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京都大学 1963年 文系 第5問 解説

数学1/方程式不等式テーマ/不等式の証明テーマ/場合分け
京都大学 1963年 文系 第5問 解説

方針・初手

まず分母の根号から $x$ の定義域を確定させる。 その後、両辺が正であることを用いて2乗し、絶対値と根号を外して2次不等式に帰着させる。 最後に、得られた解が最初の定義域を満たしているかを吟味する。

解法1

与えられた不等式は以下の通りである。

$$ \left| \frac{r - nx}{\sqrt{nx(1-x)}} \right| < a $$

まず、分母の根号内が正でなければならないため、$nx(1-x) > 0$ が成り立つ。問題の条件より $n > 0$ であるから、両辺を $n$ で割ると $x(1-x) > 0$ となり、$x$ の定義域は以下のようになる。

$$ 0 < x < 1 $$

この定義域のもとで、与式の両辺はともに正である(左辺は絶対値、右辺は $a > 0$ より正)。したがって、両辺を2乗しても同値性は保たれる。

$$ \frac{(r - nx)^2}{nx(1-x)} < a^2 $$

両辺に正の値である $nx(1-x)$ を掛けて整理する。

$$ (r - nx)^2 < a^2nx(1-x) $$

$$ r^2 - 2rnx + n^2x^2 < a^2nx - a^2nx^2 $$

$$ (n^2 + a^2n)x^2 - (2rn + a^2n)x + r^2 < 0 $$

$n > 0$ より、両辺を $n$ で割る。

$$ (n + a^2)x^2 - (2r + a^2)x + \frac{r^2}{n} < 0 $$

ここで、左辺の2次関数を $f(x) = (n + a^2)x^2 - (2r + a^2)x + \frac{r^2}{n}$ とおく。方程式 $f(x) = 0$ の判別式を $D$ とすると、

$$ D = (2r + a^2)^2 - 4(n + a^2) \cdot \frac{r^2}{n} $$

$$ D = 4r^2 + 4ra^2 + a^4 - 4r^2 - \frac{4a^2r^2}{n} $$

$$ D = a^2 \left( a^2 + 4r - \frac{4r^2}{n} \right) = a^2 \left\{ a^2 + 4r\left( 1 - \frac{r}{n} \right) \right\} $$

問題の条件より $a > 0, r > 0, n > 0$ であり、かつ $r < n$ であるから $1 - \frac{r}{n} > 0$ となる。したがって $D > 0$ が成り立ち、$f(x) = 0$ は異なる2つの実数解をもつ。これらを $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$)とおくと、解の公式より以下のようになる。

$$ \alpha = \frac{2r + a^2 - a\sqrt{a^2 + 4r - \frac{4r^2}{n}}}{2(n + a^2)}, \quad \beta = \frac{2r + a^2 + a\sqrt{a^2 + 4r - \frac{4r^2}{n}}}{2(n + a^2)} $$

2次不等式 $f(x) < 0$ の解は $\alpha < x < \beta$ となる。これが定義域 $0 < x < 1$ に含まれることを確認する。

$f(x)$ の $x = 0$ および $x = 1$ における値は、

$$ f(0) = \frac{r^2}{n} > 0 $$

$$ f(1) = (n + a^2) - (2r + a^2) + \frac{r^2}{n} = n - 2r + \frac{r^2}{n} = \frac{n^2 - 2rn + r^2}{n} = \frac{(n - r)^2}{n} $$

$n > r$ より $n - r \neq 0$ であるため、$f(1) > 0$ となる。

次に、放物線 $y = f(x)$ の軸は直線 $x = \frac{2r + a^2}{2(n + a^2)}$ である。この軸が区間 $0 < x < 1$ にあることを示す。

$$ \frac{2r + a^2}{2(n + a^2)} > 0 $$

これは $r > 0, a > 0, n > 0$ より明らかに成り立つ。また、1との大小を比較すると、

$$ 1 - \frac{2r + a^2}{2(n + a^2)} = \frac{2n + 2a^2 - 2r - a^2}{2(n + a^2)} = \frac{2(n - r) + a^2}{2(n + a^2)} $$

$n > r, a > 0$ より分子は正であり、分母も正であるから、この値は正となる。すなわち、

$$ \frac{2r + a^2}{2(n + a^2)} < 1 $$

が得られる。

以上より、下に凸な放物線 $y = f(x)$ について、$f(0) > 0$ かつ $f(1) > 0$ であり、軸が $0 < x < 1$ の範囲に存在し、さらに $x$ 軸と異なる2点で交わることがわかった。これにより、$f(x) = 0$ の2解 $\alpha, \beta$ は $0 < \alpha < \beta < 1$ を満たすことが証明された。

したがって、不等式 $f(x) < 0$ の解 $\alpha < x < \beta$ は、定義域 $0 < x < 1$ を完全に満たす。

解説

文字式の符号に注意しながら同値変形を正しく行えるかが問われる問題である。両辺を2乗して得られた2次不等式の解が、最初の前提条件(根号の中身が正)を満たしているかどうかを丁寧に吟味することが大切である。解の配置問題に帰着させて端点や軸の条件を確認する流れは、見通しを保ちやすい。

答え

$$ \frac{2r + a^2 - a\sqrt{a^2 + 4r - \frac{4r^2}{n}}}{2(n + a^2)} < x < \frac{2r + a^2 + a\sqrt{a^2 + 4r - \frac{4r^2}{n}}}{2(n + a^2)} $$

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