九州大学 1962年 文系 第6問 解説

方針・初手
曲線①は原点を中心とする円、曲線②は直角双曲線です。まずは方程式を変形し、それぞれの図形の特徴を把握します。 2つの曲線はどちらも $x$ と $y$ を入れ替えても方程式が変わらないため、直線 $y=x$ に関して対称な図形です。この対称性を利用すると、共有点が奇数個(3個)になるための条件を視覚的・代数的に絞り込むことができます。 共有点の座標が求まれば、あとは2点間の距離の公式を用いて三角形の各辺の長さを計算し、形状を判定するだけです。
解法1
(1)
曲線①の方程式 $x^2+y^2=a$ ($a>0$) は、原点 $(0,0)$ を中心とする半径 $\sqrt{a}$ の円を表します。
曲線②の方程式 $xy = x+y$ は、
$$xy - x - y = 0$$
$$(x-1)(y-1) = 1$$
と変形できます。これは、点 $(1,1)$ を中心とし、2直線 $x=1, y=1$ を漸近線とする直角双曲線です。
曲線①、②はともに $x$ と $y$ を入れ替えても方程式が同じであるため、直線 $y=x$ に関して対称な図形です。 直線 $y=x$ と双曲線②の交点を求めると、
$$x^2 = 2x$$
$$x(x-2) = 0$$
より、$x = 0, 2$ となり、交点は $(0,0)$ と $(2,2)$ の2点です。
定数 $a$ の値を $0$ から次第に大きくしていくと、円①の半径 $\sqrt{a}$ は大きくなります。 これを座標平面上にかいて考えます。
- 半径が小さいとき、円①は双曲線②の $x<1, y<1$ 側の枝と2点で交わります。
- 半径が大きくなり、円①が双曲線②の $x>1, y>1$ 側の枝の頂点 $(2,2)$ と接するとき、共有点は3個(接点1個と交点2個)となります。
- さらに半径が大きくなると、円は双曲線の両方の枝とそれぞれ2点で交わり、共有点は4個になります。
したがって、相異なる3点を共有するのは、円①が点 $(2,2)$ で双曲線②と接するときです。 点 $(2,2)$ は円①上の点でもあるため、方程式に代入して、
$$2^2 + 2^2 = a$$
$$a = 8$$
このとき、実際に共有点が3つであることを代数的に確認します。 ①と②を連立すると、$x^2+y^2=8$ かつ $xy=x+y$ です。 $x^2+y^2 = (x+y)^2 - 2xy$ より、
$$(x+y)^2 - 2(x+y) = 8$$
$$(x+y)^2 - 2(x+y) - 8 = 0$$
$$(x+y-4)(x+y+2) = 0$$
よって、$x+y=4$ または $x+y=-2$ となります。
(i) $x+y=4$ のとき
$xy=x+y=4$ となります。 $x, y$ は二次方程式 $t^2 - 4t + 4 = 0$ の解であり、$(t-2)^2=0$ より $t=2$ (重解)です。 よって、共有点は $(2,2)$ の1点です。
(ii) $x+y=-2$ のとき
$xy=x+y=-2$ となります。 $x, y$ は二次方程式 $t^2 + 2t - 2 = 0$ の解であり、これを解くと $t = -1 \pm \sqrt{3}$ です。 よって、共有点は $(-1+\sqrt{3}, -1-\sqrt{3})$ と $(-1-\sqrt{3}, -1+\sqrt{3})$ の2点です。
以上より、$a=8$ のとき共有点は相異なる3点となり、条件を満たします。
(2)
(1)の計算より、3つの共有点の座標は $A(2,2)$, $B(-1+\sqrt{3}, -1-\sqrt{3})$, $C(-1-\sqrt{3}, -1+\sqrt{3})$ とおけます。 これらの点を頂点とする $\triangle ABC$ の各辺の長さの2乗を計算します。
$$AB^2 = (-1+\sqrt{3}-2)^2 + (-1-\sqrt{3}-2)^2$$
$$AB^2 = (\sqrt{3}-3)^2 + (-\sqrt{3}-3)^2$$
$$AB^2 = (3 - 6\sqrt{3} + 9) + (3 + 6\sqrt{3} + 9) = 24$$
$$AC^2 = (-1-\sqrt{3}-2)^2 + (-1+\sqrt{3}-2)^2$$
$$AC^2 = (-\sqrt{3}-3)^2 + (\sqrt{3}-3)^2 = 24$$
