京都大学 1989年 文系 第4問 解説

方針・初手
(1) は、3次関数とその接線の交点を求める基本的な計算問題である。接点における $x$ 座標が重解になることを利用して方程式を因数分解して解く。 (2) は、(1)で求めた $Q$ における接線と $P$ における接線が直交する条件、すなわち「傾きの積が $-1$」を立式する。その後、$P$ の $x$ 座標 $c$ の2乗である $c^2$ をひとかたまり(例えば $t$)とみて、実数解の個数を調べる問題(解の配置問題)に帰着させる。
解法1
(1)
$f(x) = x^3 - ax$ とおくと、$f'(x) = 3x^2 - a$ である。 点 $P(c, c^3 - ac)$ における接線 $T_P$ の方程式は、傾きが $f'(c) = 3c^2 - a$ であるから、
$$ y - (c^3 - ac) = (3c^2 - a)(x - c) $$
$$ y = (3c^2 - a)x - 2c^3 $$
接線 $T_P$ と曲線 $y = f(x)$ の交点の $x$ 座標は、次の方程式の解である。
$$ x^3 - ax = (3c^2 - a)x - 2c^3 $$
$$ x^3 - 3c^2 x + 2c^3 = 0 $$
この方程式は $x=c$ で接するため、左辺は $(x-c)^2$ を因数にもつ。因数分解すると、
$$ (x - c)^2 (x + 2c) = 0 $$
したがって、交点の $x$ 座標は $x = c, -2c$ である。 $c \neq 0$ のとき、$T_P$ とグラフが再び交わる点 $Q$ の $x$ 座標は $-2c$ である。 $c = 0$ のとき、$P$ と $Q$ は一致し、$Q$ の $x$ 座標は $0$ となる。このときも $x = -2 \cdot 0 = 0$ として表せる。 よって、$Q$ の $x$ 座標は $-2c$ である。 $y$ 座標は $f(-2c) = (-2c)^3 - a(-2c) = -8c^3 + 2ac$ となる。
以上より、$Q$ の座標は $(-2c, -8c^3 + 2ac)$ である。
(2)
$T_P$ の傾きは $3c^2 - a$ である。 点 $Q$ における接線の傾きは、$f'(-2c) = 3(-2c)^2 - a = 12c^2 - a$ である。 この2つの接線が直交するためには、傾きの積が $-1$ であればよいので、
$$ (3c^2 - a)(12c^2 - a) = -1 $$
$$ 36c^4 - 15ac^2 + a^2 + 1 = 0 $$
この方程式を満たす実数 $c$ の個数が、求める点 $P$ の個数に一致する。 $c^2 = t$ とおくと、$c$ が実数である条件は $t \geqq 0$ である。 $t$ についての2次方程式
$$ 36t^2 - 15at + a^2 + 1 = 0 \quad \cdots \text{①} $$
の実数解について考える。 $g(t) = 36t^2 - 15at + a^2 + 1$ とおく。 $y = g(t)$ のグラフは下に凸の放物線であり、その軸は直線 $t = \frac{5a}{24}$ である。 また、$g(0) = a^2 + 1 > 0$ である。
①の判別式を $D$ とすると、
$$ D = (-15a)^2 - 4 \cdot 36 \cdot (a^2 + 1) = 225a^2 - 144a^2 - 144 = 81a^2 - 144 = 9(9a^2 - 16) $$
(i)
$D < 0$ すなわち $-\frac{4}{3} < a < \frac{4}{3}$ のとき
①は実数解をもたないため、$P$ は $0$ 個。
(ii)
$D = 0$ すなわち $a = \pm \frac{4}{3}$ のとき
①は $t = \frac{5a}{24}$ を重解としてもつ。 $a = \frac{4}{3}$ のとき、$t = \frac{5}{18} > 0$ であり、$c^2 = \frac{5}{18}$ を満たす実数 $c$ は $\pm\sqrt{\frac{5}{18}}$ の $2$ 個。 $a = -\frac{4}{3}$ のとき、$t = -\frac{5}{18} < 0$ であり、これを満たす実数 $c$ は存在しない。よって $P$ は $0$ 個。
(iii)
$D > 0$ すなわち $a < -\frac{4}{3}$ または $a > \frac{4}{3}$ のとき
$g(0) > 0$ であるから、①の異なる2つの実数解は同符号である。 $a > \frac{4}{3}$ のとき、軸 $t = \frac{5a}{24} > 0$ であるため、正の異なる2つの実数解をもつ。それぞれに対して実数 $c$ が $2$ 個ずつ、合計 $4$ 個存在する。 $a < -\frac{4}{3}$ のとき、軸 $t = \frac{5a}{24} < 0$ であるため、負の異なる2つの実数解をもつ。このとき実数 $c$ は存在せず、$P$ は $0$ 個。
解説
(1)の「3次関数とその接線の交点」は頻出のテーマである。交点を求める際に、接点において $(x-c)^2$ を因数に持つことを利用して割り算(または係数比較)を行うと、計算を大幅にショートカットできる。
(2)は、得られた条件式を $c^2$ についての2次方程式と見立てることで、よくある「解の配置問題(実数解の個数)」に持ち込むのがポイントである。$c^2=t$ と置換した際、「$t$ の個数」と「$c$ の個数」の対応関係($t>0$ なら $c$ は2個、$t=0$ なら $c$ は1個、$t<0$ なら $c$ は0個)に注意して場合分けを行う必要がある。判別式だけでなく、軸の位置と端点 $g(0)$ の符号を合わせて考えることが重要である。
答え
(1)
$$ (-2c, -8c^3 + 2ac) $$
(2)
$a > \frac{4}{3}$ のとき $4$ 個、$a = \frac{4}{3}$ のとき $2$ 個、$a < \frac{4}{3}$ のとき $0$ 個
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