大阪大学 1999年 理系 第5問 解説

方針・初手
「どのように重ね合わせても重ならない」という条件をどう処理するかが最大のポイントである。 2枚の紙の四隅を合わせる重ね方は、回転角 $0^\circ, 90^\circ, 180^\circ, 270^\circ$ の4通りある。この4通りのどの重ね方においても、Aが塗ったマスとBが塗ったマスが重ならないようにする必要がある。
ここで、正方形の紙の中心を軸に $90^\circ$ ずつ回転させたとき、互いに移り合うマス目を1つのグループとして分類する。どのマス目も自分自身を含めて4つのマス目と互いに移り合うため、16個のマス目は「4マスからなる4つのグループ」に分けられる。 「どのように重ね合わせても重ならない」ということは、Bが選ぶ2つのマス目が、Aが選んだマス目が属するグループに含まれないことと同値である。したがって、Aが選んだ2マスが「同じグループに属するか」「異なるグループに属するか」で場合分けを行う。
解法1
正方形の紙の中心を軸として、$90^\circ$ ずつ回転させて互いに重なるマス目を1つのグループにまとめる。 どのマス目も回転によって元の位置に戻るのは $360^\circ$ 回転したときのみであるため、各グループは必ず4つのマス目からなる。したがって、16個のマス目は以下のように4マスずつの4つのグループに分割される。
- $G_1$:四隅の4マス
- $G_2$:中央の $2 \times 2$ の4マス
- $G_3$:残りの辺上の8マスのうち、回転で移り合う4マス
- $G_4$:辺上の残りの4マス
A、Bはそれぞれ16マスのうちから無作為に2マスを選ぶため、その選び方はそれぞれ
$$ {}_{16}\mathrm{C}_{2} = \frac{16 \times 15}{2} = 120 \text{ 通り} $$
であり、AとBの選び方の全事象は $120 \times 120 = 14400$ 通りである。これらは同様に確からしい。
条件「どのように重ね合わせても重ならない」は、「Bが選んだ2マスが、Aの選んだマス目が属するグループに1つも含まれない」と言い換えられる。 Aが選んだ2マスが属するグループの状況によって、以下の2つの場合に分けて考える。
(i) Aが同じグループから2マスを選ぶ場合
Aの選び方は、4つのグループから1つを選び、その中の4マスから2マスを選ぶので、
$$ {}_4\mathrm{C}_{1} \times {}_4\mathrm{C}_{2} = 4 \times 6 = 24 \text{ 通り} $$
このとき、Aが選んだマス目は1つのグループにのみ属する。 Bの選ぶ2マスが、どの重ね方でもAのマスと重ならないためには、Bはこのグループに属さない残りの12マスから2マスを選べばよい。その選び方は、
$$ {}_{12}\mathrm{C}_{2} = \frac{12 \times 11}{2} = 66 \text{ 通り} $$
よって、この場合の条件を満たすAとBのマス目の選び方は、
$$ 24 \times 66 = 1584 \text{ 通り} $$
(ii) Aが異なるグループから1マスずつ選ぶ場合
Aの選び方は、4つのグループから2つを選び、それぞれのグループの4マスから1マスずつ選ぶので、
$$ {}_4\mathrm{C}_{2} \times 4 \times 4 = 6 \times 16 = 96 \text{ 通り} $$
このとき、Aが選んだマス目は2つのグループにまたがる。 Bの選ぶ2マスが、どの重ね方でもAのマスと重ならないためには、Bはこの2つのグループに属さない残りの8マスから2マスを選べばよい。その選び方は、
$$ {}_8\mathrm{C}_{2} = \frac{8 \times 7}{2} = 28 \text{ 通り} $$
よって、この場合の条件を満たすAとBのマス目の選び方は、
$$ 96 \times 28 = 2688 \text{ 通り} $$
(i) と (ii) は互いに排反であるから、条件を満たす選び方の総数は、
$$ 1584 + 2688 = 4272 \text{ 通り} $$
したがって、求める確率は、
$$ \frac{4272}{14400} = \frac{267}{900} = \frac{89}{300} $$
解説
「どのように重ね合わせても重ならない」という条件の解釈が本問のすべてである。 回転という操作に着目し、操作によって互いに移り合う要素を同値類(軌道)としてグループ分けする発想は、数学において非常に重要かつ強力な手法である。16マスの平面図形そのものを見るのではなく、「4つの要素を持つ4つのグループ」という抽象的な集合の問題に帰着させることで、計算ミスや数え漏れを防ぎ、見通しよく解き進めることができる。
答え
$$ \frac{89}{300} $$
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