東京工業大学 1990年 理系 第3問 解説

方針・初手
点 $Q, R$ が動く円 $M, N$ の中心座標と、点 $P$ が動く楕円 $L$ の焦点の座標が一致することに着目する。 まずは点 $P$ を固定して、三角不等式を利用して $PQ$ および $PR$ が最大となるような点 $Q, R$ の位置を考え、それぞれの最大値を $P$ と中心の距離を用いて表す。その後、$P$ を動かして和の最大値を求める。
解法1
楕円 $L: \frac{x^2}{4} + \frac{y^2}{3} = 1$ について、$4 - 3 = 1$ であるから、その焦点は $(1, 0)$ と $(-1, 0)$ である。 これらをそれぞれ $F_1(1, 0), F_2(-1, 0)$ とおく。
円 $M$ の方程式は $(x-1)^2 + y^2 = 1 \ (y \leqq 0)$ であり、これは点 $F_1$ を中心とする半径 $1$ の下半分の半円である。 また、円 $N$ の方程式は $(x+1)^2 + y^2 = 1 \ (y \leqq 0)$ であり、これは点 $F_2$ を中心とする半径 $1$ の下半分の半円である。
任意の点 $P, Q$ に対して、三角不等式より
$$ PQ \leqq PF_1 + F_1Q $$
が成り立つ。点 $Q$ は半円 $M$ 上にあるため、常に $F_1Q = 1$ であり、
$$ PQ \leqq PF_1 + 1 $$
となる。ここで等号が成立するのは、点 $Q$ が半直線 $PF_1$ の延長線上にあり、3点 $P, F_1, Q$ がこの順に一直線上に並ぶときである。 点 $P$ は $L$ 上の点であり、$y \geqq 0$ の領域にある。点 $F_1$ は $x$ 軸上にあるため、点 $F_1$ を基準にして点 $P$ と反対側にある点 $Q$ は、必ず $y \leqq 0$ の領域に含まれる。 したがって、円 $(x-1)^2 + y^2 = 1$ 上で等号を成立させる点 $Q$ は $y \leqq 0$ を満たすため、半円 $M$ 上に確実に存在する。 よって、点 $P$ を固定したときの $PQ$ の最大値は $PF_1 + 1$ である。
同様に、任意の点 $P, R$ に対して、三角不等式より
$$ PR \leqq PF_2 + F_2R = PF_2 + 1 $$
が成り立つ。等号が成立するのは、点 $R$ が半直線 $PF_2$ の延長線上にあり、3点 $P, F_2, R$ がこの順に一直線上に並ぶときである。 先ほどと同じ理由で、点 $P$ の $y$ 座標が $y \geqq 0$ であることから、点 $F_2$ を基準に点 $P$ と反対側にある点 $R$ の $y$ 座標は $y \leqq 0$ となり、半円 $N$ 上に存在する。 よって、点 $P$ を固定したときの $PR$ の最大値は $PF_2 + 1$ である。
以上より、線分 $PQ$ と $PR$ の長さの和は
$$ PQ + PR \leqq (PF_1 + 1) + (PF_2 + 1) = PF_1 + PF_2 + 2 $$
と評価できる。 ここで、点 $P$ は楕円 $L: \frac{x^2}{4} + \frac{y^2}{3} = 1$ 上の点であり、$F_1, F_2$ はその焦点であるから、楕円の定義により「焦点からの距離の和」は長軸の長さに等しく、一定である。すなわち
$$ PF_1 + PF_2 = 2 \times 2 = 4 $$
が成り立つ。
これを先の不等式に代入すると、
$$ PQ + PR \leqq 4 + 2 = 6 $$
となる。 点 $P$ が $L$ 上のどの位置にあっても、等号を成立させる点 $Q \in M, R \in N$ は存在するため、求める最大値は $6$ である。
解説
楕円の「焦点からの距離の和が一定」という定義と、円に対する距離の最大・最小の考え方を組み合わせた良問である。 円上の点と円外の点との距離の最大値・最小値は、2点と円の中心が一直線上に並ぶときに生じる。これを式で厳密に扱う場合は、三角不等式 $PQ \leqq PF_1 + F_1Q$ を用いるのが定石である。 また、本問では「等号成立条件(そのような点 $Q, R$ が本当に $y \leqq 0$ の領域に存在するか)」の確認を怠らないことが重要である。図形的直感に頼りすぎず、論理的に条件を満たすことを記述できるとよい。
答え
$6$
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