トップ 東京工業大学 2012年 理系 第1問

東京工業大学 2012年 理系 第1問 解説

数学C/空間ベクトル数学A/確率数学A/場合の数数学A/整数問題テーマ/空間図形
東京工業大学 2012年 理系 第1問 解説

(1)

方針・初手

正四面体の頂点を始点とする3つの一次独立なベクトルを設定し、それぞれのベクトルの大きさと内積の値を求めておく。その上で、内積を計算したい2つのベクトルを始点を揃えて表現し、式を展開して値を求める。

解法1

$\overrightarrow{OA} = \vec{a}$, $\overrightarrow{OB} = \vec{b}$, $\overrightarrow{OC} = \vec{c}$ とおく。

正四面体の1辺の長さは $1$ であるから、各ベクトルの大きさは、

$$ |\vec{a}| = |\vec{b}| = |\vec{c}| = 1 $$

また、各ベクトルのなす角は $60^\circ$ であるから、内積はすべて等しく、

$$ \vec{a} \cdot \vec{b} = \vec{b} \cdot \vec{c} = \vec{c} \cdot \vec{a} = 1 \times 1 \times \cos 60^\circ = \frac{1}{2} $$

となる。

点 $D$ は辺 $AB$ の中点であるから、

$$ \overrightarrow{OD} = \frac{\vec{a} + \vec{b}}{2} $$

点 $E$ は辺 $OC$ の中点であるから、

$$ \overrightarrow{OE} = \frac{1}{2} \vec{c} $$

したがって、$\overrightarrow{DE}$ と $\overrightarrow{AC}$ は次のように表される。

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{DE} &= \overrightarrow{OE} - \overrightarrow{OD} = \frac{1}{2} \vec{c} - \frac{\vec{a} + \vec{b}}{2} = \frac{1}{2} ( -\vec{a} - \vec{b} + \vec{c} ) \\ \overrightarrow{AC} &= \vec{c} - \vec{a} \end{aligned} $$

求める内積 $\overrightarrow{DE} \cdot \overrightarrow{AC}$ は、

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{DE} \cdot \overrightarrow{AC} &= \frac{1}{2} ( -\vec{a} - \vec{b} + \vec{c} ) \cdot ( -\vec{a} + \vec{c} ) \\ &= \frac{1}{2} \{ |\vec{a}|^2 - \vec{a} \cdot \vec{c} + \vec{a} \cdot \vec{b} - \vec{b} \cdot \vec{c} - \vec{a} \cdot \vec{c} + |\vec{c}|^2 \} \\ &= \frac{1}{2} ( |\vec{a}|^2 + |\vec{c}|^2 - 2 \vec{a} \cdot \vec{c} + \vec{a} \cdot \vec{b} - \vec{b} \cdot \vec{c} ) \end{aligned} $$

各値を代入すると、

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{DE} \cdot \overrightarrow{AC} &= \frac{1}{2} \left( 1^2 + 1^2 - 2 \cdot \frac{1}{2} + \frac{1}{2} - \frac{1}{2} \right) \\ &= \frac{1}{2} ( 1 + 1 - 1 ) \\ &= \frac{1}{2} \end{aligned} $$

解説

空間図形におけるベクトルの内積計算の基本問題である。基準となる3つのベクトル($\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$)を設定し、その大きさと内積を最初に求めておくことで、あとは機械的な展開計算で答えを導くことができる。幾何的な性質を利用して解くことも可能だが、ベクトルを用いた機械的な計算の方が符号などのミスが少なく確実である。

答え

$$ \frac{1}{2} $$

(2)

方針・初手

3つのさいころの目の積が「10の倍数」になるための条件を考える。これは「目の積が偶数(2の倍数)かつ5の倍数」となることと同値である。すなわち、「少なくとも1回は5の目が出て、かつ少なくとも1回は偶数の目が出る」確率を求める。条件が「少なくとも」の形になるため、ド・モルガンの法則を用いた余事象の確率を利用して計算する。

