大阪大学 2004年 文系 第2問 解説

方針・初手
放物線 $y = x^2$ の上側領域に円が含まれる条件を立式する。 円の方程式から $x^2$ を消去し、$y$ の2次関数が円の存在する $y$ の範囲で常に $0$ 以上になる条件を考える。円の半径を最大にするためには、放物線と円が接する状況を考え、その接点が適切な区間内に存在するかどうか(判別式や頂点の位置)を確認することがポイントである。(3) は (2) で得られた漸化式を平方完成の形に変形することで、等差数列に帰着させる。
解法1
(1)
円 $C_1$ は $y$ 軸上に中心を持ち、原点を通るため、その中心の座標を $(0, a_1)$ ($a_1 > 0$) とおくことができる。 $C_1$ の内部および周上の点は、不等式
$$ x^2 + (y - a_1)^2 \leqq a_1^2 $$
を満たす。これが領域 $D: y \geqq x^2$ に含まれる条件は、上式を満たす任意の $(x, y)$ に対して $x^2 \leqq y$ が成り立つことである。 円の不等式より $x^2 \leqq a_1^2 - (y - a_1)^2$ であるから、円が存在する区間 $0 \leqq y \leqq 2a_1$ において
$$ a_1^2 - (y - a_1)^2 \leqq y $$
が常に成り立てばよい。展開して整理すると、
$$ -y^2 + 2a_1 y \leqq y $$
$$ y(y - 2a_1 + 1) \geqq 0 $$
となる。これが $0 \leqq y \leqq 2a_1$ で常に成り立つ条件を考える。 $y=0$ のときは明らかに成り立つので、$0 < y \leqq 2a_1$ において両辺を $y$ で割ると、
$$ y - 2a_1 + 1 \geqq 0 $$
これが $y$ の範囲のすべての値で成り立つためには、$y$ が限りなく $0$ に近づくときを考えて
$$ 0 - 2a_1 + 1 \geqq 0 $$
$$ a_1 \leqq \frac{1}{2} $$
を満たす必要がある。したがって、半径 $a_1$ が最大となるのは $a_1 = \frac{1}{2}$ のときである。
(2)
円 $C_n$ は互いに外接しながら $y$ 軸上に積み重なっていく。 $C_1$ の一番上の点の $y$ 座標は $2a_1 = 2b_1$ である。 $C_2$ は $C_1$ に外接するため、$C_2$ の一番下の点は $y=2b_1$、一番上の点は $y = 2b_1 + 2a_2 = 2b_2$ となる。 一般に、$n \geqq 2$ について、$C_n$ の一番下の点の $y$ 座標は $2b_{n-1}$、一番上の点の $y$ 座標は $2b_n$ である。 したがって、$C_n$ の中心の $y$ 座標 $Y_n$ は、その中点であるから
$$ Y_n = \frac{2b_{n-1} + 2b_n}{2} = 2b_{n-1} + a_n $$
となる。円 $C_n$ が領域 $D$ に含まれる条件は、(1) と同様に、区間 $2b_{n-1} \leqq y \leqq 2b_{n-1} + 2a_n$ において
$$ x^2 \leqq a_n^2 - (y - Y_n)^2 \leqq y $$
すなわち
$$ y^2 - (2Y_n - 1)y + Y_n^2 - a_n^2 \geqq 0 $$
が常に成り立つことである。左辺を $f(y)$ とおく。 放物線 $z = f(y)$ の軸は $y = Y_n - \frac{1}{2}$ である。 $C_n$ の半径が最大となるとき、円 $C_n$ と放物線 $y = x^2$ は接する。したがって、$f(y)$ の最小値が $0$ になるときを考えればよい。 軸が円の存在する区間 $2b_{n-1} \leqq y \leqq 2b_{n-1} + 2a_n$ に含まれると仮定すると、
$$ 2b_{n-1} \leqq 2b_{n-1} + a_n - \frac{1}{2} \leqq 2b_{n-1} + 2a_n $$
より $a_n \geqq \frac{1}{2}$ である。このとき、最小値は頂点の $y$ 座標でとるので、
$$ f\left(Y_n - \frac{1}{2}\right) = -\left(Y_n - \frac{1}{2}\right)^2 + Y_n^2 - a_n^2 = Y_n - \frac{1}{4} - a_n^2 \geqq 0 $$
となる。これに $Y_n = 2b_{n-1} + a_n$ を代入して整理すると、
$$ 2b_{n-1} + a_n - \frac{1}{4} - a_n^2 \geqq 0 $$
$$ a_n^2 - a_n + \frac{1}{4} \leqq 2b_{n-1} $$
$$ \left(a_n - \frac{1}{2}\right)^2 \leqq 2b_{n-1} $$
$a_n \geqq \frac{1}{2}$ の範囲で最大の $a_n$ を求めるため、等号成立時を考えると、
$$ a_n - \frac{1}{2} = \sqrt{2b_{n-1}} $$
$$ a_n = \frac{1}{2} + \sqrt{2b_{n-1}} $$
ここで、$b_{n-1} \geqq a_1 = \frac{1}{2}$ であるため、$\sqrt{2b_{n-1}} \geqq 1$ となり、$a_n \geqq \frac{3}{2} > \frac{1}{2}$ となるので、軸が区間内に存在するという仮定は満たされる。
(3)
$b_n = b_{n-1} + a_n$ であるから、(2) で求めた関係式に代入すると、
$$ b_n - b_{n-1} = \frac{1}{2} + \sqrt{2b_{n-1}} $$
$$ b_n = b_{n-1} + \sqrt{2b_{n-1}} + \frac{1}{2} $$
右辺を平方完成の形にまとめると、
$$ b_n = \left(\sqrt{b_{n-1}} + \frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2 $$
$b_n > 0$ であるから、両辺の正の平方根をとると、
$$ \sqrt{b_n} = \sqrt{b_{n-1}} + \frac{1}{\sqrt{2}} $$
これは、数列 $\{\sqrt{b_n}\}$ が初項 $\sqrt{b_1} = \sqrt{a_1} = \frac{1}{\sqrt{2}}$、公差 $\frac{1}{\sqrt{2}}$ の等差数列であることを示している。 したがって、一般項は
$$ \sqrt{b_n} = \frac{1}{\sqrt{2}} + (n - 1) \frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{n}{\sqrt{2}} $$
両辺を2乗して、
$$ b_n = \frac{n^2}{2} $$
ゆえに、$n \geqq 2$ のとき、$a_n = b_n - b_{n-1}$ より
$$ a_n = \frac{n^2}{2} - \frac{(n-1)^2}{2} = \frac{2n - 1}{2} $$
$n=1$ のとき、$\frac{2 \cdot 1 - 1}{2} = \frac{1}{2}$ となり、$a_1 = \frac{1}{2}$ と一致する。 したがって、すべての自然数 $n$ について成り立つ。
解説
放物線と円の接条件を扱う典型問題である。微積を用いて接線の傾きと法線から立式する方法もあるが、本解法のように $x^2$ を消去して $y$ の2次関数の最大・最小問題に帰着させるのが計算量も少なく安全である。 (2) の非線形な漸化式は、そのままでは解きにくい形をしているが、項をずらしてうまく平方の形を作れるかに気づけるかが鍵となる。
答え
(1)
$$ a_1 = \frac{1}{2} $$
(2)
$$ a_n = \frac{1}{2} + \sqrt{2b_{n-1}} $$
(3)
$$ a_n = \frac{2n - 1}{2} $$
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