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九州大学 2013年 文系 第3問 解説

数学A/確率数学A/場合の数テーマ/場合分け
九州大学 2013年 文系 第3問 解説

方針・初手

各操作による硬貨の表裏の変化は、その硬貨が「何回反転したか」にのみ依存する。 反転した回数が偶数回(0回、2回など)であれば「表」、奇数回(1回、3回など)であれば「裏」となる。 また、操作 L と操作 R はどの順序で行っても、最終的な各硬貨の反転回数は変わらないため、結果に影響を与えない。 この性質に着目して、反転する区間の重なりを考えていく。

解法1

(1)

2回の操作 L で出た目を順に $x_1, x_2$ とする。 左から $k$ 番目 $(1 \le k \le 6)$ の硬貨が反転するのは、出た目が $k$ 以上のときである。 したがって、2回の操作後に左から $k$ 番目の硬貨が1回だけ反転して裏になる条件は、出た目の一方が $k$ 未満で、もう一方が $k$ 以上であること、すなわち以下の不等式が成り立つことである。

$$ \min(x_1, x_2) < k \le \max(x_1, x_2) $$

これを満たす整数 $k$ の個数、すなわち裏になる硬貨の枚数は $\max(x_1, x_2) - \min(x_1, x_2)$ 枚となる。 全体で6枚あるので、表になる硬貨の枚数が1枚となる条件は次のように表せる。

$$ 6 - \{\max(x_1, x_2) - \min(x_1, x_2)\} = 1 $$

$$ \max(x_1, x_2) - \min(x_1, x_2) = 5 $$

さいころの目は $1$ から $6$ までであるから、差が $5$ となるのは $(x_1, x_2) = (1, 6), (6, 1)$ の2通りのみである。 よって、求める確率は以下の通り。

$$ \frac{2}{6^2} = \frac{1}{18} $$

(2)

操作 L, R で出た目を順に $x, y$ とする。 操作 L により左から $x$ 枚が反転し、操作 R により右から $y$ 枚が反転する。 操作 L と操作 R で反転する区間の重なりによって場合分けする。

(i) $x + y \le 6$ のとき 操作 L で反転する範囲と操作 R で反転する範囲は重ならない。 したがって、裏になる枚数は $x + y$ 枚であり、表になる枚数は $6 - (x + y)$ 枚である。

(ii) $x + y > 6$ のとき 操作 L と R の両方で反転して「表」に戻る硬貨が $(x+y) - 6$ 枚ある。 1回だけ反転して「裏」になる硬貨の枚数は、反転の対象となった延べ枚数から、2回反転した枚数の2倍を引いたものとなる。

$$ (x+y) - 2\{(x+y) - 6\} = 12 - (x+y) \text{ (枚)} $$

したがって、表になる枚数は以下のようになる。

$$ 6 - \{12 - (x+y)\} = x + y - 6 \text{ (枚)} $$

(i)(ii) より、いずれの場合も表の枚数は $|x+y-6|$ 枚と表せる。 ここで、$S = x+y$ とおくと、$S$ のとりうる値は $2$ から $12$ までの整数であり、それぞれの値をとる場合の数は以下のようになる。

$S=2, 12$ のとき 1通り $S=3, 11$ のとき 2通り $S=4, 10$ のとき 3通り $S=5, 9$ のとき 4通り $S=6, 8$ のとき 5通り $S=7$ のとき 6通り

表の枚数 $|S-6|$ の期待値を求める。

$$ \begin{aligned} & \frac{1}{36} \sum_{S=2}^{12} |S-6| \times (S \text{ となる場合の数}) \\ &= \frac{1}{36} \{ 4\cdot 1 + 3\cdot 2 + 2\cdot 3 + 1\cdot 4 + 0\cdot 5 + 1\cdot 6 + 2\cdot 5 + 3\cdot 4 + 4\cdot 3 + 5\cdot 2 + 6\cdot 1 \} \\ &= \frac{1}{36} (4 + 6 + 6 + 4 + 0 + 6 + 10 + 12 + 12 + 10 + 6) \\ &= \frac{76}{36} \\ &= \frac{19}{9} \end{aligned} $$

(3)

操作の順序は結果に影響しないため、操作 L, R, L の順を L, L, R の順と読み替えて考える。 3回の操作で出た目を $x_1, x_2, y$(操作 L で $x_1, x_2$、操作 R で $y$)とする。 (1)の考察から、2回の操作 L によって裏になっている硬貨は、左から $\min(x_1, x_2) + 1$ 番目から $\max(x_1, x_2)$ 番目までの区間である。 すべての硬貨が表になるためには、続く操作 R によって、この裏になっている区間と完全に一致する区間が反転されなければならない。 操作 R で反転するのは右端から $y$ 枚、すなわち左から $7-y$ 番目から $6$ 番目までの区間である。 これらが一致する条件は以下の連立方程式を満たすことである。

$$ \begin{cases} \max(x_1, x_2) = 6 \\ \min(x_1, x_2) + 1 = 7 - y \end{cases} $$

整理すると次のようになる。

$$ \begin{cases} \max(x_1, x_2) = 6 \\ \min(x_1, x_2) + y = 6 \end{cases} $$

$x_1, x_2$ の少なくとも一方は $6$ であるため、場合分けを行う。

(i) $x_1 = 6, x_2 = 6$ のとき $\min(x_1, x_2) = 6$ となり、条件式から $y = 0$ となるが、さいころの目に $0$ はないため不適。

