京都大学 2009年 理系 第1問(甲) 解説

問1
方針・初手
座標空間上の直方体の頂点が与えられているため、ベクトルを用いて機械的に処理するのが確実です。平面 $OEG$ の法線ベクトルを求め、点 $D$ を通りその法線ベクトルに平行な直線をパラメータ表示します。その直線が線分 $BC$ 上を通る条件から、パラメータと $a$ の値を定めます。
解法1
直方体の各頂点の座標は以下の通りである。
$$ O(0,0,0), \quad E(3,0,a), \quad G(0,2,a) $$
平面 $OEG$ 上の2つのベクトルは
$$ \vec{OE} = (3, 0, a), \quad \vec{OG} = (0, 2, a) $$
である。平面 $OEG$ に垂直な法線ベクトルを $\vec{n} = (p, q, r)$ とおくと、$\vec{n} \cdot \vec{OE} = 0$ かつ $\vec{n} \cdot \vec{OG} = 0$ が成り立つ。
$$ 3p + ar = 0, \quad 2q + ar = 0 $$
これらを満たす $(p,q,r)$ の組として、$r = -6$ とすると $p = 2a, q = 3a$ となる。よって、法線ベクトルの1つとして $\vec{n} = (2a, 3a, -6)$ が取れる。
点 $D(0,0,a)$ を通り、平面 $OEG$ に垂直な直線 $l$ 上の点 $P$ は、実数 $t$ を用いて次のように表せる。
$$ \vec{OP} = \vec{OD} + t\vec{n} = (0, 0, a) + t(2a, 3a, -6) = (2at, 3at, a-6t) $$
したがって、点 $P$ の座標は $(2at, 3at, a-6t)$ である。
一方、点 $P$ は辺 $BC$(両端を含む)上にある。点 $B(3,2,0)$ と点 $C(0,2,0)$ を結ぶ線分 $BC$ 上の点の座標 $(x,y,z)$ は、
$$ 0 \leqq x \leqq 3, \quad y = 2, \quad z = 0 $$
を満たす。これと点 $P$ の座標を比較して、
$$ 3at = 2 \cdots \text{①}, \quad a - 6t = 0 \cdots \text{②} $$
②より $a = 6t$。$a$ は正の数であるから $t > 0$ である。これを①に代入して、
$$ 3(6t)t = 2 \iff 18t^2 = 2 \iff t^2 = \frac{1}{9} $$
$t > 0$ より $t = \frac{1}{3}$ と定まる。このとき、②より $a = 6 \cdot \frac{1}{3} = 2$ となり、$a > 0$ を満たす。
点 $P$ の $x$ 座標は、$x = 2at = 2 \cdot 2 \cdot \frac{1}{3} = \frac{4}{3}$ となる。これは $0 \leqq x \leqq 3$ の条件を満たしているため、確かに点 $P$ は辺 $BC$ 上にある。
解説
空間図形の問題において、座標がすべて設定されている場合はベクトルの成分計算に持ち込むのが最もシンプルで安全な解法です。法線ベクトルは、2つの方向ベクトルとの内積が $0$ になるように連立方程式を立てて見つけるか、外積(クロス積)の知識があれば一瞬で導出できます。また、線分上の点という条件を「直線上の点」かつ「定義域(変域)を満たす」と言い換える処理も頻出です。
答え
$$ a = 2, \quad P\left(\frac{4}{3}, 2, 0\right) $$
問2
方針・初手
「失敗」したときに、袋の中の球の構成(白と赤の数)がどのように変化するかを追跡します。すると、どのような失敗の仕方をしても、袋の中の構成が毎回同じように変化するという都合の良い規則性に気づくことができます。
解法1
初期状態では、袋の中に白球が2個、赤球が1個の合計3個が入っている。1回の操作において、取り出した2球がともに白球でないとき「失敗」となる。失敗となる取り出し方は「白1個と赤1個」または「赤2個」のいずれかである。それぞれの場合について、操作後の袋の中身がどう変化するかを確認する。
(i) 「白1個と赤1個」を取り出した場合:
