トップ 京都大学 2011年 文系 第1問

京都大学 2011年 文系 第1問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学1/図形計量テーマ/図形総合
京都大学 2011年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) 角の二等分線の定理を用いて、交点 $D$ が辺 $BC$ をどのような比に内分するかを求めます。その後、$\triangle ABC$ における余弦定理でいずれかの角の $\cos$ を求め、小さな三角形($\triangle ABD$ または $\triangle ACD$)で再度余弦定理を用いるのが標準的な解法です。「角の二等分線の長さの公式」を知っていればショートカットも可能です。

(2) 箱から2枚のカードを同時に選ぶとき、「小さい方の数が $k$ になる確率」を求めます。復元抽出(カードを戻す)であるため独立試行であり、$X=Y$ となる確率は、それぞれの値をとる確率の2乗和 $\sum_{k=1}^{8} \{P(X=k)\}^2$ として計算できます。

解法1

(1)

$\triangle ABC$ において、直線 $AD$ は $\angle A$ の二等分線であるから、角の二等分線の定理より

$$ BD : DC = AB : AC = 12 : 10 = 6 : 5 $$

点 $D$ は辺 $BC$ 上にあるので、$BC = 11$ より

$$ BD = \frac{6}{11} \times 11 = 6, \qquad DC = \frac{5}{11} \times 11 = 5 $$

次に、$\triangle ABC$ において余弦定理を用い、$\cos B$ を求める。

$$ \cos B = \frac{AB^2 + BC^2 - CA^2}{2 \cdot AB \cdot BC} = \frac{144 + 121 - 100}{2 \cdot 12 \cdot 11} = \frac{165}{264} = \frac{5}{8} $$

最後に、$\triangle ABD$ において余弦定理を用いて $AD$ の長さを求める。

$$ AD^2 = AB^2 + BD^2 - 2 \cdot AB \cdot BD \cos B = 144 + 36 - 2 \cdot 12 \cdot 6 \cdot \frac{5}{8} = 180 - 90 = 90 $$

$AD > 0$ であるから、$AD = \sqrt{90} = 3\sqrt{10}$

(別解) 角の二等分線の長さの公式 $AD^2 = AB \cdot AC - BD \cdot DC$ を用いると、

$$ AD^2 = 12 \cdot 10 - 6 \cdot 5 = 120 - 30 = 90 \implies AD = 3\sqrt{10} $$

と即座に求めることができる。

(2)

9枚のカードから同時に2枚を選ぶ選び方の総数は、

$$ {}_{9}\mathrm{C}_{2} = \frac{9 \times 8}{2 \times 1} = 36 \text{ (通り)} $$

であり、これらは同様に確からしい。

1回の試行において、選んだ2枚のうち小さい方の数が $k$($k=1, 2, \dots, 8$)になる事象を考える。このとき、1枚は必ず番号 $k$ であり、もう1枚は $k+1$ から $9$ までの $(9-k)$ 枚の中から選ばれなければならない。このような選び方は $9-k$ 通りである。

したがって、小さい方の数が $k$ となる確率は、

$$ P(X=k) = \frac{9-k}{36} $$

1回目の試行と2回目の試行は独立であるため、$X=Y=k$ となる確率は $\{P(X=k)\}^2$ である。求める確率 $P(X=Y)$ は、

$$ P(X=Y) = \sum_{k=1}^{8} \left( \frac{9-k}{36} \right)^2 = \frac{1}{36^2} \sum_{k=1}^{8} (9-k)^2 $$

$m = 9-k$ とおくと、$\sum_{k=1}^{8}(9-k)^2 = \sum_{m=1}^{8} m^2 = \dfrac{8 \cdot 9 \cdot 17}{6} = 204$ であるから、

$$ P(X=Y) = \frac{204}{1296} = \frac{17}{108} $$

解説

(1) は平面幾何の基本的な計算問題である。「角の二等分線の定理 $\to$ 全体の余弦定理 $\to$ 部分の余弦定理」という流れは、三角形の計量における王道パターンである。別解で紹介した公式 $AD^2 = AB \cdot AC - BD \cdot DC$ は、相似を用いて証明できるもので、知っていると計算ミスを防ぎ時間短縮になるため、受験生には必須の知識と言える。

(2) は確率分布と独立試行の定石問題である。「特定のカードが『小さい方』になるのはどんな組合せのときか」を論理的に数え上げ、一般化してシグマ計算に持ち込むというスムーズな処理能力が問われている。

答え

(1)

$3\sqrt{10}$

(2)

$\dfrac{17}{108}$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。