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京都大学 1984年 理系 第1問 解説

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京都大学 1984年 理系 第1問 解説

方針・初手

$f$ によって $C$ が $C$ 自身の上に写されるということは、$f(C) = C$ が成り立つということである。

まずは必要条件として、$f(C) \subset C$ となる条件を求める。$C$ 上の任意の点 $(x, y)$ (すなわち $xy=1$ を満たす点)が $f$ によって $C$ 上の点に写る(すなわち $x'y'=1$ を満たす)条件を式変形から導く。

その後、得られた条件が十分条件でもある(全射性 $C \subset f(C)$ も満たす)ことを確認する。

解法1

$C$ は方程式 $xy=1$ で表される図形である。

点 $(x, y)$ が1次変換 $f$ によって点 $(x', y')$ に写されるとき、

$$ \begin{pmatrix} x' \\ y' \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} $$

より、$x' = ax + by$、$y' = cx + dy$ である。

$f$ が $C$ を $C$ 自身の上に写すための必要条件として、$f(C) \subset C$ が成り立つ。

すなわち、$xy = 1$ を満たす任意の $(x, y)$ について、$x'y' = 1$ が成り立つ。

$x'y'$ を計算すると、

$$ \begin{aligned} x'y' &= (ax + by)(cx + dy) \\ &= acx^2 + (ad + bc)xy + bdy^2 \end{aligned} $$

となる。

点 $(x, y)$ が $C$ 上にあるとき、$xy = 1$ であり $x \neq 0$ なので $y = \frac{1}{x}$ と書ける。これを代入すると、

$$ x'y' = acx^2 + (ad + bc) + \frac{bd}{x^2} $$

となる。これが任意の $x \neq 0$ に対して $1$ となるため、

$$ acx^2 + (ad + bc - 1) + \frac{bd}{x^2} = 0 $$

が任意の $x \neq 0$ について恒等的に成り立つ必要がある。

両辺に $x^2$ をかけると、

$$ acx^4 + (ad + bc - 1)x^2 + bd = 0 $$

これが任意の $x \neq 0$ について成り立つので、$x$ についての多項式として恒等的に $0$ である。

したがって、係数比較により

$$ ac = 0 $$

$$ ad + bc = 1 $$

$$ bd = 0 $$

が成り立つことが必要である。

上の第1式より、$a = 0$ または $c = 0$ である。

(i)

$a = 0$ のとき

第2式より $bc = 1$。よって $b \neq 0$ かつ $c \neq 0$ である。

第3式において $b \neq 0$ であるから、$d = 0$ となる。

このとき、条件は「$a=d=0$ かつ $bc=1$」である。

(ii)

$c = 0$ のとき

第2式より $ad = 1$。よって $a \neq 0$ かつ $d \neq 0$ である。

第3式において $d \neq 0$ であるから、$b = 0$ となる。

このとき、条件は「$b=c=0$ かつ $ad=1$」である。

逆に、これらの条件を満たすとき、$f$ が $C$ を $C$ 自身の上に写す(十分条件である)ことを確認する。

(i) の条件「$a=d=0$ かつ $bc=1$」を満たすとき

行列は $A = \begin{pmatrix} 0 & b \\ \frac{1}{b} & 0 \end{pmatrix}$ ($b \neq 0$)となる。

このとき行列式は $\det A = -1 \neq 0$ であり、$A$ は逆行列を持つ。

任意の $(x, y) \in C$ に対し、$(x', y') = f(x,y)$ とすると、$x'y' = (by)\left(\frac{1}{b}x\right) = xy = 1$ より $(x', y') \in C$ となる。ゆえに $f(C) \subset C$ である。

また、任意の $(X, Y) \in C$(すなわち $XY=1$)に対し、

$$ \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = A^{-1} \begin{pmatrix} X \\ Y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 & b \\ \frac{1}{b} & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} X \\ Y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} bY \\ \frac{1}{b}X \end{pmatrix} $$

とすれば、$xy = (bY)\left(\frac{1}{b}X\right) = XY = 1$ となり $(x, y) \in C$ である。

かつ $f(x, y) = (X, Y)$ となるため、$C \subset f(C)$ も成り立つ。

よって $f(C) = C$ を満たす。

(ii) の条件「$b=c=0$ かつ $ad=1$」を満たすとき

行列は $A = \begin{pmatrix} a & 0 \\ 0 & \frac{1}{a} \end{pmatrix}$ ($a \neq 0$)となる。

このとき行列式は $\det A = 1 \neq 0$ であり、$A$ は逆行列を持つ。

任意の $(x, y) \in C$ に対し、$(x', y') = f(x,y)$ とすると、$x'y' = (ax)\left(\frac{1}{a}y\right) = xy = 1$ より $(x', y') \in C$ となる。ゆえに $f(C) \subset C$ である。

また、任意の $(X, Y) \in C$(すなわち $XY=1$)に対し、

$$ \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = A^{-1} \begin{pmatrix} X \\ Y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \frac{1}{a} & 0 \\ 0 & a \end{pmatrix} \begin{pmatrix} X \\ Y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \frac{1}{a}X \\ aY \end{pmatrix} $$

とすれば、$xy = \left(\frac{1}{a}X\right)(aY) = XY = 1$ となり $(x, y) \in C$ である。

かつ $f(x, y) = (X, Y)$ となるため、$C \subset f(C)$ も成り立つ。

よって $f(C) = C$ を満たす。

以上から、求める必要十分条件は「$a=d=0$ かつ $bc=1$」または「$b=c=0$ かつ $ad=1$」である。

解説

1次変換 $f$ が図形 $C$ を図形 $C$ 自身の上に写すという条件は、$f(C) = C$ を意味する。この種の軌跡や領域の変換の問題では、一般に以下の2点を確認する必要がある。

  1. $f(C) \subset C$($C$ 上の点がすべて $C$ 上に写る)
  2. $C \subset f(C)$($C$ 上のすべての点は、$C$ 上の何らかの点の像として得られる)

本問では、まず1の条件から各係数の必要条件を絞り込む。恒等式の係数比較によって必要条件を求めた後、得られた行列が正則(逆行列をもつ)であることを利用して、2の条件(全射性)が満たされることを確認する流れが王道である。必要条件と十分条件の論理展開を正しく記述できるかが問われている。

答え

$a=d=0$ かつ $bc=1$、または $b=c=0$ かつ $ad=1$

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