京都大学 2013年 文系 第5問 解説

方針・初手
表が出たときの移動、裏が出たときの移動によって座標 $x$ がどのように変化するかを式で表す。(1) では2回硬貨を投げる際の全4パターンの移動を計算し、元の座標に戻る確率を求める。(2) は(1)の考察を活かし、「2回を1セット」として捉えるのがポイントである。1セットごとの座標の変化量が $+2, 0, -2$ のいずれかになることに着目し、最大値である $2n$ に到達するための条件を考える。
解法1
数直線上の座標 $x$ にある石に対し、硬貨の表が出て移動した後の座標を $A(x)$、裏が出て移動した後の座標を $B(x)$ とする。
原点に関する対称移動であるから、$A(x) = -x$ である。
座標 $1$ に関する対称移動であるから、移動後の座標を $x'$ とすると、中点が $1$ になるため
$$ \frac{x + x'}{2} = 1 \implies x' = 2 - x $$
よって $B(x) = 2 - x$ である。
硬貨の表、裏が出る確率はそれぞれ $\dfrac{1}{2}$ である。
(1)
2回硬貨を投げたときの目の出方は、(表, 表)、(表, 裏)、(裏, 表)、(裏, 裏)の4通りあり、それぞれの確率は $\dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{2} = \dfrac{1}{4}$ である。
それぞれの出方に対する2回移動後の石の座標は以下のようになる。
- (表, 表) のとき:$A(A(x)) = -(-x) = x$
- (表, 裏) のとき:$B(A(x)) = 2 - (-x) = x + 2$
- (裏, 表) のとき:$A(B(x)) = -(2 - x) = x - 2$
- (裏, 裏) のとき:$B(B(x)) = 2 - (2 - x) = x$
したがって、2回投げた後に石が元の座標 $x$ にあるのは、目が (表, 表) または (裏, 裏) の場合である。
求める確率は、
$$ \frac{1}{4} + \frac{1}{4} = \frac{1}{2} $$
(2)
(1) の結果より、「2回硬貨を投げる」という一連の操作を1セットとして考える。
1セットの操作による石の座標の変化量 $y$ とその確率は以下のようになる。
- $y = +2$ となる確率は $\dfrac{1}{4}$(表・裏の順に出た場合)
- $y = -2$ となる確率は $\dfrac{1}{4}$(裏・表の順に出た場合)
- $y = 0$ となる確率は $\dfrac{1}{2}$(表・表 または 裏・裏 の場合)
石が原点(座標 $0$)にある状態からスタートし、硬貨を $2n$ 回投げることは、上記のセットを $n$ 回繰り返すことに等しい。
1セットあたりの座標の最大増加量は $+2$ であるため、$n$ 回のセットを繰り返して到達できる最大の座標は $2n$ である。
石が座標 $2n$ の点にあるためには、$n$ 回のセットすべてにおいて、座標が $+2$ 変化する事象(すなわち、硬貨が「表・裏」の順に出る事象)が起こらなければならない。
各セットの試行は独立であるから、求める確率は
$$ \left(\frac{1}{4}\right)^n = \frac{1}{4^n} $$
解説
「2つの対称移動の合成は平行移動になる」という幾何学的な性質(合成変換)を背景に持つ確率の問題である。
(1) のように具体的に $x$ の遷移を式で書き出してみると、「2回セット」で考えると座標の増分が一定($+2, 0, -2$)になるという強力な規則性が発見できる。
(2) はこの規則性に気づけば非常に簡単である。$n$ 回の反復試行において、目的の座標が取りうる最大値 $2n$ に設定されているため、「すべて $+2$ の移動を引くしかない」と一瞬で判断できる。理系用の類題では到達座標が $2n-2$ などに設定され、反復試行の確率計算を要するようになっているが、本問は極端なケースであるため立式もシンプルになる。
答え
(1)
$\dfrac{1}{2}$
(2)
$\left(\dfrac{1}{4}\right)^n$
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