北海道大学 1987年 理系 第3問 解説

方針・初手
- (1) 角度がなす数列の漸化式から一般項を求め、$\angle P_0 O P_n$ を無限等比級数の和として表す。極限値の条件から公比 $r$ の範囲を絞り、関係式を導く。
- (2) おうぎ形の面積 $S_n$ を求め、与えられた無限等比級数の和を計算する。(1)の関係式を用いて $\theta$ を消去し、$r$ の関数の増減と値域を調べることで、条件を満たす $r$ の存在と一意性を示す。
解法1
(1)
条件(ii)より、数列 $\{\angle P_{n-1} O P_n\}$ は初項 $\theta$、公比 $r$ の等比数列であるから、
$$ \angle P_{n-1} O P_n = \theta r^{n-1} $$
と表せる。
条件(i)より、$\angle P_0 O P_n$ は $n$ とともに単調に増大するため、
$$ \angle P_0 O P_n = \sum_{k=1}^n \angle P_{k-1} O P_k = \sum_{k=1}^n \theta r^{k-1} $$
となる。
ここで $r \geqq 1$ と仮定すると、$\theta > 0$ であるから $\lim_{n \to \infty} \angle P_0 O P_n = \infty$ となり、$\lim_{n \to \infty} \angle P_0 O P_n = 2\pi$ であることに矛盾する。
したがって、$0 < r < 1$ である。
このとき、上記の無限等比級数は収束し、
$$ \lim_{n \to \infty} \angle P_0 O P_n = \frac{\theta}{1 - r} $$
となる。条件(i)よりこれが $2\pi$ に等しいので、
$$ \frac{\theta}{1 - r} = 2\pi $$
よって、求める関係式は
$$ \theta = 2\pi(1 - r) $$
(2)
単位円において、中心角が $\angle P_{n-1} O P_n$ であるおうぎ形の面積 $S_n$ は、
$$ S_n = \frac{1}{2} \cdot 1^2 \cdot \angle P_{n-1} O P_n = \frac{1}{2} \theta r^{n-1} $$
与えられた級数 $S_1 + S_5 + S_9 + \cdots + S_{4n-3} + \cdots$ は、初項 $S_1 = \frac{1}{2}\theta$、公比 $r^4$ の無限等比級数である。
(1)より $0 < r < 1$ であるから $0 < r^4 < 1$ となり、この無限等比級数は収束する。その和は
$$ \sum_{n=1}^\infty S_{4n-3} = \frac{S_1}{1 - r^4} = \frac{\frac{1}{2}\theta}{1 - r^4} $$
(1)で求めた $\theta = 2\pi(1 - r)$ を代入すると、
$$ \frac{\frac{1}{2} \cdot 2\pi(1 - r)}{1 - r^4} = \frac{\pi(1 - r)}{(1 - r)(1 + r + r^2 + r^3)} = \frac{\pi}{1 + r + r^2 + r^3} $$
となる。条件よりこの和が $\alpha$ に等しいので、
$$ \alpha = \frac{\pi}{1 + r + r^2 + r^3} $$
ここで、$f(r) = \frac{\pi}{1 + r + r^2 + r^3}$ とおく。
$0 < r < 1$ において、関数 $g(r) = 1 + r + r^2 + r^3$ は連続かつ単調に増加し、その値域は
$$ g(0) < g(r) < g(1) $$
すなわち $1 < g(r) < 4$ である。
したがって、$f(r) = \frac{\pi}{g(r)}$ は $0 < r < 1$ において連続かつ単調に減少し、その値域は
$$ \frac{\pi}{4} < f(r) < \pi $$
となる。
与えられた $\alpha$ は $\frac{\pi}{4} < \alpha < \pi$ を満たす定数であるから、$f(r) = \alpha$ を満たす $r$ ($0 < r < 1$) はただ1つ存在する。
解説
無限等比級数の収束条件と和の計算、および関数の単調性と値域を利用して方程式の解の存在を示す典型的な問題である。
(1)では、和が有限確定値 $2\pi$ に収束することから、公比 $r$ が $0 < r < 1$ の範囲にあることを自ら見抜き、明記することが重要である。
(2)では、無限等比級数の和を $r$ の関数として表した後、分母の多項式の増減から関数全体の単調減少性を示すことができる。微分計算に頼らずとも、基本的な関数の性質から論証できる。
答え
(1)
$$ \theta = 2\pi(1 - r) $$
(2)
無限等比級数の和から導かれる方程式を $f(r) = \alpha$ とおくと、$f(r)$ は $0 < r < 1$ において単調減少し、その値域が $\frac{\pi}{4} < f(r) < \pi$ となることから、ただ1つの $r$ が存在することが示された。(詳細は解法を参照)
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