九州大学 2014年 文系 第1問 解説

方針・初手
点 $P(x,y)$ の座標を変数とし、点と直線の距離の公式、2点間の距離の公式を用いて条件①を数式化する。得られた不等式を整理すると、2つの放物線で囲まれた領域の不等式が得られる。(1)はその領域が存在する条件に帰着させ、(2)は定積分の計算に帰着させて解く。
解法1
(1)
点 $P(x,y)$ とする。 直線 $l_1$ は $y=-1$ であるから、点 $P$ と直線 $l_1$ の距離は、
$$ d(P,l_1) = |y - (-1)| = |y+1| $$
また、原点 $O(0,0)$ との距離は、
$$ PO = \sqrt{x^2+y^2} $$
条件 $d(P,l_1) \geqq PO$ より、
$$ |y+1| \geqq \sqrt{x^2+y^2} $$
両辺ともに $0$ 以上であるから、2乗して同値変形すると、
$$ (y+1)^2 \geqq x^2+y^2 $$
$$ y^2+2y+1 \geqq x^2+y^2 $$
$$ 2y+1 \geqq x^2 $$
$$ y \geqq \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{2} \cdots \text{②} $$
次に、直線 $l_2$ は $y=1$ であるから、点 $P$ と直線 $l_2$ の距離は、
$$ d(P,l_2) = |y - 1| = |y-1| $$
点 $A(a,0)$ との距離は、
$$ PA = \sqrt{(x-a)^2+y^2} $$
条件 $d(P,l_2) \geqq PA$ より、
$$ |y-1| \geqq \sqrt{(x-a)^2+y^2} $$
同様に両辺ともに $0$ 以上であるから2乗して整理すると、
$$ (y-1)^2 \geqq (x-a)^2+y^2 $$
$$ y^2-2y+1 \geqq (x-a)^2+y^2 $$
$$ -2y+1 \geqq (x-a)^2 $$
$$ y \leqq -\frac{1}{2}(x-a)^2 + \frac{1}{2} \cdots \text{③} $$
条件①を満たす点 $P(x,y)$ が存在するための条件は、不等式②および③を同時に満たす実数 $x, y$ の組が存在することである。これは、
$$ \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{2} \leqq -\frac{1}{2}(x-a)^2 + \frac{1}{2} $$
を満たす実数 $x$ が存在することと同値である。 この不等式を整理すると、
$$ x^2 - 1 \leqq -(x^2 - 2ax + a^2) + 1 $$
$$ x^2 - 1 \leqq -x^2 + 2ax - a^2 + 1 $$
$$ 2x^2 - 2ax + a^2 - 2 \leqq 0 $$
これを満たす実数 $x$ が存在するための条件は、2次方程式 $2x^2 - 2ax + a^2 - 2 = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D \geqq 0$ となることである。
$$ \frac{D}{4} = (-a)^2 - 2(a^2 - 2) = a^2 - 2a^2 + 4 = 4 - a^2 $$
$4 - a^2 \geqq 0$ より、
$$ a^2 - 4 \leqq 0 $$
$$ (a+2)(a-2) \leqq 0 $$
$$ -2 \leqq a \leqq 2 $$
(2)
$a$ は(1)で求めた範囲にあるとする。 条件①を満たす点 $P$ のなす図形は、2つの放物線
$$ C_1: y = \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{2} $$
$$ C_2: y = -\frac{1}{2}(x-a)^2 + \frac{1}{2} $$
で囲まれた領域である。 $C_1$ と $C_2$ の交点の $x$ 座標は、方程式 $2x^2 - 2ax + a^2 - 2 = 0$ の実数解である。 これを $\alpha, \beta$ $(\alpha \leqq \beta)$ とおくと、解の公式より、
$$ x = \frac{a \pm \sqrt{4-a^2}}{2} $$
したがって、
$$ \beta - \alpha = \frac{a + \sqrt{4-a^2}}{2} - \frac{a - \sqrt{4-a^2}}{2} = \sqrt{4-a^2} $$
求める面積 $S$ は、$\alpha \leqq x \leqq \beta$ において $C_2$ が $C_1$ の上側(または境界上)にあるので、
$$ S = \int_{\alpha}^{\beta} \left\{ \left( -\frac{1}{2}(x-a)^2 + \frac{1}{2} \right) - \left( \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{2} \right) \right\} dx $$
$$ S = \int_{\alpha}^{\beta} \left( -x^2 + ax - \frac{1}{2}a^2 + 1 \right) dx $$
ここで、被積分関数は $x^2$ の係数が $-1$ であり、$\alpha, \beta$ が方程式 $-x^2 + ax - \frac{1}{2}a^2 + 1 = 0$ の解であることから、
$$ -x^2 + ax - \frac{1}{2}a^2 + 1 = -(x-\alpha)(x-\beta) $$
と因数分解できる。 よって、積分計算は以下のようになる。
$$ S = \int_{\alpha}^{\beta} -(x-\alpha)(x-\beta) dx = \frac{1}{6}(\beta - \alpha)^3 $$
$\beta - \alpha = \sqrt{4-a^2}$ を代入して、
$$ S = \frac{1}{6} \left( \sqrt{4-a^2} \right)^3 = \frac{1}{6}(4-a^2)^{\frac{3}{2}} $$
解説
図形と方程式の分野における、軌跡と領域の基本的な問題である。点と直線の距離、および2点間の距離の公式を用いて条件を正確に数式化できるかが第一の鍵となる。
得られた不等式を $y$ について解くと、2つの放物線で挟まれた領域が現れる。(1)はその領域が存在するための条件、すなわち上下の放物線が交点を持つ(または接する)ための条件として処理する。これを $x$ についての2次不等式の解の存在条件に帰着させ、判別式を用いる流れは非常に標準的である。
(2)の面積計算では、2つの放物線で囲まれた面積の計算になるため、いわゆる「 $\frac{1}{6}$ 公式」を用いると計算量を大幅に減らすことができる。被積分関数を $-(x-\alpha)(x-\beta)$ と変形する過程を意識すると計算ミスを防ぎやすい。
答え
(1) $-2 \leqq a \leqq 2$
(2) $S = \frac{1}{6}(4-a^2)^{\frac{3}{2}}$
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