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京都大学 1972年 文系 第6問 解説

数学B/数列数学2/微分法テーマ/漸化式テーマ/不等式の証明
京都大学 1972年 文系 第6問 解説

方針・初手

数列の漸化式が $u_{n+1} = f(u_n)$ の形で与えられている。ここで $f(x) = \frac{1}{9}(10 - x^2)x$ である。

(i) は数学的帰納法を用いて $0 < u_n < \frac{3}{2}$ がすべての $n$ で成立することを示す。関数の増減を調べることで、$x$ が指定された範囲にあるとき $f(x)$ もその範囲に収まることを利用する。

(ii) は $u_{n+1} - u_n$ の符号が $u_n - u_{n-1}$ の符号と一致すること、あるいは $f(x)$ の単調性を利用して、数列の単調性を数学的帰納法で証明する。

解法1

$f(x) = \frac{1}{9}(10x - x^3)$ とおく。与えられた漸化式は $u_{n+1} = f(u_n)$ と書ける。

(i)の証明

すべての自然数 $n$ について $0 < u_n < \frac{3}{2} \cdots (\ast)$ が成り立つことを数学的帰納法で示す。

1. $n=1$ のとき

問題の仮定より $0 < u_1 < \frac{3}{2}$ であるから、$(\ast)$ は成り立つ。

2. $n=k$ のとき $(\ast)$ が成り立つと仮定する。

すなわち $0 < u_k < \frac{3}{2}$ と仮定する。 $f(x)$ の微分は

$$ f'(x) = \frac{1}{9}(10 - 3x^2) $$

であり、$f'(x) = 0$ となるのは $x = \pm \sqrt{\frac{10}{3}}$ のときである。 $\sqrt{\frac{10}{3}} = \sqrt{3.33\dots} > \sqrt{2.25} = \frac{3}{2}$ であるから、$0 < x < \frac{3}{2}$ において $f'(x) > 0$ となり、$f(x)$ はこの範囲で単調増加である。

したがって、$0 < u_k < \frac{3}{2}$ のとき

$$ f(0) < f(u_k) < f\left(\frac{3}{2}\right) $$

が成り立つ。ここで

$$ f(0) = 0 $$

$$ f\left(\frac{3}{2}\right) = \frac{1}{9}\left(10 - \frac{9}{4}\right) \cdot \frac{3}{2} = \frac{1}{9} \cdot \frac{31}{4} \cdot \frac{3}{2} = \frac{31}{24} $$

$\frac{31}{24} < \frac{36}{24} = \frac{3}{2}$ であるから

$$ 0 < u_{k+1} < \frac{31}{24} < \frac{3}{2} $$

となり、$n=k+1$ のときも $(\ast)$ は成り立つ。

以上より、すべての自然数 $n$ について $0 < u_n < \frac{3}{2}$ が成り立つ。

(ii)の証明

$0 < x < \frac{3}{2}$ において $f(x)$ は単調増加関数であることを利用する。

[1] $u_1 > u_2$ の場合

すべての $n$ について $u_n > u_{n+1}$ が成り立つことを数学的帰納法で示す。 $n=1$ のときは仮定より成り立つ。 $n=k$ で $u_k > u_{k+1}$ が成り立つと仮定すると、(i)より $u_k, u_{k+1}$ はともに $f(x)$ が単調増加である範囲 $(0, 3/2)$ に属する。 関数の単調性から

$$ f(u_k) > f(u_{k+1}) $$

すなわち $u_{k+1} > u_{k+2}$ となり、$n=k+1$ でも成り立つ。

[2] $u_1 < u_2$ の場合

同様に数学的帰納法を用いる。 $n=1$ のときは仮定より成り立つ。 $n=k$ で $u_k < u_{k+1}$ が成り立つと仮定すると、(i)の結果と $f(x)$ の単調性から

$$ f(u_k) < f(u_{k+1}) $$

すなわち $u_{k+1} < u_{k+2}$ となり、$n=k+1$ でも成り立つ。

以上より、題意は示された。

解説

この問題のポイントは、関数 $f(x) = \frac{10x-x^3}{9}$ が $0 < x < \frac{3}{2}$ の範囲で単調増加であることを確認することにある。

(i)では、単調増加性を利用して「値域が定義域内に収まっていること」を示す。$f(3/2) = 31/24$ が $3/2$ 未満であることを計算ミスなく導く必要がある。

(ii)では、隣接する項の大小関係が次々に伝播していく様子を数学的帰納法で記述する。一般に $u_{n+1} = f(u_n)$ で表される数列において、$f(x)$ が単調増加であれば、数列 $\{u_n\}$ は初項と第2項の大小関係によって決まる単調な数列(単調増加または単調減少)になる。

答え

(i)

数学的帰納法により、$n=k$ で $0 < u_k < 3/2$ ならば $0 < f(0) < u_{k+1} < f(3/2) = 31/24 < 3/2$ となり、すべての $n$ で成立する。

(ii)

$f(x)$ が $0 < x < 3/2$ で単調増加であることから、$u_k > u_{k+1} \implies f(u_k) > f(u_{k+1}) \implies u_{k+1} > u_{k+2}$ および $u_k < u_{k+1} \implies f(u_k) < f(u_{k+1}) \implies u_{k+1} < u_{k+2}$ がいえ、数学的帰納法により題意は示される。

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