トップ 名古屋大学 1982年 文系 第2問

名古屋大学 1982年 文系 第2問 解説

数学A/確率数学B/数列テーマ/確率漸化式テーマ/場合分け
名古屋大学 1982年 文系 第2問 解説

方針・初手

10分ごとに各バクテリアが独立に増減する確率過程として捉える。 (1)では、10分後のバクテリアの個数で場合分けをし、そこからさらに10分後に合計2個になる確率を求める。 (2)では、バクテリアが10分間で最大2倍にしか増えないことに着目し、30分後に6個に到達するために必要な10分後、20分後の個数を逆算して経路を絞り込む。

解法1

(1) 10分後のバクテリアの個数で場合分けをする。10分後の個数は $0, 1, 2$ 個のいずれかである。

(i) 10分後に0個の場合 以降バクテリアが増えることはないため、20分後に2個になる確率は $0$ である。

(ii) 10分後に1個の場合 確率は $\frac{1}{3}$ である。 この1個のバクテリアが、次の10分で2個になればよい。その確率は $\frac{1}{2}$ である。 よって、この場合の確率は

$$ \frac{1}{3} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{6} $$

(iii) 10分後に2個の場合 確率は $\frac{1}{2}$ である。 この2個のバクテリアが、次の10分で合計2個になればよい。2個のバクテリアがそれぞれ変化した後の個数を $a, b$ ($a, b \in \{0, 1, 2\}$)とすると、$a + b = 2$ となるのは以下の3つのパターンである。

これらを足し合わせると、10分後の2個が20分後に合計2個になる確率は

$$ \frac{1}{12} + \frac{1}{9} + \frac{1}{12} = \frac{5}{18} $$

よって、この場合の確率は

$$ \frac{1}{2} \times \frac{5}{18} = \frac{5}{36} $$

(i), (ii), (iii) は互いに排反であるから、求める確率は

$$ 0 + \frac{1}{6} + \frac{5}{36} = \frac{11}{36} $$

(2) 10分ごとにバクテリアは最大で2倍に増えるため、1個のバクテリアが30分後に到達しうる最大個数は $1 \times 2 \times 2 \times 2 = 8$ 個である。 30分後に6個になるためには、10分後の個数は2個でなければならない。(もし10分後に1個以下であれば、30分後には最大でも4個にしかならないため) したがって、10分後には2個存在することが必須条件となる(確率 $\frac{1}{2}$)。

さらに、10分後の2個から、20分後(最初から数えて30分後)に6個になるには、20分後の個数は最低でも3個必要である。(20分後に2個以下であれば、30分後には最大でも4個にしかならないため) 一方、10分後の2個から20分後に到達しうる最大個数は4個である。 よって、10分後、20分後、30分後の個数の推移は、以下の2通りに絞られる。

(A) $10\text{分後:}2\text{個} \to 20\text{分後:}4\text{個} \to 30\text{分後:}6\text{個}$

$$ \frac{1}{2} \times \frac{1}{4} \times \frac{1}{4} = \frac{1}{32} $$

(B) $10\text{分後:}2\text{個} \to 20\text{分後:}3\text{個} \to 30\text{分後:}6\text{個}$

$$ \frac{1}{2} \times \frac{1}{3} \times \frac{1}{8} = \frac{1}{48} $$

(A), (B) は互いに排反であるから、求める確率は

$$ \frac{1}{32} + \frac{1}{48} = \frac{3}{96} + \frac{2}{96} = \frac{5}{96} $$

解法2

(2) について、バクテリアの独立性に注目し、各バクテリアが「20分後に何個になっているか」の確率分布を利用する別解を示す。

解法1と同様に、30分後に6個になるためには、10分後に2個になっていることが必須である(確率 $\frac{1}{2}$)。 この2個のバクテリアを X, Y とする。X, Y はそれぞれ独立に、ここからさらに20分間増殖を続ける。 1個のバクテリアが20分後に $k$ 個になる確率を $P_k$ とおく。 (1)より $P_2 = \frac{11}{36}$ である。

また、$P_3$ と $P_4$ を求める。

$$ P_3 = \frac{1}{2} \times \left( 2 \times \frac{1}{2} \times \frac{1}{3} \right) = \frac{1}{6} $$

$$ P_4 = \frac{1}{2} \times \left( \frac{1}{2} \times \frac{1}{2} \right) = \frac{1}{8} $$

さて、バクテリア X, Y が最初の時点から数えて30分後(X, Y にとっては発生から20分後)に到達した個数をそれぞれ $N_X, N_Y$ とすると、求める条件は $N_X + N_Y = 6$ である。 $N_X \le 4, N_Y \le 4$ であるから、$(N_X, N_Y)$ の組み合わせは $(4, 2), (3, 3), (2, 4)$ のいずれかである。 この条件を満たす確率は

$$ \begin{aligned} & P(N_X=4)P(N_Y=2) + P(N_X=3)P(N_Y=3) + P(N_X=2)P(N_Y=4) \\ &= P_4 P_2 + P_3 P_3 + P_2 P_4 \\ &= 2 P_4 P_2 + (P_3)^2 \\ &= 2 \times \frac{1}{8} \times \frac{11}{36} + \left(\frac{1}{6}\right)^2 \\ &= \frac{11}{144} + \frac{1}{36} \\ &= \frac{15}{144} = \frac{5}{48} \end{aligned} $$

したがって、10分後に2個存在し、それがさらに20分後に合計6個になる全体の確率は

$$ \frac{1}{2} \times \frac{5}{48} = \frac{5}{96} $$

解説

分岐過程(マルコフ連鎖)の典型的な確率の推移問題である。 各々のバクテリアが独立して増減するため、個別の確率を掛け合わせて全体の状態を捉えることが基本となる。

(2)のように時間ステップが進んで目標値が大きい場合は、闇雲にすべての事象を列挙するのではなく、「1回で最大2倍にしか増えない」という上限値の制約を利用し、通らなければならない途中経路を逆算して絞り込むことがポイントとなる。 解法1は全体の個数の推移に注目した直感的なアプローチであり、解法2は個々のバクテリアの独立性を利用して事象を分割するアプローチである。

答え

(1) $$ \frac{11}{36} $$

(2) $$ \frac{5}{96} $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。