京都大学 1985年 文系 第4問 解説

方針・初手
(i) では、直線 $y=g(x)$ が曲線 $y=f(x)$ の $x=x_i$ における接線であるという条件を、関数とその導関数の値の一致($f(x_i) = g(x_i)$ かつ $f'(x_i) = g'(x_i)$)として数式化する。そして、多項式 $f(x) - g(x)$ について因数定理を適用し、$(x-x_i)^2$ を因数にもつことを示す。 (ii) では、(i) の結果を用いて $f(x) - g(x)$ の式を決定する。4次関数の $x^3$ の係数が $0$ であるという条件から $x_1$ と $x_2$ の関係を導き、積分計算を実行して面積を求める。
解法1
(i)
$y=g(x)$ は、曲線 $y=f(x)$ の点 $P_i(x_i, f(x_i))$ $(i=1, 2)$ における接線である。 接線の定義より、その方程式は以下のように表される。
$$ y - f(x_i) = f'(x_i)(x - x_i) $$
すなわち、$g(x) = f'(x_i)(x - x_i) + f(x_i)$ である。 この式から、以下の2つの等式が成り立つ。
$$ g(x_i) = f(x_i) $$
$$ g'(x_i) = f'(x_i) $$
ここで、多項式 $h(x) = f(x) - g(x)$ を考える。 上の2式より、$h(x_i) = f(x_i) - g(x_i) = 0$ である。 因数定理より、$h(x)$ は $x - x_i$ を因数にもつため、ある多項式 $Q(x)$ を用いて次のように表せる。
$$ h(x) = (x - x_i)Q(x) $$
この両辺を $x$ で微分すると、積の微分法により以下のようになる。
$$ h'(x) = Q(x) + (x - x_i)Q'(x) $$
$x = x_i$ を代入すると、$h'(x_i) = Q(x_i)$ となる。 一方、$h(x)$ の定義より $h'(x) = f'(x) - g'(x)$ であり、$h'(x_i) = f'(x_i) - g'(x_i) = 0$ であるから、$Q(x_i) = 0$ を得る。 再び因数定理より、多項式 $Q(x)$ は $x - x_i$ を因数にもつため、ある多項式 $R(x)$ を用いて $Q(x) = (x - x_i)R(x)$ と表せる。 したがって、$h(x)$ は以下のように表される。
$$ h(x) = (x - x_i)^2 R(x) $$
以上より、多項式 $f(x) - g(x)$ は $(x - x_i)^2$ で割り切れる。
(ii)
$f(x)$ は4次式であり、$x^4$ の係数は $1$ である。$g(x)$ は接線であるから1次以下の多項式である。 したがって、$f(x) - g(x)$ は $x^4$ の係数が $1$ の4次式である。 (i) の結果より、$f(x) - g(x)$ は $(x - x_1)^2$ および $(x - x_2)^2$ で割り切れる。 $x_1 \neq x_2$ より、これらは互いに素な多項式であるため、$f(x) - g(x)$ は $(x - x_1)^2(x - x_2)^2$ で割り切れる。 $f(x) - g(x)$ は4次式で最高次の係数が $1$ であるから、以下の恒等式が成り立つ。
$$ f(x) - g(x) = (x - x_1)^2(x - x_2)^2 $$
この右辺を展開する。
$$ \begin{aligned} f(x) - g(x) &= \{ (x - x_1)(x - x_2) \}^2 \\ &= \{ x^2 - (x_1 + x_2)x + x_1 x_2 \}^2 \\ &= x^4 - 2(x_1 + x_2)x^3 + \cdots \end{aligned} $$
$g(x)$ は1次以下の多項式であるため、$f(x) - g(x)$ の $x^3$ の係数は、$f(x)$ の $x^3$ の係数に等しい。 条件より $f(x)$ の $x^3$ の係数は $0$ であるから、以下の関係式を得る。
$$ -2(x_1 + x_2) = 0 $$
これより、$x_2 = -x_1$ である。$x_1 \neq x_2$ より、$x_1 \neq 0$ である。 このとき、$f(x) - g(x)$ は次のように表される。
$$ f(x) - g(x) = (x - x_1)^2(x + x_1)^2 = (x^2 - x_1^2)^2 $$
求める面積 $S$ は、曲線 $y = f(x)$ と直線 $y = g(x)$ で囲まれた部分の面積である。 すべての実数 $x$ において $f(x) - g(x) = (x^2 - x_1^2)^2 \geqq 0$ であるため、$f(x) \geqq g(x)$ となる。 交点の $x$ 座標は $x = x_1$ と $x = -x_1$ であり、これらが積分区間の両端となる。積分区間は $-|x_1| \leqq x \leqq |x_1|$ である。
$$ \begin{aligned} S &= \int_{-|x_1|}^{|x_1|} \{ f(x) - g(x) \} dx \\ &= \int_{-|x_1|}^{|x_1|} (x^2 - x_1^2)^2 dx \\ &= \int_{-|x_1|}^{|x_1|} (x^4 - 2x_1^2 x^2 + x_1^4) dx \end{aligned} $$
被積分関数は偶関数であるため、積分区間を半分にして $2$ 倍する。
$$ \begin{aligned} S &= 2 \int_{0}^{|x_1|} (x^4 - 2x_1^2 x^2 + x_1^4) dx \\ &= 2 \left[ \frac{1}{5}x^5 - \frac{2}{3}x_1^2 x^3 + x_1^4 x \right]_{0}^{|x_1|} \\ &= 2 \left( \frac{1}{5}|x_1|^5 - \frac{2}{3}x_1^2 |x_1|^3 + x_1^4 |x_1| \right) \end{aligned} $$
ここで、$x_1^2 = |x_1|^2$、$x_1^4 = |x_1|^4$ であることを用いて整理する。
$$ \begin{aligned} S &= 2 \left( \frac{1}{5} - \frac{2}{3} + 1 \right) |x_1|^5 \\ &= 2 \left( \frac{3 - 10 + 15}{15} \right) |x_1|^5 \\ &= \frac{16}{15} |x_1|^5 \end{aligned} $$
解説
接線の条件を多項式の重解条件(因数定理)に翻訳する定石問題である。 (i) の証明は、微分法における重解の扱いの基本となる論証であり、頻出のテーマである。接点において関数値だけでなく微分係数も一致することを立式して証明に持ち込む。 (ii) では、「複接線(二重接線)」をもつ4次関数の性質を利用している。面積計算において、$\int (x - \alpha)^2(x - \beta)^2 dx$ の公式(いわゆる $\frac{1}{30}$ 公式)を知っていれば、$\frac{|2x_1|^5}{30} = \frac{32|x_1|^5}{30} = \frac{16}{15}|x_1|^5$ と見通しよく検算することが可能である。$x_1$ の符号が指定されていないため、面積が正になるよう絶対値をつける配慮が必要である。
答え
$$ S = \frac{16}{15} |x_1|^5 $$
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