九州大学 2011年 文系 第4問 解説

方針・初手
袋から同時に2個の球を取り出す選び方は ${}_4\mathrm{C}_2 = 6$ 通りあり、それぞれ等確率($\frac{1}{6}$)で選ばれる。 操作は、選ばれた2つの数字のカードの位置を交換することである。 各回の操作でどの数字の組合せが選ばれるかに注目して、事象の推移を考える。
解法1
袋から同時に2個の球を取り出す選び方は、${}_4\mathrm{C}_2 = 6$ 通りあり、各組が選ばれる確率はすべて $\frac{1}{6}$ である。
(1)
2回の操作後に初期状態と同じ並びに戻る条件は、1回目の操作と2回目の操作で全く同じ2枚のカードを入れかえることである。 1回目の操作で選ばれる球の組合せは 6 通りある。 2回目に、1回目と同じ組合せの球が選ばれればよいので、求める確率は
$$ 6 \times \left( \frac{1}{6} \right)^2 = \frac{6}{36} = \frac{1}{6} $$
(2)
初期状態の「1, 2, 3, 4」から「4, 3, 2, 1」となるためには、数字 1 と 4 のカード、数字 2 と 3 のカードがそれぞれ入れかわる必要がある。 これは、2回の操作で $\{1, 4\}$ の組と $\{2, 3\}$ の組が1回ずつ選ばれる場合である。 操作の順序は $\{1, 4\}$ が先か、$\{2, 3\}$ が先かの 2 通りあるため、求める確率は
$$ 2 \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} = \frac{2}{36} = \frac{1}{18} $$
(3)
初期状態で左端にある数字 1 のカードが、2回の操作後に再び左端(元の位置)にある確率を求める。これには以下の2つの場合がある。
(i) 1のカードが2回の操作でともに移動しない場合
選ばれる球の数字に 1 が含まれない組合せは $\{2, 3\}, \{2, 4\}, \{3, 4\}$ の 3 通りである。 1回目、2回目ともにこの 3 通りのいずれかが選ばれればよいので、その確率は
$$ \left( \frac{3}{6} \right)^2 = \frac{1}{4} $$
(ii) 1のカードが1回目で移動し、2回目で元の位置に戻る場合
1回目の操作で 1 が含まれる組合せ($\{1, 2\}, \{1, 3\}, \{1, 4\}$ の 3 通り)が選ばれ、2回目で1回目と全く同じ組合せが選ばれれば、1のカードは元の位置に戻る。その確率は
$$ 3 \times \left( \frac{1}{6} \right)^2 = \frac{3}{36} = \frac{1}{12} $$
(i), (ii) は互いに排反であるから、求める確率は
$$ \frac{1}{4} + \frac{1}{12} = \frac{3}{12} + \frac{1}{12} = \frac{4}{12} = \frac{1}{3} $$
(4)
2回の操作後に左端のカードの数字が $1, 2, 3, 4$ になる確率をそれぞれ $p_1, p_2, p_3, p_4$ とする。 (3) より、$p_1 = \frac{1}{3}$ である。
初期状態で数字 2, 3, 4 のカードはいずれも左端以外の位置にあり、操作のルールに関して数字 2, 3, 4 の立場は対等である。したがって、2回操作後に左端にくる確率はこれら3つの数字で等しい。 すなわち、$p_2 = p_3 = p_4$ が成り立つ。
全事象の確率は 1 であるから、
$$ p_1 + p_2 + p_3 + p_4 = 1 $$
が成り立つ。これに $p_1 = \frac{1}{3}$ と $p_3 = p_4 = p_2$ を代入すると、
$$ \frac{1}{3} + 3p_2 = 1 $$
$$ 3p_2 = \frac{2}{3} $$
$$ p_2 = \frac{2}{9} $$
よって、$p_2 = p_3 = p_4 = \frac{2}{9}$ である。
左端のカードの数字の期待値を $E$ とすると、
$$ E = 1 \times p_1 + 2 \times p_2 + 3 \times p_3 + 4 \times p_4 $$
$$ E = 1 \times \frac{1}{3} + 2 \times \frac{2}{9} + 3 \times \frac{2}{9} + 4 \times \frac{2}{9} $$
$$ E = \frac{1}{3} + (2 + 3 + 4) \times \frac{2}{9} $$
$$ E = \frac{1}{3} + 9 \times \frac{2}{9} = \frac{1}{3} + 2 = \frac{7}{3} $$
解説
期待値の問題において、すべての確率を直接計算しようとすると場合分けが煩雑になることがある。(4) では、初期状態における「左端の数字 1」と「それ以外の数字 2, 3, 4」という非対称性、および「2, 3, 4 同士の完全な対称性」に気づくことで、確率の計算を大幅にショートカットできる。このように、事象の対称性を利用して確率を導き出すアプローチは、難関大の確率問題において非常に有効な定石である。
答え
(1) $\frac{1}{6}$
(2) $\frac{1}{18}$
(3) $\frac{1}{3}$
(4) $\frac{7}{3}$
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