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京都大学 1968年 文系 第1問 解説

数学1/命題と集合数学C/平面ベクトル数学2/指数対数テーマ/整式の証明
京都大学 1968年 文系 第1問 解説

方針・初手

各小問は、集合、論理、ベクトル、不等式の証明、および実数の性質に関する基本概念を問うものである。命題が真である場合は定義や性質に基づいた証明を行い、偽である場合は反例を挙げるか、矛盾を指摘することで理由を示す。

解法1

(1) $\bigcirc$

実数 $a, b$ について、不等号 $\leqq$ は「$<$ または $=$」を意味する。 仮定より $a = b$ であるから、「$a < b$ または $a = b$」という複合命題は真となる。 したがって、命題「$a = b \implies a \leqq b$」は正しい。

(2) $\times$

$\overrightarrow{\text{AB}} + \overrightarrow{\text{CD}} = \vec{0}$ は、$\overrightarrow{\text{AB}} = -\overrightarrow{\text{CD}} = \overrightarrow{\text{DC}}$ と書き換えられる。 これは、線分 $\text{AB}$ と線分 $\text{DC}$ が平行で、かつ長さが等しいことを意味する。 すなわち、四角形 $\text{ABCD}$ が平行四辺形(あるいは文字の順序によっては自己交差する平行四辺形)であれば、この式は成立する。 「どの3点も1直線上にはない」という条件の下でも、例えば $\text{A}(0, 1), \text{B}(1, 1), \text{C}(1, 0), \text{D}(0, 0)$ とすると、

$$ \overrightarrow{\text{AB}} = (1, 0), \quad \overrightarrow{\text{CD}} = (-1, 0) $$

となり、$\overrightarrow{\text{AB}} + \overrightarrow{\text{CD}} = (0, 0)$ が成立する。 よって、「けっして成立しない」という命題は誤りである。

(3) $\bigcirc$

集合の包含関係の定義より、$A \subset B$ かつ $B \subset A$ が成り立つとき $A = B$ である。 与えられた条件より、 $A \subset B$ および $B \subset C$ から $A \subset C$ が導かれる。 これと条件の $C \subset A$ を合わせると、$A = C$ となる。 同様に、$B \subset C$ および $C \subset A$ から $B \subset A$ が導かれ、これと $A \subset B$ より $A = B$ となる。 以上より、$A = B = C$ が成り立つ。

(4) $\bigcirc$

$n > 4$ である自然数 $n$ について、$n^2 < 2^n$ が成立することを数学的帰納法で示す。

[1] $n = 5$ のとき 左辺 $= 5^2 = 25$、右辺 $= 2^5 = 32$ $25 < 32$ より、 $n = 5$ のとき成り立つ。

[2] $n = k$ ($k \geqq 5$) のとき、$k^2 < 2^k$ が成り立つと仮定する。 $n = k + 1$ のとき、右辺 $-$ 左辺 を計算すると、

$$ 2^{k+1} - (k+1)^2 = 2 \cdot 2^k - (k^2 + 2k + 1) $$

仮定より $2^k > k^2$ なので、

$$ 2 \cdot 2^k - (k^2 + 2k + 1) > 2k^2 - (k^2 + 2k + 1) = k^2 - 2k - 1 $$

ここで、$k \geqq 5$ において

$$ k^2 - 2k - 1 = (k - 1)^2 - 2 \geqq (5 - 1)^2 - 2 = 14 > 0 $$

よって、$2^{k+1} > (k+1)^2$ となり、$n = k+1$ のときも成り立つ。

[1], [2] より、$n > 4$ のすべての自然数 $n$ について命題は真である。

(5) $\times$

集合 $S = \{1, \frac{1}{2}, \dots, \frac{1}{n}, \dots \}$ の要素はすべて $\frac{1}{n}$ ($n$ は自然数) の形を値として持つ。 最小数(最小値)が $0$ であるためには、$0 \in S$ でなければならない。 しかし、いかなる自然数 $n$ に対しても $\frac{1}{n} > 0$ であり、$0$ がこの集合に含まれることはない。 ($n \to \infty$ のとき $\frac{1}{n}$ は $0$ に収束するが、集合の要素として $0$ を持つこととは別である。) したがって、最小数は $0$ ではない(この集合に最小数は存在しない)。

解説

本問は、数学の各分野における定義の正確な理解を問う良問である。

答え

(1)

$\bigcirc$ (理由:$a=b$ は $a \leqq b$ を満たすため)

(2)

$\times$ (理由:四角形 $\text{ABCD}$ が平行四辺形となる場合に成立するため)

(3)

$\bigcirc$ (理由:包含関係の推移律と相等の定義より明らか)

(4)

$\bigcirc$ (理由:数学的帰納法により $n \geqq 5$ で常に成立するため)

(5)

$\times$ (理由:$0$ は集合の要素ではないため、最小数にはなり得ない)

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