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名古屋大学 2011年 文系 第2問 解説

数学A/確率数学A/場合の数テーマ/場合分け
名古屋大学 2011年 文系 第2問 解説

方針・初手

確率の計算において、同じ数字の玉を区別して組合せで考える方針をとる。(1)は直接求めるが、(2)は取り出す玉の合計の最大値に着目して余事象を利用すると計算が少ない。(3)も同様に、「条件を満たさない場合(ある時点で合計が回数を超えてしまう場合)」という余事象を考える。いつ条件から外れるのか、その最初のタイミングに注目して絞り込むのがポイントである。

解法1

玉を全て区別して考える。8個の玉から同時に $k$ 個取り出す組合せの数は ${}_8\mathrm{C}_{k}$ であり、1個ずつ $k$ 回取り出すことと事象の確率は一致する。

(1) 8個の玉から2個を取り出す方法は ${}_8\mathrm{C}_{2} = 28$ 通りである。 取り出した2個の玉に書かれた数字の合計が2になるのは、以下の2つの場合である。

(i) 2の玉1個と0の玉1個を取り出す場合 その選び方は ${}_1\mathrm{C}_{1} \times {}_4\mathrm{C}_{1} = 4$ 通り。

(ii) 1の玉2個を取り出す場合 その選び方は ${}_3\mathrm{C}_{2} = 3$ 通り。

これらは互いに排反であるから、求める確率は $$\frac{4+3}{28} = \frac{1}{4}$$

(2) 8個の玉から4個を取り出す方法は ${}_8\mathrm{C}_{4} = 70$ 通りである。 袋の中にある玉の構成から、取り出した4個の玉の数字の合計が最大になるのは、2の玉1個と1の玉3個を取り出した場合であり、その合計は $2+1+1+1 = 5$ である。 したがって、「合計が4以下である」という事象の余事象は、「合計が5である」事象のみである。

合計が5になる選び方は、2の玉1個と1の玉3個を取り出す ${}_1\mathrm{C}_{1} \times {}_3\mathrm{C}_{3} = 1$ 通りのみである。 よって、余事象の確率は $\frac{1}{70}$ であるから、求める確率は $$1 - \frac{1}{70} = \frac{69}{70}$$

(3) $k$ 回目に取り出した玉に書かれた数字を $x_k$ とし、$n$ 回目までの合計を $S_n = \sum_{k=1}^n x_k$ とおく。 すべての $n=1, 2, \dots, 8$ に対して $S_n \le n$ が成り立つ確率を求めるため、余事象である「ある $n$ に対して $S_n > n$ となる」確率を考える。

$S_n > n$ となる最小の $n$ を $m$ とすると、 $S_m = m+1$ である(1回の操作で増える数は最大2であるため、一気に $m+2$ 以上にはならない)。 最小性より、 $m \ge 2$ のときは $S_{m-1} \le m-1$ が成り立っている。これに $x_m$ を足して $m+1$ になるためには、 $x_m$ の最大値が 2 であることから、 $$x_m = 2 \quad \text{かつ} \quad S_{m-1} = m-1$$ が必要である($m=1$ のときは $x_1 = 2$ のみ)。

$x_m = 2$ であるため、 $k < m$ においては $x_k \in \{0, 1\}$ である。この条件下で $S_{m-1} = m-1$ となるのは、 $$x_1 = x_2 = \cdots = x_{m-1} = 1$$ のときのみである。 1の玉は3個しか存在しないため、 $m-1 \le 3$、すなわち $m \le 4$ でなければならない。

以上から、条件を満たさないのは、初めから $m-1$ 回連続で1の玉を取り出し、 $m$ 回目に2の玉を取り出す場合($m=1, 2, 3, 4$)に限られる。これらは互いに排反事象であり、それぞれの確率は玉を1個ずつ取り出す確率の積として以下のように計算できる。

これらの和が余事象の確率となる。 $$\frac{1}{8} + \frac{3}{56} + \frac{1}{56} + \frac{1}{280} = \frac{35+15+5+1}{280} = \frac{56}{280} = \frac{1}{5}$$

求める確率は、余事象の確率を1から引いて $$1 - \frac{1}{5} = \frac{4}{5}$$

解法2

(3)の別解を示す。1個しかない「2の玉」が何回目に取り出されるかで場合分けを行う。

2の玉が $k$ 回目に取り出される事象を $A_k$ とすると、どの位置に取り出されることも同様に確からしいため、確率はすべて $P(A_k) = \frac{1}{8}$ である。 事象 $A_k$ が起こったという条件の下で、問題の条件を満たさない(すなわち $S_m > m$ となる $m$ が存在する)条件付き確率を考える。解法1で考察した通り、条件を満たさないのは $1$ 回目から $k-1$ 回目までがすべて「1の玉」である場合である。

したがって、余事象の確率は $$\sum_{k=1}^{8} P(A_k) \times P(\text{条件を満たさない} \mid A_k) = \frac{1}{8} \left( 1 + \frac{3}{7} + \frac{1}{7} + \frac{1}{35} + 0 + \cdots + 0 \right)$$

括弧の中を計算すると、 $$1 + \frac{15}{35} + \frac{5}{35} + \frac{1}{35} = \frac{56}{35} = \frac{8}{5}$$

よって余事象の確率は $$\frac{1}{8} \times \frac{8}{5} = \frac{1}{5}$$

求める確率は $$1 - \frac{1}{5} = \frac{4}{5}$$

解説

(1)と(2)は確率の基本問題であり、全体像を素早く把握して確実に得点したい箇所である。とくに(2)で「合計が4以下」と問われた際、まともに場合分けすると手間がかかるため、最大値が5であることに気づき余事象に切り替えられるかがポイントとなる。

(3)は本問の核となる問題である。「すべての $n$ に対して」という条件は直接計算するのが難しいため、ここでも余事象「ある $n$ に対して」への言い換えが有効である。条件が破綻する瞬間のメカニズムを考察し、「2の玉が出る前に1の玉しか出ていない状況」に限定されることを見抜けるかが勝負の分かれ目となる。

答え

(1) $\frac{1}{4}$ (2) $\frac{69}{70}$ (3) $\frac{4}{5}$

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