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大阪大学 1994年 理系 第5問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学B/数列テーマ/確率漸化式テーマ/場合分け
大阪大学 1994年 理系 第5問 解説

方針・初手

袋の中の球の個数が増減する条件を整理し、「はじめて球の個数が5になる」事象が、どのような試行の経過をたどるかを言い換えることが第一歩である。

白球を取り出した場合は球を戻すため、袋の中の球の個数は変化しない。一方、赤球を取り出した場合は、赤球を戻さず白球を2個入れるため、袋の中の球の合計は $2 - 1 = 1$ 個増える。初期状態の球の合計は3個であるから、球の個数がはじめて5になるのは、赤球をちょうど2回取り出したときである。

したがって、「ちょうど $k$ 回の試行の後に、袋の中の球の個数がはじめて5になる」とは、「$k-1$ 回目までにちょうど1回赤球を取り出し、$k$ 回目に2回目の赤球を取り出す」ことと言い換えられる。

(2) については、等差数列と等比数列の積の和の極限を求める典型問題である。和 $S_n$ と $rS_n$ の差をとる手法を用いる。

解法1

(1)

袋の中の球の個数と内訳の状態は、赤球を取り出すごとに変化する。 初期状態を状態A、赤球を1回取り出した後の状態を状態Bとする。

ちょうど $k$ 回の試行の後に球の個数がはじめて5になるには、$k$ 回目の試行で2回目の赤球を取り出せばよい。 これは、$1$ 回目から $k-1$ 回目までの試行の中で、状態Aから状態Bへ遷移する(赤球を取り出す)のがちょうど1回あり、その他の回は白球を取り出し、最後に $k$ 回目で状態Bから赤球を取り出す、という事象である。

状態Aから状態Bに遷移する(1回目の赤球を取り出す)のが $i$ 回目($1 \le i \le k-1$)である確率 $P_i$ を求める。 $1$ 回目から $i-1$ 回目までは状態Aで白球を取り出し続け、その確率は $\left(\frac{1}{3}\right)^{i-1}$ である。 $i$ 回目に状態Aで赤球を取り出し、その確率は $\frac{2}{3}$ である。 $i+1$ 回目から $k-1$ 回目までは状態Bで白球を取り出し続け、その確率は $\left(\frac{3}{4}\right)^{k-1-i}$ である。 $k$ 回目に状態Bで赤球を取り出し、その確率は $\frac{1}{4}$ である。

これらの試行は独立に行われるので、

$$ P_i = \left(\frac{1}{3}\right)^{i-1} \cdot \frac{2}{3} \cdot \left(\frac{3}{4}\right)^{k-1-i} \cdot \frac{1}{4} = \frac{1}{6} \left(\frac{1}{3}\right)^{i-1} \left(\frac{3}{4}\right)^{k-1-i} $$

となる。求める確率 $p(k)$ は、これを $i = 1, 2, \cdots, k-1$ について足し合わせたものであるから、

$$ p(k) = \sum_{i=1}^{k-1} P_i = \sum_{i=1}^{k-1} \frac{1}{6} \left(\frac{1}{3}\right)^{i-1} \left(\frac{3}{4}\right)^{k-1-i} $$

$$ p(k) = \frac{1}{6} \left(\frac{3}{4}\right)^{k-2} \sum_{i=1}^{k-1} \left(\frac{1}{3}\right)^{i-1} \left(\frac{4}{3}\right)^{i-1} = \frac{1}{6} \left(\frac{3}{4}\right)^{k-2} \sum_{i=1}^{k-1} \left(\frac{4}{9}\right)^{i-1} $$

ここで、$\sum_{i=1}^{k-1} \left(\frac{4}{9}\right)^{i-1}$ は初項 $1$、公比 $\frac{4}{9}$、項数 $k-1$ の等比数列の和であるから、

$$ \sum_{i=1}^{k-1} \left(\frac{4}{9}\right)^{i-1} = \frac{1 - \left(\frac{4}{9}\right)^{k-1}}{1 - \frac{4}{9}} = \frac{9}{5} \left\{ 1 - \left(\frac{4}{9}\right)^{k-1} \right\} $$

よって、

$$ p(k) = \frac{1}{6} \left(\frac{3}{4}\right)^{k-2} \cdot \frac{9}{5} \left\{ 1 - \left(\frac{4}{9}\right)^{k-1} \right\} = \frac{3}{10} \left\{ \left(\frac{3}{4}\right)^{k-2} - \left(\frac{3}{4}\right)^{k-2} \left(\frac{4}{9}\right)^{k-1} \right\} $$

中かっこの中の第2項を整理すると、

$$ \left(\frac{3}{4}\right)^{k-2} \left(\frac{4}{9}\right)^{k-1} = \left(\frac{3}{4}\right)^{k-2} \left(\frac{4}{9}\right)^{k-2} \cdot \frac{4}{9} = \left(\frac{3}{4} \cdot \frac{4}{9}\right)^{k-2} \cdot \frac{4}{9} = \frac{4}{9} \left(\frac{1}{3}\right)^{k-2} $$

