq a_1 \leqq 1$ であるから、$a_1 = \cos \theta$ ($0 \leqq \theta \leqq \pi$) とおくことができる。

与えられた漸化式 $a_{n+1} = 2a_n^2 - 1$ を用いると、

$$ a_2 = 2\cos^2 \theta - 1 = \cos 2\theta $$

$$ a_3 = 2\cos^2 2\theta - 1 = \cos 4\theta = \cos (2^2 \theta) $$

となる。

一般に、$a_n = \cos (2^{n-1} \theta)$ と推測され、これを数学的帰納法で証明する。

(i)

$n=1$ のとき

$a_1 = \cos (2^0 \theta) = \cos \theta$ であり、成立する。

(ii)

$n=m$ のとき成立すると仮定

$a_m = \cos (2^{m-1} \theta)$ であるから、

$$ a_{m+1} = 2a_m^2 - 1 = 2\cos^2 (2^{m-1} \theta) - 1 = \cos (2^m \theta) $$

となり、$n=m+1$ のときも成立する。

(i), (ii) より、すべての自然数 $n$ について $a_n = \cos (2^{n-1} \theta)$ である。

条件 $a_N = 1$ より、

$$ \cos (2^{N-1} \theta) = 1 $$

したがって、$m$ を整数として次のように表せる。

$$ 2^{N-1} \theta = 2m\pi $$

これを $\theta$ について解くと、

$$ \theta = \frac{2m\pi}{2^{N-1}} = \frac{m\pi}{2^{N-2}} $$

となる。

よって、$m$ を改めて $k$ とおけば、

$$ a_1 = \cos \frac{k\pi}{2^{N-2}} $$

となり、示された。($k$ は整数)

解法2

(1)

別解(背理法による証明)

$|a_1| \leqq 1$ でないと仮定する。すなわち、$|a_1| > 1$ と仮定する。

このとき、$a_1^2 > 1$ であるから、

$$ a_2 = 2a_1^2 - 1 > 2 \cdot 1 - 1 = 1 $$

となり、$a_2 > 1$ である。

さらに、$a_k > 1$ ($k \geqq 2$) と仮定すると、

$$ a_{k+1} = 2a_k^2 - 1 > 2 \cdot 1 - 1 = 1 $$

となるため、数学的帰納法により $n \geqq 2$ のすべての自然数 $n$ について $a_n > 1$ が成り立つ。

しかし、これは $N \geqq 2$ なる $N$ について $a_N = 1$ となる条件に矛盾する。

したがって、仮定は誤りであり、$|a_1| \leqq 1$ が成り立つ。

(2)

解法1と同様に $a_1 = \cos \theta$ とおき、帰納法で一般項を求めて証明する。

解説

本問は、漸化式 $a_{n+1} = 2a_n^2 - 1$ から三角関数の倍角公式を連想できるかが最大の鍵となる。(1) は、$a_1 = \cos \theta$ とおくための準備(定義域の確認)の役割を果たしている。

(1) の証明において、解法1の「ゴールからの逆算」は論理が明快であり、解法2の「背理法」は $a_n$ が単調に発散していく様子を捉えやすい。どちらのアプローチも漸化式の評価において頻出であるため、習熟しておきたい。

答え

(1)

$|a_1| \leqq 1$

(2)

$$ a_1 = \cos \frac{k\pi}{2^{N-2}} \quad (k \text{ は整数}) $$

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