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九州大学 2001年 文系 第6問 解説

数学C/複素数平面数学2/複素数と方程式テーマ/軌跡・領域テーマ/図形総合
九州大学 2001年 文系 第6問 解説

方針・初手

(1) は $z\bar{z}$ と $z, \bar{z}$ の1次式からなる方程式です。実数上の円の方程式の平方完成と同様に、$z$ と $\bar{z}$ について因数分解の形(平方完成)を作ります。 (2) は式を展開して整理すると、(1) と似た形が現れます。そのまま $z$ について平方完成するか、両辺に工夫を施して (1) の形に帰着させる、あるいは $z=x+yi$ とおいて実部・虚部を比較する方針が考えられます。

解法1

(1)

与えられた方程式は以下の通りである。

$$az\bar{z} + \bar{b}z + b\bar{z} + c = 0$$

$a \neq 0$ であるから、両辺を $a$ で割って整理する。

$$z\bar{z} + \frac{\bar{b}}{a}z + \frac{b}{a}\bar{z} + \frac{c}{a} = 0$$

左辺の $z, \bar{z}$ を含む項を因数分解の形に変形(平方完成)する。

$$z\bar{z} + \frac{\bar{b}}{a}z + \frac{b}{a}\bar{z} + \frac{b\bar{b}}{a^2} = \frac{b\bar{b}}{a^2} - \frac{c}{a}$$

$$\left( z + \frac{b}{a} \right) \left( \bar{z} + \frac{\bar{b}}{a} \right) = \frac{|b|^2 - ac}{a^2}$$

ここで、$a$ は実数であるから $\bar{a} = a$ であり、$\overline{\left(\frac{b}{a}\right)} = \frac{\bar{b}}{a}$ となる。 したがって、左辺は $\left| z + \frac{b}{a} \right|^2$ と表せる。

$$\left| z + \frac{b}{a} \right|^2 = \frac{|b|^2 - ac}{a^2}$$

条件より $|b|^2 - ac > 0$ かつ $a \neq 0$ であるから、右辺は正の実数である。 両辺の正の平方根をとる。

$$\left| z + \frac{b}{a} \right| = \frac{\sqrt{|b|^2 - ac}}{|a|}$$

これは、中心が $-\frac{b}{a}$、半径が $\frac{\sqrt{|b|^2 - ac}}{|a|}$ の円を表す。

(2)

与えられた方程式を展開する。

$$dz(\bar{z} + 1) = \bar{d}\bar{z}(z + 1)$$

$$dz\bar{z} + dz = \bar{d}z\bar{z} + \bar{d}\bar{z}$$

$$(d - \bar{d})z\bar{z} + dz - \bar{d}\bar{z} = 0$$

(i) $d - \bar{d} \neq 0$ ($d$ が実数でない)とき 両辺を $d - \bar{d}$ で割る。

$$z\bar{z} + \frac{d}{d - \bar{d}}z - \frac{\bar{d}}{d - \bar{d}}\bar{z} = 0$$

ここで、$\alpha = \frac{\bar{d}}{d - \bar{d}}$ とおくと、

$$\bar{\alpha} = \frac{d}{\bar{d} - d} = -\frac{d}{d - \bar{d}}$$

であるから、方程式は次のように書き換えられる。

$$z\bar{z} - \bar{\alpha}z - \alpha\bar{z} = 0$$

両辺に $\alpha\bar{\alpha}$ を加える。

$$z\bar{z} - \bar{\alpha}z - \alpha\bar{z} + \alpha\bar{\alpha} = \alpha\bar{\alpha}$$

$$(z - \alpha)(\bar{z} - \bar{\alpha}) = |\alpha|^2$$

$$|z - \alpha|^2 = |\alpha|^2$$

$d \neq 0$ より $|\alpha| \neq 0$ であるから、これは中心 $\alpha$、半径 $|\alpha|$ の円を表す。 すなわち、中心 $\frac{\bar{d}}{d - \bar{d}}$、半径 $\frac{|d|}{|d - \bar{d}|}$ の円を描く。

(ii) $d - \bar{d} = 0$ ($d$ が実数)とき 方程式 $(d - \bar{d})z\bar{z} + dz - \bar{d}\bar{z} = 0$ は次のようになる。

$$dz - d\bar{z} = 0$$

$$d(z - \bar{z}) = 0$$

$d \neq 0$ であるから $z - \bar{z} = 0$、すなわち $z = \bar{z}$ となる。 これは $z$ が実数であることを意味し、図形としては実軸を描く。

