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京都大学 1962年 理系 第1問 解説

数学C/平面ベクトル数学1/図形計量テーマ/図形総合テーマ/場合分け
京都大学 1962年 理系 第1問 解説

方針・初手

点 $M$ が線分 $PQ$ を二等分することから,位置ベクトルを用いて $\overrightarrow{OP} + \overrightarrow{OQ} = 2\overrightarrow{OM}$ と立式する。点 $M$ を三角形の頂点の位置ベクトルを用いた式で表し,$P, Q$ が三角形のどの辺上にあるかで場合分けを行い,連立方程式の解の存在条件を調べる。

解法1

始点を任意の点とし,各点の位置ベクトルを $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}, \vec{m}, \vec{p}, \vec{q}$ とする。 点 $M$ は三角形 $ABC$ の内部にあるから,正の実数 $\alpha, \beta, \gamma$ ($\alpha + \beta + \gamma = 1$)を用いて,

$$ \vec{m} = \alpha \vec{a} + \beta \vec{b} + \gamma \vec{c} $$

と一意に表される。 線分 $PQ$ の中点が $M$ であるから,

$$ \vec{p} + \vec{q} = 2\vec{m} = 2\alpha \vec{a} + 2\beta \vec{b} + 2\gamma \vec{c} \quad \cdots (1) $$

が成り立つ。

(i)

$P, Q$ が同じ辺上にある場合

対称性より,$P, Q$ がともに辺 $BC$ 上にあるとする。 実数 $s, t$ ($0 \le s \le 1, 0 \le t \le 1$)を用いて,

$$ \vec{p} = s\vec{b} + (1-s)\vec{c}, \quad \vec{q} = t\vec{b} + (1-t)\vec{c} $$

と表せる。これを (1) に代入すると,

$$ (s+t)\vec{b} + (2-s-t)\vec{c} = 2\alpha \vec{a} + 2\beta \vec{b} + 2\gamma \vec{c} $$

$\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ は一次独立であるから,$\vec{a}$ の係数を比較して $0 = 2\alpha$ となる。 これは $\alpha > 0$ に矛盾する。他の辺でも同様であるため,$P, Q$ は異なる辺上に存在する。

(ii)

$P, Q$ が異なる辺上にある場合

対称性より,$P$ が辺 $BC$ 上,$Q$ が辺 $CA$ 上にあるとする。 実数 $s, t$ ($0 \le s \le 1, 0 \le t \le 1$)を用いて,

$$ \vec{p} = s\vec{b} + (1-s)\vec{c}, \quad \vec{q} = t\vec{c} + (1-t)\vec{a} $$

と表せる。これを (1) に代入して整理すると,

$$ (1-t)\vec{a} + s\vec{b} + (1-s+t)\vec{c} = 2\alpha \vec{a} + 2\beta \vec{b} + 2\gamma \vec{c} $$

$\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ は一次独立より,各係数を比較して,

$$ \begin{cases} 1-t = 2\alpha \\ s = 2\beta \\ 1-s+t = 2\gamma \end{cases} $$

$\alpha + \beta + \gamma = 1$ より,第1式と第2式が成り立てば第3式も自動的に成り立つ。 これより $s = 2\beta, t = 1-2\alpha$ を得る。 $0 \le s \le 1$ かつ $0 \le t \le 1$ となるための条件は,

$$ 0 \le 2\beta \le 1 \quad \text{かつ} \quad 0 \le 1-2\alpha \le 1 $$

すなわち,$\alpha \le \frac{1}{2}$ かつ $\beta \le \frac{1}{2}$ である。 このとき条件を満たす $s, t$ の組はただ1つ決まる。 同様に,各辺の組み合わせについて線分が引ける条件は以下の通りになる。

ここで,$\alpha + \beta + \gamma = 1$ であり,$\alpha, \beta, \gamma$ はすべて正であるから,このうち $\frac{1}{2}$ より大きいものは高々1つである。また,2つが $\frac{1}{2}$ に等しいと仮定すると残り1つが $0$ となり $M$ が内部の点であることに反するため,$\frac{1}{2}$ に等しいものは高々1つである。 よって,以下の3つの場合に分けられる。

(ア)

$\alpha < \frac{1}{2}$ かつ $\beta < \frac{1}{2}$ かつ $\gamma < \frac{1}{2}$ の場合

上記の3つの条件をすべて満たすため,3本の線分が引ける。 図形的には,辺 $BC, CA, AB$ の中点をそれぞれ $D, E, F$ とすると,この領域は中点三角形 $DEF$ の内部である。

(イ)

$\alpha, \beta, \gamma$ のうちいずれか1つが $\frac{1}{2}$ に等しい場合

対称性から $\alpha = \frac{1}{2}$ とすると,$\beta + \gamma = \frac{1}{2}$ であり,$\beta < \frac{1}{2}, \gamma < \frac{1}{2}$ となる。 このとき,「$\alpha \le \frac{1}{2}$ かつ $\beta \le \frac{1}{2}$」および「$\gamma \le \frac{1}{2}$ かつ $\alpha \le \frac{1}{2}$」の2条件を満たす。 前者について $t = 1 - 2\alpha = 0$ となり,点 $Q$ は頂点 $A$ に一致する。 後者について,辺 $AB$ 上の点を $P'$,辺 $BC$ 上の点を $Q'$ とすると,$P'$ の $\vec{a}$ の係数は $2\alpha = 1$ となり,点 $P'$ は頂点 $A$ に一致する。 中点 $M$ が共通で一端がともに $A$ であるから,これら2つの線分は同一の線分を表す。 もう一つの条件「$\beta \le \frac{1}{2}$ かつ $\gamma \le \frac{1}{2}$」によって定まる線分(端点は $A$ ではない)と合わせて,2本の線分が引ける。 図形的には,中点三角形 $DEF$ の周上(頂点を除く)である。

(ウ)

$\alpha, \beta, \gamma$ のうちいずれか1つが $\frac{1}{2}$ より大きい場合

対称性から $\alpha > \frac{1}{2}$ とすると,$\beta < \frac{1}{2}, \gamma < \frac{1}{2}$ となる。 このとき「$\beta \le \frac{1}{2}$ かつ $\gamma \le \frac{1}{2}$」のみを満たすため,1本の線分が引ける。 図形的には,中点三角形 $DEF$ の外部(かつ三角形 $ABC$ の内部)である。

解説

点 $P, Q$ の一方が決まれば他方も決まるので,ある点 $P$ に対して $M$ に関する対称点 $Q$ を考える問題と見られる。 三角形 $ABC$ の周を $T$,それを点 $M$ を中心に $180^\circ$ 回転した図形を $T'$ とすると,$T$ と $T'$ の交点が求める点の候補になる。交点が $2n$ 個あれば,線分は $n$ 本存在する。 点 $M$ が中点三角形の内部にあるときは辺同士が6か所で交わり3本,辺上では4つの交点から2本,外部では2つの交点から1本となる。代数的に得た $\alpha, \beta, \gamma$ と $\frac{1}{2}$ の大小関係は,この図形的な位置関係に対応している。

答え

三角形 $ABC$ の各辺の中点を結んでできる三角形を中点三角形と呼ぶとき,点 $M$ の位置によって引ける線分の本数は以下のようになる。

理由は,線分の両端が三角形の辺上に存在するための条件を位置ベクトルを用いて定式化すると,中点三角形に対する内外の領域によって方程式の解の個数が変化するためである。

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