京都大学 1991年 文系 第2問 解説

方針・初手
円 $C: x^2 + (y-a)^2 = 1$ と双曲線 $H: y^2 - x^2 = b^2$ の共有点は、両辺から $x^2$ を消去した $y$ の方程式の実数解を調べることで把握できます。 方程式から得られた $y$ に対して、$x$ が実数として存在するための条件 $x^2 \geqq 0$ を忘れずに考慮することがポイントです。特に「相異なる2点を共有する」ためには、$x^2 > 0$ (つまり $x$ がプラスとマイナスの2つ存在すること)が必要になります。
解法1
(1)
円 $C: x^2 + (y-a)^2 = 1$ より、
$$ x^2 = 1 - (y-a)^2 \quad \cdots (1) $$
これを双曲線 $H: y^2 - x^2 = b^2$ の方程式に代入して $x^2$ を消去すると、
$$ y^2 - \{ 1 - (y-a)^2 \} = b^2 $$
$$ y^2 - 1 + y^2 - 2ay + a^2 = b^2 $$
$$ 2y^2 - 2ay + a^2 - b^2 - 1 = 0 \quad \cdots (2) $$
$y$ の2次関数 $f(y) = 2y^2 - 2ay + a^2 - b^2 - 1$ を考える。(1) より、実数 $x$ が存在するための条件は
$$ 1 - (y-a)^2 \geqq 0 $$
$$ a-1 \leqq y \leqq a+1 \quad \cdots (3) $$
である。このとき、区間の両端である $y = a \pm 1$ の場合は $x^2 = 0$ となり、$x=0$ の1点のみが定まる。一方、区間の内部 $a-1 < y < a+1$ であれば $x^2 > 0$ となり、符号の異なる2つの実数 $x$ が定まる。
双曲線 $H$ の上半分 $H_+$ 上の点である条件は $y \geqq b$、下半分 $H_-$ 上の点である条件は $y \leqq -b$ である。 したがって、$C$ が $H_+$ と相異なる2点を共有し、かつ $H_-$ とも相異なる2点を共有するための条件は、2次方程式 $f(y) = 0$ が ・ $a-1 < y < a+1$ かつ $y \geqq b$ を満たす解 $\beta$ ・ $a-1 < y < a+1$ かつ $y \leqq -b$ を満たす解 $\alpha$ をそれぞれ1つずつもつことである。
関数 $y = f(y)$ のグラフは下に凸な放物線であり、軸の方程式は $y = \frac{a}{2}$ である。$a > 0, b > 0$ より、軸は常に $y > 0$ にある。
まず、小さい方の解 $\alpha$ が区間 $(a-1, -b]$ に存在する条件を考える。 軸 $y = \frac{a}{2}$ は $-b$ より大きいため、グラフがこの区間で横軸と交わるためには
$$ \begin{cases} f(a-1) > 0 \\ f(-b) \leqq 0 \end{cases} $$
が必要である。
$$ f(-b) = 2(-b)^2 - 2a(-b) + a^2 - b^2 - 1 = a^2 + 2ab + b^2 - 1 = (a+b)^2 - 1 $$
これが $0$ 以下となる条件は、$(a+b)^2 \leqq 1$ であり、$a, b > 0$ より
$$ a+b \leqq 1 $$
である。また、
$$ f(a-1) = 2(a-1)^2 - 2a(a-1) + a^2 - b^2 - 1 = (a-1)^2 - b^2 $$
これが $0$ より大きくなる条件は、$(a-1)^2 > b^2$ である。$a+b \leqq 1$ のもとでは $a-1 \leqq -b < 0$ であるから、$(a-1)^2 > b^2 \iff 1-a > b \iff a+b < 1$ となる。 なお、$a+b=1$ のときは $f(-b) = 0$ となり解は $\alpha = -b$ となるが、このとき $a-1 = -b$ であるから $\alpha = a-1$ となり、$x=0$ の1点のみしか共有しなくなるため不適である。 よって、
$$ a+b < 1 \quad \cdots (4) $$
が必要十分である。
次に、大きい方の解 $\beta$ が区間 $[b, a+1)$ に存在することを確かめる。 (4) が成り立つとき、$a-b < a < 1$ かつ $b-a < b < 1$ より $-1 < a-b < 1$ であるから、
$$ f(b) = 2b^2 - 2ab + a^2 - b^2 - 1 = (a-b)^2 - 1 < 0 $$
となる。また、
$$ f(a+1) = 2(a+1)^2 - 2a(a+1) + a^2 - b^2 - 1 = (a+1)^2 - b^2 > 0 $$