(ii) $x_1 = 6, x_2 \neq 6$ のとき $x_2$ は $1, 2, 3, 4, 5$ のいずれかである。 $\min(x_1, x_2) = x_2$ より、$x_2 + y = 6$ すなわち $y = 6 - x_2$ となる。 これを満たす $(x_1, x_2, y)$ の組は、$(6, k, 6-k)$(ただし $k = 1, 2, 3, 4, 5$)の 5 通りである。

(iii) $x_1 \neq 6, x_2 = 6$ のとき 同様に考えると、これを満たす $(x_1, x_2, y)$ の組は、$(k, 6, 6-k)$(ただし $k = 1, 2, 3, 4, 5$)の 5 通りである。

以上より、すべての硬貨が表となる $(x_1, y, x_2)$ の組は $5 + 5 = 10$ 通りである。 よって、求める確率は以下の通り。

$$ \frac{10}{6^3} = \frac{10}{216} = \frac{5}{108} $$

解法2

(2の別解:期待値の線形性を利用する)

左から $k$ 番目 $(1 \le k \le 6)$ の硬貨が最終的に表になる確率を $p_k$ とする。 表の枚数の期待値 $E$ は、各硬貨が表になる確率の和として求められる(期待値の線形性)。

$$ E = \sum_{k=1}^6 p_k $$

$k$ 番目の硬貨が反転する条件は以下の通りである。 操作 L で反転する確率:出た目が $k$ 以上であればよいので $\frac{7-k}{6}$ 操作 R で反転する確率:出た目が右から $7-k$ 枚の範囲に入ればよい(出た目が $7-k$ 以上)ので $\frac{7-(7-k)}{6} = \frac{k}{6}$

操作 L と操作 R は独立である。$k$ 番目の硬貨が最終的に表になるのは、0回反転または2回反転のときである。

$$ \begin{aligned} p_k &= (\text{両方で反転しない確率}) + (\text{両方で反転する確率}) \\ &= \left(1 - \frac{7-k}{6}\right)\left(1 - \frac{k}{6}\right) + \frac{7-k}{6} \cdot \frac{k}{6} \\ &= \frac{k-1}{6} \cdot \frac{6-k}{6} + \frac{7-k}{6} \cdot \frac{k}{6} \\ &= \frac{-k^2 + 7k - 6 + 7k - k^2}{36} \\ &= \frac{-2k^2 + 14k - 6}{36} \\ &= \frac{-k^2 + 7k - 3}{18} \end{aligned} $$

これを $k=1$ から $6$ まで足し合わせる。

$$ \begin{aligned} E &= \sum_{k=1}^6 \frac{-k^2 + 7k - 3}{18} \\ &= \frac{1}{18} \left( -\sum_{k=1}^6 k^2 + 7\sum_{k=1}^6 k - \sum_{k=1}^6 3 \right) \end{aligned} $$

ここで、それぞれの和を計算する。

$$ \begin{aligned} \sum_{k=1}^6 k^2 &= \frac{6 \cdot 7 \cdot 13}{6} = 91 \\ \sum_{k=1}^6 k &= \frac{6 \cdot 7}{2} = 21 \\ \sum_{k=1}^6 3 &= 3 \cdot 6 = 18 \end{aligned} $$

これらを代入して期待値を求める。

$$ E = \frac{1}{18} (-91 + 7 \cdot 21 - 18) = \frac{-91 + 147 - 18}{18} = \frac{38}{18} = \frac{19}{9} $$

解説

硬貨やカードを裏返す操作の問題では、「それぞれの要素が何回操作の対象になったか」に帰着させると見通しが良くなる。 (2)の期待値を求める問題では、全体を一度に考える解法1のように絶対値の式を立てる方法と、各硬貨ごとに確率を求めて和をとる解法2(期待値の線形性)の2つのアプローチがある。本問ではどちらも計算量は多くないが、期待値の線形性は要素数が大きくなった場合にも汎用性が高いため、ぜひ習得しておきたい。 (3)では「操作の順序は最終的な反転状態に影響しない」という交換法則に気づけるかどうかがポイントとなる。これに気づけば、(1)の考察をそのまま使い回すことができ、解答をスムーズに導くことができる。

答え

(1) $\frac{1}{18}$ (2) $\frac{19}{9}$ (3) $\frac{5}{108}$

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