京都大学 1995年 理系 第2問 解説

方針・初手
$d$ を $2p$ で割った余りが $1$ であること、すなわち合同式で $d \equiv 1 \pmod{2p}$ を示すのが目標です。 $p > 2$ の素数であるため $p$ は奇素数であり、$2$ と $p$ は互いに素です。したがって、$d \equiv 1 \pmod 2$(つまり $d$ が奇数であること)と $d \equiv 1 \pmod p$ を別々に示せば十分であることに着目します。 $a^p - b^p$ の因数分解と素数の性質、およびフェルマーの小定理を活用します。
解法1
$d$ を $2p$ で割った余りが $1$ であることを示すためには、$2$ と $p$ は互いに素であるから
$$ d \equiv 1 \pmod 2 \quad \text{かつ} \quad d \equiv 1 \pmod p $$
を示せばよい。
(i)
$d \equiv 1 \pmod 2$ について
与えられた等式から $d$ を因数分解すると
$$ d = a^p - b^p = (a-b)(a^{p-1} + a^{p-2}b + \cdots + ab^{p-2} + b^{p-1}) $$
となる。 $a, b$ は $a > b$ を満たす自然数であるから、$a-b$ は正の整数である。 また、$p$ は $p > 2$ の素数であるから $p \ge 3$ であり、$a \ge 2, b \ge 1$ を考慮すると
$$ a^{p-1} + a^{p-2}b + \cdots + b^{p-1} \ge 2^2 + 2 \cdot 1 + 1^2 = 7 > 1 $$
となる。 $d$ は素数であるから、その正の約数は $1$ と $d$ 自身のみである。 したがって、小さい方の因数である $a-b$ は $1$ でなければならない。
$$ a - b = 1 $$
すなわち $a = b + 1$ である。 $a$ と $b$ は連続する自然数であるため、一方が偶数で他方が奇数である。 ゆえに、$a^p$ と $b^p$ についても一方が偶数で他方が奇数となり、その差である $d = a^p - b^p$ は奇数となる。 したがって
$$ d \equiv 1 \pmod 2 $$
が成り立つ。
(ii)
$d \equiv 1 \pmod p$ について
$p$ は素数であるから、任意の整数 $n$ についてフェルマーの小定理 $n^p \equiv n \pmod p$ が成り立つ。 これを用いると
$$ a^p \equiv a \pmod p, \quad b^p \equiv b \pmod p $$
であるから、差をとると
$$ d = a^p - b^p \equiv a - b \pmod p $$
となる。 (i) より $a - b = 1$ であるから
$$ d \equiv 1 \pmod p $$
が成り立つ。
以上 (i), (ii) より、$d \equiv 1 \pmod 2$ かつ $d \equiv 1 \pmod p$ であり、$2$ と $p$ は互いに素であるから
$$ d \equiv 1 \pmod{2p} $$
が成り立つ。 すなわち、$d$ を $2p$ で割った余りは $1$ である。(証明終)
解説
整数の合同式において、割る数が互いに素な数の積(本問では $2p = 2 \times p$)になっている場合、それぞれの数で割った余りを個別に調べるのが定石です。 本問では以下の2つの重要な知識を組み合わせています。 1つ目は、「素数 $p$ は $1 \times p$ としか分解できない」という素数の定義と $x^n - y^n$ の因数分解公式を用いて、$a-b=1$ を導くことです。 2つ目は、累乗の余りに関して強力な威力を発揮する「フェルマーの小定理」を用いて $a^p - b^p \equiv a - b \pmod p$ へと次数を下げることです。 整数問題の典型的な手法が詰まった良問です。
答え
$a^p - b^p$ の因数分解と素数の性質から $a-b=1$ を導いて $d$ が奇数($d \equiv 1 \pmod 2$)であることを示し、フェルマーの小定理を用いて $d \equiv a-b \equiv 1 \pmod p$ を示しました。最後に $2$ と $p$ が互いに素であることから、$d \equiv 1 \pmod{2p}$ を結論付けました。
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