解法2

(2) の別解:(1) の結果を利用する

方程式を展開して整理した式

$$(d - \bar{d})z\bar{z} + dz - \bar{d}\bar{z} = 0$$

の両辺に $i$ を掛ける。

$$i(d - \bar{d})z\bar{z} + idz - i\bar{d}\bar{z} = 0$$

ここで、$A = i(d - \bar{d})$、$B = -i\bar{d}$、$C = 0$ とおく。 $\overline{A} = -i(\bar{d} - d) = i(d - \bar{d}) = A$ より、$A$ は実数である。 また、$\overline{B} = \overline{-i\bar{d}} = id$ であるから、方程式は

$$A z\bar{z} + \overline{B}z + B\bar{z} + C = 0$$

となり、(1) と同じ形になる。

(i) $A \neq 0$ すなわち $d \neq \bar{d}$($d$ が実数でない)とき $|B|^2 - AC = |-i\bar{d}|^2 - 0 = |d|^2$ $d \neq 0$ より $|d|^2 > 0$ であるから、(1) の条件を満たす。 (1) の結果より、点 $z$ は中心 $-\frac{B}{A}$、半径 $\frac{\sqrt{|B|^2 - AC}}{|A|}$ の円を描く。

中心は、

$$-\frac{B}{A} = -\frac{-i\bar{d}}{i(d - \bar{d})} = \frac{\bar{d}}{d - \bar{d}}$$

半径は、

$$\frac{\sqrt{|d|^2}}{|i(d - \bar{d})|} = \frac{|d|}{|d - \bar{d}|}$$

となる。

(ii) $A = 0$ すなわち $d = \bar{d}$($d$ が実数)とき 解法1の (ii) と同様にして、実軸を描く。

解法3

(2) の別解:実部と虚部に分ける

$z = x + yi$、$d = p + qi$ ($x, y, p, q$ は実数、$p^2 + q^2 \neq 0$)とおく。 与えられた方程式に代入する。

$$(p + qi)(x + yi)(x - yi + 1) = (p - qi)(x - yi)(x + yi + 1)$$

$$(p + qi)\{x^2 + y^2 + x + yi\} = (p - qi)\{x^2 + y^2 + x - yi\}$$

両辺を展開して、実部と虚部に整理する。

$$p(x^2 + y^2 + x) - qy + i\{q(x^2 + y^2 + x) + py\} = p(x^2 + y^2 + x) - qy + i\{-q(x^2 + y^2 + x) - py\}$$

両辺の実部は等しいので、虚部を比較する。

$$q(x^2 + y^2 + x) + py = -q(x^2 + y^2 + x) - py$$

$$2q(x^2 + y^2 + x) + 2py = 0$$

$$q(x^2 + y^2 + x) + py = 0$$

(i) $q \neq 0$ ($d$ が実数でない)とき 両辺を $q$ で割る。

$$x^2 + y^2 + x + \frac{p}{q}y = 0$$

$$\left( x + \frac{1}{2} \right)^2 + \left( y + \frac{p}{2q} \right)^2 = \frac{1}{4} + \frac{p^2}{4q^2} = \frac{p^2 + q^2}{4q^2}$$

これは中心 $\left( -\frac{1}{2}, -\frac{p}{2q} \right)$、半径 $\frac{\sqrt{p^2 + q^2}}{2|q|}$ の円を表す。 これを複素数平面上の値に直すと、 中心:$-\frac{1}{2} - \frac{p}{2q}i = \frac{-q - pi}{2q} = \frac{i(p - qi)}{2qi} = \frac{i\bar{d}}{d - \bar{d}} = \frac{\bar{d}}{d - \bar{d}}$ 半径:$\frac{|d|}{|d - \bar{d}|}$ となり、一致する。

(ii) $q = 0$ ($d$ が実数)とき 方程式は $py = 0$ となる。 $d \neq 0$ かつ $q = 0$ より $p \neq 0$ であるから、$y = 0$ となる。 $y=0$ は実軸を表す。

解説

複素数平面における円の方程式 $|z - \alpha| = r$ は、両辺を2乗して展開すると $z\bar{z} - \bar{\alpha}z - \alpha\bar{z} + |\alpha|^2 - r^2 = 0$ の形になります。(1)はこれを一般化した形を与え、逆に平方完成して円の中心と半径を特定する典型的な変形を求めています。

(2)については、式を整理したあとの $d - \bar{d}$ の値によって図形が変わることに注意が必要です。$d$ が実数の場合は1次式となり直線を、実数でない場合は2次式となり円を描きます。解法1のように複素数のまま式変形を行うのが最も計算量が少なくスマートですが、迷った場合は解法3のように $x, y$ の実数平面の問題に帰着させる手法も確実です。

答え

(1) 中心 $-\frac{b}{a}$、半径 $\frac{\sqrt{|b|^2 - ac}}{|a|}$ の円

(2) $d$ が実数でないとき:中心 $\frac{\bar{d}}{d - \bar{d}}$、半径 $\frac{|d|}{|d - \bar{d}|}$ の円 $d$ が実数のとき:実軸

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