取り出した2球に赤1個を加えた「白1個と赤2個」を袋に戻す。この一連の操作で、袋の中の白球は「1個減って1個戻る」ので数は変わらず、赤球は「1個減って2個戻る」ので1個増える。
(ii) 「赤2個」を取り出した場合:
取り出した2球に赤1個を加えた「赤3個」を袋に戻す。この一連の操作で、袋の中の白球は「増減なし」、赤球は「2個減って3個戻る」ので1個増える。
したがって、どのように失敗しても、1回の操作が終わるごとに袋の中の白球は2個のままで、赤球が1個ずつ増えていくことがわかる。
初期状態(0回目失敗後)で赤球は1個であるから、$k-1$ 回連続で失敗したあとの、$k$ 回目の操作開始時において、袋の中には「白球2個、赤球 $k$ 個」の合計 $k+2$ 個が入っている。
$k$ 回目の操作で「成功」する(白2個を取り出す)確率 $p_k$ は、
$$ p_k = \frac{{}_2C_2}{{}_{k+2}C_2} = \frac{1}{\frac{(k+2)(k+1)}{2}} = \frac{2}{(k+1)(k+2)} $$
$k$ 回目の操作で「失敗」する確率 $q_k$ は、
$$ q_k = 1 - p_k = 1 - \frac{2}{(k+1)(k+2)} = \frac{(k+1)(k+2)-2}{(k+1)(k+2)} = \frac{k^2+3k}{(k+1)(k+2)} = \frac{k(k+3)}{(k+1)(k+2)} $$
求める確率は「$n-1$ 回まで連続して失敗し、$n$ 回目に初めて成功する確率」である。各操作は直前の状態のみに依存するため、この確率は以下の積で求められる。
$$ P = q_1 q_2 \cdots q_{n-1} p_n = \left( \prod_{k=1}^{n-1} q_k \right) \cdot p_n $$
ここで、失敗確率の積 $\prod_{k=1}^{n-1} q_k$ を計算する。
$$ \prod_{k=1}^{n-1} q_k = \prod_{k=1}^{n-1} \frac{k(k+3)}{(k+1)(k+2)} = \frac{\prod_{k=1}^{n-1} k}{\prod_{k=1}^{n-1} (k+1)} \cdot \frac{\prod_{k=1}^{n-1} (k+3)}{\prod_{k=1}^{n-1} (k+2)} $$
それぞれの積を階乗を用いて表すと、以下のようになる。
$$ \frac{\prod_{k=1}^{n-1} k}{\prod_{k=1}^{n-1} (k+1)} = \frac{(n-1)!}{n!} = \frac{1}{n} $$
$$ \frac{\prod_{k=1}^{n-1} (k+3)}{\prod_{k=1}^{n-1} (k+2)} = \frac{ \frac{(n+2)!}{3!} }{ \frac{(n+1)!}{2!} } = \frac{(n+2)!}{(n+1)!} \cdot \frac{2!}{3!} = \frac{n+2}{3} $$
したがって、
$$ \prod_{k=1}^{n-1} q_k = \frac{1}{n} \cdot \frac{n+2}{3} = \frac{n+2}{3n} $$
最後に $p_n$ を掛けて、求める確率 $P$ は、
$$ P = \frac{n+2}{3n} \cdot p_n = \frac{n+2}{3n} \cdot \frac{2}{(n+1)(n+2)} = \frac{2}{3n(n+1)} $$
解説
確率の問題で「ゲームを繰り返す」という設定を見たときは、各回の試行後の状態がどのように推移するかを書き出すのが基本です。本問は複雑な条件付き確率や漸化式を必要とするように見えますが、実は「白球の数が常に不変である」という事実に気づけば、状態遷移が一意に確定する非常にシンプルな問題に帰着します。また、複数の分数の積を計算する際、分子と分母をそれぞれ階乗(あるいは積の形)で整理して連鎖的に約分していくテクニックは、数列や確率の分野で必須の計算処理です。
答え
$$ \frac{2}{3n(n+1)} $$
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