解法1

さいころを同時に3個投げるとき、目の出方の総数は $6^3 = 216$ 通りであり、これらは同様に確からしい。

目の積が10の倍数になるという事象を $X$ とすると、これは「少なくとも1回は5の目が出る」かつ「少なくとも1回は偶数の目が出る」という事象である。

計算を簡略化するため、余事象 $\overline{X}$ を考える。 事象 $X$ の否定である事象 $\overline{X}$ は、「5の目が1回も出ない」または「偶数の目が1回も出ない」である。

ここで、以下の事象を定義する。 $A$: 5の目が1回も出ない事象 $B$: 偶数の目が1回も出ない(すべて奇数の目が出る)事象

求める確率は $1 - P(\overline{X}) = 1 - P(A \cup B)$ である。 事象 $A, B$ の確率はそれぞれ以下のようになる。

事象 $A$ は、3回とも「1, 2, 3, 4, 6」の5種類の目から出る場合なので、

$$ P(A) = \left( \frac{5}{6} \right)^3 = \frac{125}{216} $$

事象 $B$ は、3回とも「1, 3, 5」の3種類の奇数の目から出る場合なので、

$$ P(B) = \left( \frac{3}{6} \right)^3 = \frac{27}{216} $$

事象 $A \cap B$ は、「5の目が1回も出ず、かつ偶数の目が1回も出ない」すなわち「3回とも1または3の目が出る」場合なので、

$$ P(A \cap B) = \left( \frac{2}{6} \right)^3 = \frac{8}{216} $$

和事象の確率の公式より、

$$ P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B) = \frac{125}{216} + \frac{27}{216} - \frac{8}{216} = \frac{144}{216} $$

したがって、求める確率は、

$$ 1 - P(A \cup B) = 1 - \frac{144}{216} = \frac{72}{216} = \frac{1}{3} $$

解法2

事象を直接数え上げる。目の出方の総数は $6^3 = 216$ 通りである。

条件を満たすのは、3つの目のうち「5の目が少なくとも1つ」かつ「偶数の目が少なくとも1つ」含まれる場合である。5の目が出る個数によって場合分けをする。

(i) 5の目が3個出る場合

目はすべて5(奇数)となるため、偶数が含まれず条件を満たさない。出方は $0$ 通り。

(ii) 5の目が2個出る場合

残りの1個の目が偶数であればよい。偶数の目は2, 4, 6の3通りである。 また、3個のさいころのうち、どの2個が5の目になるかの選び方が $_3C_2 = 3$ 通りある。 よって、この場合の目の出方は、

$$ 3 \times 3 = 9 \text{ 通り} $$

(iii) 5の目が1個出る場合

残りの2個の目は「5以外の目」であり、かつ「そのうち少なくとも1個は偶数」である必要がある。 5以外の目は 1, 2, 3, 4, 6 の 5 通りある。この中から2個の目が出る場合の数は $5^2 = 25$ 通り。 このうち、2個とも偶数を含まない(2個とも 1, 3 のいずれかである)出方は $2^2 = 4$ 通り。 したがって、残りの2個の目に少なくとも1個の偶数が含まれる出方は、

$$ 25 - 4 = 21 \text{ 通り} $$

3個のさいころのうち、どの1個が5の目になるかの選び方が $_3C_1 = 3$ 通りある。 よって、この場合の目の出方は、

$$ 3 \times 21 = 63 \text{ 通り} $$

以上 (i), (ii), (iii) は互いに排反であるから、条件を満たす目の出方は、

$$ 9 + 63 = 72 \text{ 通り} $$

したがって、求める確率は、

$$ \frac{72}{216} = \frac{1}{3} $$

解説

「少なくとも~」という条件を含む確率の問題では、余事象の利用が第一選択となる。本問における「10の倍数になる」という条件を「偶数かつ5の倍数」と言い換えることができれば、排反な事象を整理してミスなく計算できる。解法2のように直接場合分けして数え上げる方法も、考え方がシンプルであり余事象を用いた解法の見直しとして非常に有効である。

答え

$$ \frac{1}{3} $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。