は $a > 0, b > 0$ より常に成り立つ。 $f(b) < 0$ かつ $f(a+1) > 0$ であるから、軸の位置にかかわらず、解 $\beta$ は必ず区間 $(b, a+1)$ 内に存在する。
以上より、求める条件は
$$ a > 0, \quad b > 0, \quad a+b < 1 $$
である。
(2)
$C$ が $H_+$ と相異なる4点を共有するようにできる。 【理由】 相異なる4点を共有するためには、方程式 $f(y) = 0$ が区間 $(a-1, a+1)$ かつ $y \geqq b$ に異なる2つの実数解をもつような正の実数 $a, b$ が存在することを示せばよい。 そのような $a, b$ の例として、$a = \frac{3}{2}, b = \frac{2}{5}$ とする。
このとき、$f(y)$ は
$$ f(y) = 2y^2 - 3y + \frac{9}{4} - \frac{4}{25} - 1 = 2y^2 - 3y + \frac{109}{100} $$
となる。2次方程式 $f(y) = 0$ の判別式を $D$ とすると、
$$ D = (-3)^2 - 4 \cdot 2 \cdot \frac{109}{100} = 9 - \frac{218}{25} = \frac{225 - 218}{25} = \frac{7}{25} > 0 $$
であるから、異なる2つの実数解 $y_1, y_2$ ($y_1 < y_2$) をもつ。 関数 $y = f(y)$ の軸は $y = \frac{3}{4}$ であり、
$$ a-1 = \frac{1}{2}, \quad a+1 = \frac{5}{2}, \quad b = \frac{2}{5} $$
ここで、$b < a-1 < \frac{3}{4} < a+1$ (すなわち $\frac{2}{5} < \frac{1}{2} < \frac{3}{4} < \frac{5}{2}$)が成り立っている。 端点における関数の値は、
$$ f\left(\frac{1}{2}\right) = 2\left(\frac{1}{2}\right)^2 - 3\left(\frac{1}{2}\right) + \frac{109}{100} = \frac{1}{2} - \frac{3}{2} + 1.09 = 0.09 > 0 $$
$$ f\left(\frac{5}{2}\right) = 2\left(\frac{5}{2}\right)^2 - 3\left(\frac{5}{2}\right) + \frac{109}{100} = \frac{25}{2} - \frac{15}{2} + 1.09 = 5 + 1.09 = 6.09 > 0 $$
軸が区間 $\left(\frac{1}{2}, \frac{5}{2}\right)$ 内にあり、両端点での値が正であることから、2つの解 $y_1, y_2$ はともに区間 $\left(\frac{1}{2}, \frac{5}{2}\right)$ の内部にある。 さらに、$y_1 > \frac{1}{2} > \frac{2}{5} = b$ であるため、2つの解はともに $y \geqq b$ も満たす。 各 $y_1, y_2$ に対して、区間内であることから $x^2 = 1 - \left(y - \frac{3}{2}\right)^2 > 0$ となり、それぞれ実数 $x$ が2つずつ定まる。 これら計4つの点はすべて $y \geqq b > 0$ を満たすため $H_+$ 上にある。 よって、$C$ と $H_+$ は相異なる4点を共有する。
解説
2つの2次曲線の交点に関する問題です。変数を消去したあとの方程式の実数解の個数が、そのまま共有点の個数に一致するとは限らないのがこのタイプの問題の定石であり、難所です。 本問では、$x^2$ を消去して得られた $y$ の方程式の解に対して、「$x$ が実数として(しかも異なる2つの値として)存在するためには $x^2 > 0$ でなければならない」という条件への翻訳が最大の鍵になります。(2) では、単に「できる」と答えるだけでなく、具体的な数値を挙げて証明するのが最も確実かつ厳密な論証となります。グラフの軸と端点の符号、判別式の条件を考えてから具体的な数値を探索するプロセスを身につけましょう。
答え
(1)
領域は $a > 0, b > 0, a+b < 1$ を満たす部分。図示すると、点 $(0,0), (1,0), (0,1)$ を頂点とする三角形の内部(境界線はすべて含まない)。(図は省略)
(2)
できる。理由は解法1の通り。
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