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京都大学 1989年 文系 第5問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学3/微分法テーマ/最大・最小
京都大学 1989年 文系 第5問 解説

方針・初手

「使用された色の数が3以内」かつ「同色の面が隣り合わない」という条件から、各色が最大で何面まで塗れるかを考える。 立方体において、互いに隣り合わない面は向かい合う2面(対面)のみであることに着目すれば、条件を満たす塗り方は「3組の対面がそれぞれ異なる3色で塗られる」場合のみであることが絞り込める。 確率 $P(N)$ を求めたあとの大小比較は、$N$ を実数 $x$ とみなして関数 $f(x)$ の導関数から単調性を調べる方法が最も確実で計算もスムーズである。

解法1

立方体の6つの面を塗るとき、使用された色の数を $k$ ($1 \leqq k \leqq 3$)とする。 ある色が3面以上に塗られたとすると、立方体のどの3面を選んでも必ず隣り合う2面が含まれるため、同色の面が隣り合うことになり条件を満たさない。 したがって、どの色も最大2面までしか塗ることができない。 6つの面をすべて塗るためには少なくとも $6 \div 2 = 3$ 色必要であるから、条件を満たすとき、使用される色の数は $k=3$ でなければならない。

また、3色すべてがちょうど2面ずつに塗られ、かつ同色が隣り合わないためには、同じ色が塗られる2面は互いに向かい合う面(対面)でなければならない。 すなわち、立方体の3組の対面(上下、左右、前後)が、それぞれ異なる3色で塗られる場合のみ条件を満たす。

各面は独立に確率 $\frac{1}{N}$ で色を選んで塗られるため、全事象は $N^6$ 通りであり、これらは同様に確からしい。 条件を満たす塗り方は、3組の対面にそれぞれ異なる色を割り当てる方法の数に等しい。 これは $N$ 色の中から異なる3色を選んで3組の対面に割り当てる順列の数であるから、

$$ _N\mathrm{P}_3 = N(N-1)(N-2) $$

通りである。 よって、求める確率 $P(N)$ は

$$ P(N) = \frac{N(N-1)(N-2)}{N^6} = \frac{(N-1)(N-2)}{N^5} $$

次に、$P(a)$ と $P(b)$ の大きさを比較する。 実数 $x \geqq 3$ に対して、関数 $f(x) = \frac{(x-1)(x-2)}{x^5} = \frac{x^2 - 3x + 2}{x^5}$ を考える。 $x$ について微分すると、商の微分法より

$$ f'(x) = \frac{(2x - 3)x^5 - (x^2 - 3x + 2) \cdot 5x^4}{x^{10}} $$

$$ f'(x) = \frac{x(2x - 3) - 5(x^2 - 3x + 2)}{x^6} $$

$$ f'(x) = \frac{2x^2 - 3x - 5x^2 + 15x - 10}{x^6} $$

$$ f'(x) = \frac{-3x^2 + 12x - 10}{x^6} $$

分子を変形すると、

$$ -3x^2 + 12x - 10 = -3(x^2 - 4x) - 10 = -3(x - 2)^2 + 2 $$

$x \geqq 3$ のとき $x - 2 \geqq 1$ であるから、

$$ -3(x - 2)^2 + 2 \leqq -3 \cdot 1^2 + 2 = -1 < 0 $$

よって、$x \geqq 3$ において $f'(x) < 0$ となり、$f(x)$ は単調に減少する。 自然数 $N \geqq 3$ において数列 $P(N)$ も単調減少であるから、$a, b \geqq 3$ かつ $a \neq b$ に対して、 $a < b$ のとき $P(a) > P(b)$ であり、 $a > b$ のとき $P(a) < P(b)$ である。

解法2

(大小比較の別解) $P(N)$ の単調性を調べるため、$\frac{P(N+1)}{P(N)}$ と $1$ の大小を比較する。

$$ \frac{P(N+1)}{P(N)} = \frac{N(N-1)}{(N+1)^5} \div \frac{(N-1)(N-2)}{N^5} = \frac{N^6}{(N-2)(N+1)^5} $$

分母と分子の差をとると、

$$ (N-2)(N+1)^5 - N^6 $$

二項定理より $(N+1)^5 = N^5 + 5N^4 + 10N^3 + 10N^2 + 5N + 1$ であるから、

$$ \begin{aligned} & (N-2)(N^5 + 5N^4 + 10N^3 + 10N^2 + 5N + 1) - N^6 \\ &= (N^6 + 5N^5 + 10N^4 + 10N^3 + 5N^2 + N) - (2N^5 + 10N^4 + 20N^3 + 20N^2 + 10N + 2) - N^6 \\ &= 3N^5 - 10N^3 - 15N^2 - 9N - 2 \end{aligned} $$

$N \geqq 3$ のとき、

$$ 3N^5 - 10N^3 = N^3(3N^2 - 10) \geqq 17N^3 $$

さらに $17N^3 = 17N \cdot N^2 \geqq 51N^2$ より

$$ 17N^3 - 15N^2 - 9N - 2 \geqq 51N^2 - 15N^2 - 9N - 2 = 36N^2 - 9N - 2 > 0 $$

したがって $(N-2)(N+1)^5 - N^6 > 0$ すなわち $(N-2)(N+1)^5 > N^6$ が成り立つ。 よって $\frac{P(N+1)}{P(N)} < 1$ であり、$P(N+1) < P(N)$ となるため $P(N)$ は単調に減少する。 ゆえに、$a < b$ のとき $P(a) > P(b)$ 、$a > b$ のとき $P(a) < P(b)$ である。

解説

「同色が隣り合わない」という条件を、立方体の構造と結びつけて「対面に同じ色を塗るしかない」と絞り込む論理的思考力が問われる良問である。鳩の巣原理を意識して「3面以上同じ色だと必ず隣り合う」ことを示せば、使用する色の数がちょうど3色であることも同時に論証できる。 後半の大小比較は、解法2のように数列の比をとって二項定理で展開する方法でも示せるが、解法1のように実数関数に拡張して微分するのが最も確実で記述量も少ないだろう。分子の平方完成により、導関数が負であることをきれいに示せる。

答え

$$ P(N) = \frac{(N-1)(N-2)}{N^5} $$

$a < b$ のとき $P(a) > P(b)$

$a > b$ のとき $P(a) < P(b)$

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