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大阪大学 2000年 理系 第2問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学1/図形計量テーマ/場合分け
大阪大学 2000年 理系 第2問 解説

方針・初手

与えられた16個の格子点から3点を選び、それらが作る三角形の面積が $\frac{9}{2}$ となる確率を求める問題である。

まずは16点から3点を選ぶ全事象の数を計算する。 次に、格子点を頂点とする三角形の面積が $\frac{9}{2}$ となる条件を考える。点集合が $3 \times 3$ の正方形領域に収まっていることに着目し、3点を囲む最小の長方形(バウンディングボックス)の面積と比較することで、条件を満たす三角形の形状と配置を絞り込む方針をとる。

解法1

16個の点から異なる3点を選ぶ全事象の数は、

$$ _{16}\text{C}_3 = \frac{16 \cdot 15 \cdot 14}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 560 $$

である。 次に、選んだ3点が三角形をなすとき、その面積 $S$ が $\frac{9}{2}$ になる場合を考える。

選んだ3点の $x$ 座標の最大値を $x_{\max}$、最小値を $x_{\min}$ とし、$W = x_{\max} - x_{\min}$ とおく。 同様に、$y$ 座標の最大値を $y_{\max}$、最小値を $y_{\min}$ とし、$H = y_{\max} - y_{\min}$ とおく。 このとき、選んだ3点は幅 $W$、高さ $H$ の長方形に含まれる。 三角形の面積 $S$ は、この包囲長方形の面積 $WH$ の半分以下であるから、

$$ S \le \frac{1}{2}WH $$

が成り立つ。 点集合の条件から $x, y \in \{0, 1, 2, 3\}$ であるため、$W \le 3$ かつ $H \le 3$ である。 したがって、

$$ S \le \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot 3 = \frac{9}{2} $$

となる。 よって、面積が $\frac{9}{2}$ となるためには、等号が成立する条件、すなわち $W = 3$ かつ $H = 3$ であることが必須である。

$W = 3, H = 3$ となるためには、選んだ3点が領域 $0 \le x \le 3, 0 \le y \le 3$ の4つの境界線($x=0, x=3, y=0, y=3$)の上に少なくとも1つずつ存在しなければならない。 3つの頂点で4つの境界線をカバーするためには、少なくとも1つの頂点は2つの境界線の交点、すなわち領域の4隅の点 $(0,0), (3,0), (0,3), (3,3)$ のいずれかでなければならない。

選んだ3点に含まれる4隅の点の個数によって場合分けを行う。

(i) 3頂点とも4隅の点である場合

4つの隅の点から3つを選ぶ選び方は、

$$ _{4}\text{C}_3 = 4 $$

通りである。 これらの3点を結ぶと、底辺3、高さ3の直角二等辺三角形となり、面積は $\frac{1}{2} \cdot 3 \cdot 3 = \frac{9}{2}$ となり条件を満たす。 よって、ここで4個の三角形が得られる。

(ii) 3頂点のうち2つが4隅の点である場合

選んだ2つの隅の点が隣接する場合(辺を共有する場合)と、対角にある場合に分けて考える。

隣接する場合、例えば $(0,0)$ と $(3,0)$ を選んだとする。 この2点間の距離(底辺)は $3$ であるから、面積が $\frac{9}{2}$ となるためには高さが $3$、すなわち第3の頂点は直線 $y=3$ 上になければならない。 直線 $y=3$ 上にある点集合の点は $(0,3), (1,3), (2,3), (3,3)$ の4個であるが、$(0,3)$ と $(3,3)$ は隅の点であるため、これらを選ぶと (i) の場合に帰着する。 よって、第3の頂点として隅以外の点 $(1,3), (2,3)$ の2個を選んだときのみ、条件を満たす新たな三角形となる。 隣接する隅のペアは4組あるため、条件を満たす三角形は、

$$ 4 \times 2 = 8 $$

個ある。

一方、選んだ2つの隅の点が対角にある場合、例えば $(0,0)$ と $(3,3)$ を選んだとする。 第3の頂点を $(x,y)$ とすると、底辺の長さは $3\sqrt{2}$ であり、点 $(x,y)$ と直線 $y=x$ との距離が高さとなるため、面積 $S$ は、

$$ S = \frac{1}{2} \cdot 3\sqrt{2} \cdot \frac{|x-y|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2}} = \frac{3}{2}|x-y| $$

となる。これが $\frac{9}{2}$ となるためには $|x-y| = 3$ となる必要がある。 $0 \le x \le 3, 0 \le y \le 3$ においてこれを満たす格子点 $(x,y)$ は $(3,0)$ と $(0,3)$ のみであるが、これらは隅の点である。 したがって、この場合はすべて (i) に帰着し、新たな三角形は生じない。

(iii) 3頂点のうち1つだけが4隅の点である場合

一般性を失わず、選ばれた1つの隅の点を $(0,0)$ とする。 残りの2つの頂点は、$W=3, H=3$ を満たすために、それぞれ直線 $x=3$ 上と直線 $y=3$ 上になければならない。 これらを $(3,a), (b,3)$ とおく。 ただし、これらが隅の点にならないようにするため、$1 \le a \le 2$ かつ $1 \le b \le 2$ である。 この3点を頂点とする三角形の面積 $S$ は、$3 \times 3$ の正方形の面積から、周りの3つの直角三角形の面積を引いて求められる。

$$ \begin{aligned} S &= 9 - \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot a - \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot b - \frac{1}{2}(3-a)(3-b) \\ &= 9 - \frac{3a}{2} - \frac{3b}{2} - \frac{9 - 3a - 3b + ab}{2} \\ &= \frac{9-ab}{2} \end{aligned} $$

これが $\frac{9}{2}$ となるためには $ab=0$ となる必要がある。 しかし、$a \ge 1, b \ge 1$ であるため $ab=0$ となることはなく、条件を満たす三角形は存在しない。

以上 (i), (ii), (iii) より、面積が $\frac{9}{2}$ となる三角形の総数は、

$$ 4 + 8 = 12 $$

個である。 したがって、求める確率は、

$$ \frac{12}{560} = \frac{3}{140} $$

となる。

解説

格子点多角形の面積に関する問題では、本解法のように「図形を囲む最小の長方形(バウンディングボックス)」を考える手法が非常に有効である。 与えられた点集合の幅と高さの最大値がそれぞれ 3 であることから、面積の最大値が $\frac{1}{2} \times 3 \times 3 = \frac{9}{2}$ であることに気づければ、条件を満たす三角形が $3 \times 3$ の正方形の境界をフルに活用した極端な配置のものに限られることが直ちに分かる。

場合分けにおいては、「正方形の4隅の点をいくつ含むか」を基準にすることで、数え漏れや重複を論理的かつ確実に防ぐことができる。

答え

$$ \frac{3}{140} $$

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