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九州大学 2007年 文系 第3問 解説

数学A/確率数学A/場合の数テーマ/場合分け
九州大学 2007年 文系 第3問 解説

方針・初手

$n$ 回の試行後の点 $Q$ の位置を考える。正方形の頂点 $A, B, C, D$ を反時計回りに配置し、反時計回りに $1$ 動くことを $+1$、時計回りに $1$ 動くことを $-1$ として、移動の総和に着目する。表が出る回数を $k$ 回とすると、裏が出る回数は $n-k$ 回となるため、移動の総和は $k - (n-k) = 2k - n$ と表せる。これを用いて各頂点に到達する確率を計算し、比較する。

解法1

(1)

正方形 $ABCD$ の頂点は反時計回りに $A, B, C, D$ と並んでいるとする。 頂点 $A$ を基準点 $0$ とし、反時計回りに辺に沿って $1$ 動くごとに座標が $1$ 増えるとし、頂点 $A, B, C, D$ にそれぞれ座標 $0, 1, 2, 3$ を対応させる。この座標は $4$ を法として考える(すなわち、座標 $4$ は $0$ と同じ頂点 $A$ を表す)。

1回の試行で、表が出れば座標は $+1$、裏が出れば $-1$ される。 $n$ 回の試行のうち、表が $k$ 回、裏が $n-k$ 回出たとすると、点 $Q$ の座標は、

$$ k \times 1 + (n-k) \times (-1) = 2k - n \pmod 4 $$

となる。表が出る確率、裏が出る確率ともに $\frac{1}{2}$ である。

2回繰り返すとき($n=2$)

$k$ は $0, 1, 2$ のいずれかの値をとる。

よって、各頂点にある確率はそれぞれ以下のようになる。

3回繰り返すとき($n=3$)

$k$ は $0, 1, 2, 3$ のいずれかの値をとる。

よって、各頂点にある確率はそれぞれ以下のようになる。

4回繰り返すとき($n=4$)

$k$ は $0, 1, 2, 3, 4$ のいずれかの値をとる。

よって、各頂点にある確率はそれぞれ以下のようになる。

(2)

表の出る確率を $p$、裏の出る確率を $q$ とする。条件より $p > \frac{1}{2}$ であり、$q = 1-p < \frac{1}{2}$ である。したがって $p > q$ が成り立つ。 点 $Q$ が $n$ 回の試行後に頂点 $A, B, C, D$ にある確率をそれぞれ $P_n(A), P_n(B), P_n(C), P_n(D)$ とする。

2回繰り返すとき

(1)の考察より、各頂点に到達する表の回数 $k$ とその確率は以下のようになる。

よって、各頂点にある確率は、

$$ P_2(A) = 2pq $$

$$ P_2(B) = 0 $$

$$ P_2(C) = p^2 + q^2 $$

$$ P_2(D) = 0 $$

最大となる確率の候補は $P_2(A)$ と $P_2(C)$ である。これらの大小を比較するために差をとる。

$$ P_2(C) - P_2(A) = p^2 + q^2 - 2pq = (p-q)^2 $$

$p > q$ より $p-q > 0$ であるから、$(p-q)^2 > 0$ となる。 したがって $P_2(C) > P_2(A)$ が成り立ち、頂点 $A, B, C, D$ のうち点 $Q$ が頂点 $C$ にある確率が最大となることが示された。

3回繰り返すとき

(1)の考察より、各頂点に到達する表の回数 $k$ とその確率は以下のようになる。

よって、各頂点にある確率は、

$$ P_3(A) = 0 $$

$$ P_3(B) = 3p^2q + q^3 $$

$$ P_3(C) = 0 $$

$$ P_3(D) = p^3 + 3pq^2 $$

最大となる確率の候補は $P_3(B)$ と $P_3(D)$ である。これらの大小を比較するために差をとる。

$$ \begin{aligned} P_3(D) - P_3(B) &= p^3 + 3pq^2 - (3p^2q + q^3) \\ &= p^3 - 3p^2q + 3pq^2 - q^3 \\ &= (p-q)^3 \end{aligned} $$

$p > q$ より $p-q > 0$ であるから、$(p-q)^3 > 0$ となる。 したがって $P_3(D) > P_3(B)$ が成り立ち、頂点 $A, B, C, D$ のうち点 $Q$ が頂点 $D$ にある確率が最大となることが示された。

解説

反復試行の確率における標準的な問題である。試行回数が2回、3回、4回と少ないため、各頂点に到達する条件(表が何回出るか)を全て書き出して計算するのが最も確実な解法となる。 (2)における確率の大小比較は、両者の差をとって正負を判定するのが定石である。計算の過程で因数分解の公式 $(x-y)^2 = x^2-2xy+y^2$ や $(x-y)^3 = x^3-3x^2y+3xy^2-y^3$ が現れることに気づくことで、鮮やかに証明を完遂できる。

答え

(1)

2回繰り返すとき: 頂点 $A$ にある確率 $\frac{1}{2}$,頂点 $B$ にある確率 $0$,頂点 $C$ にある確率 $\frac{1}{2}$,頂点 $D$ にある確率 $0$

3回繰り返すとき: 頂点 $A$ にある確率 $0$,頂点 $B$ にある確率 $\frac{1}{2}$,頂点 $C$ にある確率 $0$,頂点 $D$ にある確率 $\frac{1}{2}$

4回繰り返すとき: 頂点 $A$ にある確率 $\frac{1}{2}$,頂点 $B$ にある確率 $0$,頂点 $C$ にある確率 $\frac{1}{2}$,頂点 $D$ にある確率 $0$

(2)

解説・解法の通り。

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