これを代入して、さらに全体を $k-1$ 乗の形に整える。

$$ p(k) = \frac{3}{10} \left\{ \frac{4}{3} \left(\frac{3}{4}\right)^{k-1} - \frac{4}{9} \cdot 3 \left(\frac{1}{3}\right)^{k-1} \right\} $$

$$ p(k) = \frac{2}{5} \left\{ \left(\frac{3}{4}\right)^{k-1} - \left(\frac{1}{3}\right)^{k-1} \right\} $$

(2)

(1) の結果より、求める極限の和の部分は次のように分けられる。

$$ \sum_{k=2}^{n} k p(k) = \frac{2}{5} \sum_{k=2}^{n} k \left(\frac{3}{4}\right)^{k-1} - \frac{2}{5} \sum_{k=2}^{n} k \left(\frac{1}{3}\right)^{k-1} $$

ここで、$0 < r < 1$ を満たす定数 $r$ に対して、$S_n(r) = \sum_{k=2}^{n} k r^{k-1}$ とおき、この極限を計算する。

$$ S_n(r) = 2r^1 + 3r^2 + \cdots + n r^{n-1} $$

両辺に $r$ を掛けると、

$$ r S_n(r) = 2r^2 + \cdots + (n-1) r^{n-1} + n r^n $$

辺々を引くと、

$$ (1 - r) S_n(r) = 2r + r^2 + \cdots + r^{n-1} - n r^n $$

$$ (1 - r) S_n(r) = r + (r + r^2 + \cdots + r^{n-1}) - n r^n $$

かっこの中は初項 $r$、公比 $r$、項数 $n-1$ の等比数列の和であるから、

$$ (1 - r) S_n(r) = r + \frac{r (1 - r^{n-1})}{1 - r} - n r^n $$

$n \to \infty$ とするとき、$0 < r < 1$ より $\lim_{n \to \infty} r^{n-1} = 0$ である。 また、問題の条件から $\lim_{n \to \infty} n r^n = 0$ である。したがって、

$$ \lim_{n \to \infty} (1 - r) S_n(r) = r + \frac{r}{1 - r} = \frac{r(1 - r) + r}{1 - r} = \frac{2r - r^2}{1 - r} $$

$1 - r \neq 0$ より、

$$ \lim_{n \to \infty} S_n(r) = \frac{2r - r^2}{(1 - r)^2} $$

これを利用して元の極限を計算する。$r = \frac{3}{4}$ および $r = \frac{1}{3}$ をそれぞれ代入する。

$$ \lim_{n \to \infty} S_n \left(\frac{3}{4}\right) = \frac{2 \left(\frac{3}{4}\right) - \left(\frac{3}{4}\right)^2}{\left(1 - \frac{3}{4}\right)^2} = \frac{\frac{3}{2} - \frac{9}{16}}{\frac{1}{16}} = 16 \left( \frac{24}{16} - \frac{9}{16} \right) = 15 $$

$$ \lim_{n \to \infty} S_n \left(\frac{1}{3}\right) = \frac{2 \left(\frac{1}{3}\right) - \left(\frac{1}{3}\right)^2}{\left(1 - \frac{1}{3}\right)^2} = \frac{\frac{2}{3} - \frac{1}{9}}{\frac{4}{9}} = \frac{9}{4} \left( \frac{6}{9} - \frac{1}{9} \right) = \frac{9}{4} \cdot \frac{5}{9} = \frac{5}{4} $$

以上より、求める極限値は、

$$ \lim_{n \to \infty} \sum_{k=2}^{n} k p(k) = \frac{2}{5} \cdot 15 - \frac{2}{5} \cdot \frac{5}{4} = 6 - \frac{1}{2} = \frac{11}{2} $$

解説

(1) は確率における「状態推移」を正確に把握する問題である。事象の起こる回数だけでなく、順序によっても各試行での確率が変動するため、どのタイミングで赤球が出るかで場合分けし、シグマを用いて和を計算する必要がある。

(2) は「(等差数列) $\times$ (等比数列)」の和の極限を求める典型的な計算問題である。和 $S_n$ から $rS_n$ を引くという定石の手順を一般の $r$ について行い、最後に具体的な数値を代入すると計算ミスを防ぎやすい。極限をとる際には、問題文で与えられた条件 $\lim_{n \to \infty} na^n = 0$ を適切に引用することが論理構成上重要である。

答え

(1)

$$ p(k) = \frac{2}{5} \left\{ \left(\frac{3}{4}\right)^{k-1} - \left(\frac{1}{3}\right)^{k-1} \right\} $$

(2)

$$ \frac{11}{2} $$

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