$$BC^2 = \{(-1-\sqrt{3}) - (-1+\sqrt{3})\}^2 + \{(-1+\sqrt{3}) - (-1-\sqrt{3})\}^2$$
$$BC^2 = (-2\sqrt{3})^2 + (2\sqrt{3})^2$$
$$BC^2 = 12 + 12 = 24$$
これより、$AB^2 = BC^2 = CA^2 = 24$ となり、$AB = BC = CA = 2\sqrt{6}$ が成り立ちます。 したがって、3つの辺の長さが等しいため、この三角形は正三角形です。
解法2
(1)
曲線①、②の共有点を代数的に考察します。 基本対称式 $u = x+y, v = xy$ とおきます。 曲線②より $v = u$ です。 曲線①は $(x+y)^2 - 2xy = a$ と書けるので、$u^2 - 2v = a$ となります。 ここに $v=u$ を代入して、
$$u^2 - 2u - a = 0 \cdots \cdots ③$$
$x, y$ は二次方程式 $t^2 - ut + v = 0$、すなわち
$$t^2 - ut + u = 0 \cdots \cdots ④$$
の2つの解です。実数 $x, y$ が存在するための条件は、④の判別式 $D \ge 0$ です。
$$D = u^2 - 4u \ge 0$$
$$u(u-4) \ge 0$$
これを解いて、$u \le 0, \ 4 \le u$ を得ます。 したがって、③の実数解 $u$ のうち、この範囲にあるものが実際の共有点を与えます。
- ④が重解をもつのは $u=0, 4$ のときであり、このとき $(x,y)$ は1組(曲線①と②の接点)だけ定まります。
- ④が異なる2つの実数解をもつのは $u < 0, \ 4 < u$ のときであり、このとき $(x,y)$ と $(y,x)$ の異なる2点の共有点が定まります。
①と②が相異なる3点を共有するのは、③の解が「重解を与える $u$」と「異なる2つの実数解を与える $u$」を1つずつもつときです。 すなわち、③が $u=0$ または $u=4$ を解にもつときです。
(i) ③が $u=0$ を解にもつとき
$0^2 - 2 \cdot 0 - a = 0$ より $a=0$ となりますが、問題文の条件 $a>0$ に反するため不適です。
(ii) ③が $u=4$ を解にもつとき
$4^2 - 2 \cdot 4 - a = 0$ より $a=8$ となります。 このとき、③は $u^2 - 2u - 8 = 0$ となり、$(u-4)(u+2) = 0$ より解は $u=4, -2$ です。 $u=-2$ は $u \le 0$ を満たすため、④は異なる2つの実数解をもち、2つの共有点を与えます。 よって $a=8$ のとき、共有点は $u=4$ から1点、$u=-2$ から2点の合計3点となり条件を満たします。
(2)
共有点の座標は、求めた $u$ の値から計算できます。 $u=4$ のとき、④より $t^2 - 4t + 4 = 0$ となり $t=2$ (重解)です。 よって、1点目は $(2,2)$ です。
$u=-2$ のとき、④より $t^2 + 2t - 2 = 0$ となり $t = -1 \pm \sqrt{3}$ です。 よって、残りの2点は $(-1+\sqrt{3}, -1-\sqrt{3})$ と $(-1-\sqrt{3}, -1+\sqrt{3})$ です。
ここからの三角形の辺の長さの計算と形状の判定は、解法1の (2) と同様であるため省略します。
解説
「かいて、定めよ」という問題の要求に対して、図形の形状と位置関係を視覚的に捉えるアプローチ(解法1)と、対称式を利用して実数解の個数を厳密に処理するアプローチ(解法2)の2つの視点を持てると、解答の確実性が大きく高まります。 特に対称式 $x+y=u, xy=v$ を用いる解法は、$x, y$ が実数として存在するための条件(判別式)を忘れて同値性が崩れるミスが頻発するため、解法2のように実数解条件の確認を必ず行うようにしましょう。
答え
(1) $a=8$ (2) 各辺の長さはすべて $2\sqrt{6}$。この三角形は正三角形である。
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